リチウムイオン電池の寿命が短くなるケース
では、どのような場合にリチウムイオン電池の寿命が短くなるのだろうか?
TDKがバッテリー劣化に関して解説した記事によると、リチウムイオン電池の寿命が短くなるのは以下の3つの場合だ。
1.電極自体が劣化する場合
2.バッテリーパックに内蔵された調整用コンピュータの精度に狂いが発生する場合
3.バッテリーパック内のセルバランスが崩れる場合
なお、リチウムイオン電池にはメモリー効果はほぼ無いと考えられており、ニッケル水素電池やニッカド電池のように継ぎ足し充電によって寿命が短くなることはないと言ってよい(寿命が短くなるという表現は不正確だが、ここでは説明を省略する)。
1. 電極自体が劣化する場合
電池の電極は、熱を加えられることや充電されることで劣化していく。
したがって、夏場に車のダッシュボードに放置しているような場合、バッテリーの劣化が急速に進む。
また、残量がある状態での充電する場合や職場や家庭内で常に充電する場合のように頻繁に充電を行うことでもバッテリーの劣化が進行する。
2. バッテリーパックに内蔵された調整用コンピュータの精度に狂いが発生する場合
まず、「過充電」と「過放電」について簡単に説明する。
バッテリーをフル充電した後に充電し続けた状態が「過充電」。過充電状態のままでは、バッテリーが劣化してしまう。
また逆に、電池残量が0%のまま長期間放置しておくと「過放電」状態となり、充電することができなくなる場合がある。最近では、小惑星探査機「はやぶさ」が小惑星イトカワから帰還する際にバッテリーの一部が充電能力を失った事例が記憶に新しい。
このような過充電と過放電を防止するために、スマホなどに使われているバッテリーの内部には調整用のコンピュータが搭載されている。よって、通常の利用方法では過充電・過放電に陥ることはまず無い。
しかし、普段、スマホなどを使っていると次第にこのコンピュータの精度に狂いが発生し、フル充電することができなくなる場合がある。
この場合には、フル充電状態から一度完全に放電して電池残量を0%にすることでコンピュータを再調整できる(もちろん、過放電に注意しなければならない)。
3. バッテリーパック内のセルバランスが崩れる場合
リチウムイオンバッテリー内部はセルと呼ばれる小部屋に分かれている。セルが1つの電池で、バッテリーはそれらが複数個まとめられているモノだと考えれば分かりやすいだろう。
セルのうち1つがフル充電されると、充電器は他のセルがフル充電されていなくても充電完了と判断し充電を終了する。セルごとにフル充電されるタイミングが異なるのは、セルごとに放電するスピードが微妙に異なるため。それゆえ、充電と放電を繰り返すことで、次第にセル同士のバランスが崩れていくことになる。
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