COPDについて(代表質問より)
わが国では、2025年には総人口の30%、2060年には40%が65歳以上となる超高齢社会の到来が予測されています。健康寿命の延伸に向け、ニッポン一億総活躍プランでは、フレイルの予防と対策が重要課題として掲げられています。
フレイルは、加齢に伴う心身の衰弱状態であり、東京都健康長寿医療センターの研究によると、フレイルの人は、健康な人に比べて要介護・要支援のリスクが29%、死亡リスクが37%高くなるそうです。
また、フレイルの主な原因は加齢ですが、COPDとの関連も指摘されています。
COPDとは、慢性閉塞性肺疾患の英字の頭文字を取った疾患の名称で、喫煙や大気汚染などによって気管支や肺が損傷し、呼吸機能が低下する慢性疾患です。息切れ、せき、たんなどが主な症状で、進行すると日常生活にも支障をきたします。
COPD患者は、COPDを罹患していない65歳以上の高齢者と比べてフレイルの合併頻度が高く、健康寿命を縮める要因となります。しかし、COPDの認知度は低く、初期症状は自覚しにくいことから、推定患者数約530万人のうち、治療を受けているのはわずか6.8%にとどまります。
高齢化社会の進展に伴い、健康寿命の延伸と豊かな高齢社会を実現するためにも、COPD対策はますます重要となります。そこで、二点伺いました。
本県におけるCOPDの現状と課題は何か?
COPDは喫煙習慣が主な原因とされ、咳や痰、息切れがあり、徐々に呼吸障害が進行する疾患で、喫煙者の15から20%が発症し、全国で500万人以上の患者が存在すると推定されています。
治療や予防には、禁煙に取り組むことが必要とされていますが、県が令和5年度に実施した生活習慣アンケート調査では、喫煙者のCOPDの認知度は、約4割にとどまっています。
このため、県としては、疾患認知度を上げることで、COPDの予防及び早期発見につなげ、県民の健康寿命の延伸や死亡率の減少に取り組むことが必要であると考えています。
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県はCOPD対策にどのように取り組んでいくのか?
県では、COPDの認知度向上を図るため、症状やたばことの関係などについて県民にわかりやすく説明したリーフレットや啓発グッズを作成し、県のイベント等で活用するほか、市町村や保健所を通じて配布しています。
また、COPDの予防や早期発見につなげるため、市町村や健康保険組合などが実施する特定健診や特定保健指導の従事者を対象に、専門的な研修会を開催し、令和5度は100人が参加しています。
さらに、COPDの予防や治療に必要となる禁煙については、本人の取組だけでなく、周囲の支援も重要であることから、喫煙者の家族や職場の衛生管理者等を対象とした禁煙支援者研修会を開催するなど、COPD対策に引き続き取り組んでまいります。
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健康寿命の延伸と死亡リスクを軽減するためにも、COPDの認知度を向上させ、早期受診へと促すことが求められます。
日本呼吸器学会が推奨し、COPDの可能性を手軽に調べることができる「COPD集団スクリーニング質問票」というものがありますが、これを活用することでCOPDの認知度を向上させ、受診率の向上につながることが期待されます。
県では、COPDの啓発リーフレットを作成していますが、例えばこれにCOPD集団スクリーニング質問票を掲載するなど、県民への疾患啓発に努めていただくよう要望しました。
【参考資料】