シャグリーン模様のデミタスカップ
シャグリーン(鮫皮)模様のデミタスカップ(カップ、高さ 4,7cm、直径 5,2cm、ソーサー、直径 9,8cm)、カップ内側金メッキ)、ロイヤルウースター製、1940~50年製。シルバースプーン付き(1956年製、シェフィールド)。とてもカッコいい、少し毒のあるデザインのデミタスカップ。写真も凄く良く撮れていますが実物も良いです。シルバースプーンが付いていたのが仕入れのポイントです。高級感増しますね。
僕のイギリス人の知り合いに、と言っても正確には親友の友達ですが、何かの発明か発見をしてそれでお金を儲けられたのに、その利権を独占せず、それでエリザベス女王から‘Sir’の称号を授与された人がいます。八十近い人で、この前のイギリス仕入れで一緒に食事をした際に少し話しました。彼は自分ではそのことを語らないし、誰も彼を「サー」とは呼ばないのでこの話しは後で親友から聞いたのです。その彼のことを思い出したときに、欲を出さない人間の品、について考えました。儲けられるのが分かっていてもそこに敢えて手を出さない人、過剰な利益に走らない人、欲を抑えられる人。僕はそんな人に興味があります。利益に貪欲な人間がこの世界を滅ぼしているのですが、そんな下品な人間を横目にしながらそうはならない人。恬淡としている人、人生のプライオリティがもっと別のところにある人。
そういうのは人の顔にも現れます。ユニクロの柳井さんは顔に品がないでしょ、老舗の番頭さんみたいな人相ですね、あれだけ大きな会社やりながらも顔は貧相。村上春樹もそう、顔が貧相、口元も緩い。最近亡くなったけど、ミラン・クンデラの顔と比べたらいい。クンデラはモノ書きの顔してますよ。皆さん、クンデラの小説素晴らしいですよ。
利益に貪欲でない人間が増えれば世の中は少しは変わるでしょう。強欲は人の性格を変えますし、周りの人をも苦しめますからね。利益に走るのは良いとしても節度は大事です。そこが品の上下の分かれ目です。
と、そんなことを思う夏の暑い日なのです。