金銭管理と、親
私はもう40代後半だが、お金の計算や管理がとても苦手だ。例えば、公共料金の支払いをする事が苦手だ。支払いも請求も、どちらも苦手だ。
会社員ではなくなり学生になってお金が減って、節約しないといけなくなった。
事務作業を自分でやらなければいけない事も増えてとても苦労している。何かちょっとした自営業的な仕事をやったりして、本来請求できるはずのお金を請求する手間が取れない。それをやる体力みたいなものがなくて、もらえるお金も貰えていない。
以前はお金を払って、コンサルタントという肩書きがあるような人に生活の事務作業に立ち会ってもらって手伝ってもらったりしていた。それも時間がかかるし、今の私にはコストが高く、もうできない。
そこで母親に「いろいろな支払いがうまくできない」「私にできるように教えた事ある?教えてよ」と訴えたら「普通の大人はできるから、あなたもできると思っていた」と言われた。「お母さんはできるの?」と聞いたら「お父さんにまかせていたからできない」と言っていた。「自分でもできなくて、教えた事もなくて、それで勝手にできるようになっていると期待するのはおかしくない?」と言ったら黙っていた。そして「言い方がひどい」と怒り出す感じだった。
手伝ってくれるような雰囲気ではないし、できないといってるのだから、この人に手伝ってもらうのは無理だろうと思った。
この母親に育てられたのだからできなくてもしょうがないと少し自分を許せた。弟や妹は自分でがんばってできるようになったか、もしくは両方会社員だからあまり困っていないのだろう。
しかしやはりできないと自分が困るし、大人だからできないと恥ずかしい。しばらく放置した後、今度は80歳の父親に事情を説明し「手伝ってくれ」とラインでメッセージを送った。もし返事が来ても、私の頭はほかのことでいっぱいいっぱいで、それをやる時間がないかもしれない。それでも、言える時に言っておかないと。他の事で頭がいっぱいになってまた放置するだろうから。
どうして普通の人ができる事ができないのだろう。算数は人並みにはできたのに。無理やり理由を探すと、私は子供の頃、お金はあたりまえにあった。それでも私はずっと辛かったから、お金は私を幸せにしないと思っていた。お金が手に入ったから何かができて嬉しいとか幸せになったと思ったことがなかった。だからお金の事を軽く見ているのかもしれない。
大学生の頃は、親のお金で今思えばけっこう家賃のかかりそうなところに暮らしていた。思うに、子供にお金のことで苦労させないというのが、両親の目指すところだったのだと思う。でも私はお金があっても、なぜか公共料金の支払いができなくて、水道以外がよく止まったりしていて、ロウソクの光で生活していた事があった。家賃が払えない事もあった。大家さんから保証人である両親に、そのことについて連絡が行き、母親から「それではダメだ」という手紙が来た事があるのを覚えている。少し面倒臭い気分で手紙を読んだ。それからどうしたかはよく覚えていない。
会社員になってからは自動引き落としになったので、しばらくそういう目には合わなかった。そういえば会社でも出張費の清算(お金の請求)などは苦手な部類だったけど、仕事としてカテゴライズされて外部からの圧がかかるとなんとかできた。会社員でいてもそういう生活費の管理はいつかできるようにならないといけないと思っていたけど、収入があったので節約する必要も特になく、自動引き落としのままで構わなかった。お金の管理はいつかできるようになりたいと思っていた。でもやりたい事もないし、将来の事なんて考えただけで絶望だし、その日、その日を生きるだけで精一杯だった。
でも今は、自分でやらないといけないし、やらないと本当に困る。もう40代後半だから、成長できないだろうか。それとも今からでもできるようになるだろうか。
本当は私は歳をとった親を助ける歳だけど、できていないのも恥ずかしく悔しい。幼稚だと思う。
親がお金をくれなかったら私は生きていなかった。お金がなかったら、いろいろな人とも会えなかった。
今までお金をくれてありがとう。無理せず、また自分で稼げるようになりたい。