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K I h o u

2024 March ARTWORK

2024.07.23 05:55

3月にお披露目した原画6点のご紹介です✧既存作品の購入をご希望の方はサイト上の[PARCHASE]ページをご確認ください。またその他の作品は肌芳Instagram投稿でもご覧いただけます。https://www.instagram.com/_____me.o


「海獣瑠璃の淵に佇む」

606mm×606mm square canvas

Acryl on canvas

¥300,000(購入可)

瑠璃の唄が聞こえてきて、心をそちらへ向けています。

陰影、光源の底。

水面から差す光が流れ星のようだと感じたのは、ここが私が過ごす世界とは少し違うと知っていたからでした。

魚影に覆われた空。

暗くなるどころか鱗の一片に全ての願いを集めんとばかりに輝いています。

「眩しい。」後ろを振り返ると、私の長い髪が海底の息遣いと重なりながら揺らめいていました。

淵へと立つことにも今し方慣れてきて、そして私は今も瑠璃に佇んでいます。

海獣の声を書き記しながら、ここに居ます。


「白珊瑚の記憶」

200mm circle canvas

Acryl on canvas

Sold.

音は聞こえない。鳴かない。

本当の色を知れたなら、どれだけ素敵なことでしょう。

乳白色の珊瑚がひとりポツンとそこにいます。

私は寄り添う、触れる、それとも撫でるという半歩違いの選択を迷っていました。

深呼吸をすると、海の香りを運ぶ風にのって殻の記憶が聞こえてきます。

色の話を謳っています。

私は知っていました。触れたら崩れてしまうこと。

けれど私は撫でることを選びました。

さらさらと、それは話をはじめます。

自分がもうすぐ白になること、そして海を揺蕩う時間をどう過ごしたかを。


「天の浮橋を忘れて」

160mm×220mm ellipse canvas

Acryl on canvas

¥40,000(購入可)

青々が迷いを引くように、わたしは浮橋を擦って歩いていました。

写鏡などは遥か昔にどこかへ落としてしまって、姿を忘れて。

ひらひらと触れる絹の衣を、もう脱ぎ捨ててしまおうかと何度考えては躊躇うことの繰り返しです。

「こんなもの」と思う心を深い瑠璃の冷たさが引き留めるのでした。

美しい何かが通った跡には衣に編まれた星々が落ちていき。

冷えた風がその欠片等をふわりと浮かせ、また夜空に散りばめる役目を果たします。

その時わたしは初めて顔を上げ、天の浮橋を思い出したのでした。


「鱗の導」

150mm circle canvas

Acryl on canvas

¥30,000(購入可)

浜辺に残された鱗は、ぽつんと一枚。

夜以外の導に興味を持ったのは少し前のこと。

月明かりを集めながら、わたしは暦の果てまで拾われることを待つのだろうかと考えたのです。

その日を境に、夜光石が波によって欠片程削られていく姿を永く見つめるようになりました。

今も側でさらさらと、細かな音を立てています。

「海の導を知りたい。」

そんな久遠の言葉が不規則で冷たい流動へ伝わったのか、身体の端が徐々に浸っていくのです。

海は少し躊躇うように、攫って欲しいという鱗の願いを叶えたのでした。


「飴色の夢」

100mm×150mm rectangle canvas

Acryl on canvas

Sold.

“キャンディートートを静かに寝かせて”

近代有名な魔法使いが言い残した、不思議な言葉を思い出しました。

パチンと指を鳴らそうとも力が入らず、擦り合わせる感触もしないここはきっと夢の中。

普段の夢世界の中なら「思い出し」を認識することはできませんが、今夜は眠る前、その言葉の意味を沈思したのです。

パチン。

「ところでキャンディートートって、何?」

鍔の広い三角帽を被った彼女は言いました。

この世の不思議や秘密は、いつかの誰かの寝言から生まれたのかもしれません。


「解いた日の夜」

150mm circle canvas

Acryl on canvas

¥30,000(購入可)

この日のためにと、しっかり結んだ絹の御髪。

それは夜から降りた輝きを遮ることなく、ひとつに編み込んでいったものです。

「さて、これをいつ解こうか。」

綺麗で勿体無くて。

触れることすらできずに地上から見上げていた時は、まさか自分が溶くとは思っていませんでした。

そして全てが夜に広がった頃。

夜空は想像よりも遥かに静かで、繊細な光を纏っていたのでした。

「眩しくない。美しいね。」

隣に座る毛玉達の瞳いっぱいに、絹の星が見えます。