日本式カウンセリングと海外のお客様の反応。「’海外美容師’という生き方。」その九。
日本において、お客様にカウンセリングの際、細かく確認することは丁寧で良い接客とされる。
例えば、5センチくらいカットしてもいいですか?とか、レイヤーをいれてもいいですか?少し軽くしましょうか?前髪は作りますか?など。
美容師側からこう言った確認を細かく行うことによって、お客様の、「ホントはもっとここ短くしたいけど言いにくいからガマンしよう、、、」と言うのを回避できる。
僕もお客様目線でその気持ちはすごく分かる。本当はもっと軽くてもいいかなー、、、とか思っても、「ぁ、大丈夫ですー」と言った経験はある。
リスクは回避しておくに越したことは無いし、リスクマネジメント的視点からしてもこうやって保険をかけてカウンセリングを行うことは大切だ。
基本的には特に日本人に対して、こういうカウンセリングスタイルを取ることも多い。
しかし。
接客は完璧なマニュアル化なんて出来ないため、もちろんケースバイケースというか、100人いれば100通りのゴールがあるもの。
(海外に限らずかも知れないが)海外、特に外国人のお客様に対しては必ずしも上記のような接客スタイルが最適解とはならない場面がある。
お客様は、「どんかスタイルが似合うと思いますか?」と結構丸投げしてくるのだ。
例えば僕はよく、女性のお客様には結べる方がいいですか?結べないくらいがいいですか?と聞く。ショート〜ミディアムか、ロングヘアーがいいか。それくらいなら聞いても問題無しだ。そこでもうスタイルを提案しちゃう。あなたに似合うものはこれでしょう。という感じ。
問題は、あなたの意見を求めているお客様に、ここはこのくらいがいいですか?軽くしますか?ちょっと長いですが?と聞きすぎてしまうこと。
あれ?全然いいことじゃん、なんでだめなの?あなたはそう思っただろうか。
では逆にお客様の立場に立って一度考えてみよう。
ベトナムのローカルサロンでは、カットは500円くらいで結構流行ってるお店に行ける。それをあえて当店にて、もしくは他の日系サロンにて3000円かけてカットしに行くと言うことは、日本で言うと、前々から予約をしてカリスマ美容師にカットしてもらうような感覚に近い(?だったらめちゃ嬉しいけど!)かもしれない。日本人スタイリストにとっては日本とベトナムの物価の違いでしょ、とだけ思うかも知れないが、現地のお客様からしたらそんなの関係ない。
あなたがもし、いざ憧れのカリスマ美容師にカットしてもらう時が来たとして、美容師に、
ここ何センチ切ります?もっと軽くします?これくらいどうでしょう?
と聞かれまくったら、あなたの気分はどうだろう。
知らねーし!とならないだろうか?いやいや、もうお任せしますから、良い感じにしてくださいよ!と思わないだろうか。
まして写真なんか持ってこられても、イメージの共有ならオッケーだが、なんかの写真と全く同じにされるよりもお任せスタイルの方が価値がある。
僕だったら、もう憧れの美容師さんに切ってもらうならそれはもう、お任せで!と言う。
もはや、その美容師さんの提案したもの、良いと思ったものなら100%オッケー。みたいな。美容師さんがドヤ顔して、どう?って自信持って仕上げて来たスタイルだからこそ価値があるくらいに感じる。
何が言いたいかというと、海外でやって行くには、今の例えは極端にせよ、自分はヘアデザイナーだ!と言う自覚が必要かもしれない。お客様の言いなり美容師ではだめ。あなたのスタイルをお客様に売る!と言う意識。あなたのスタイルにお金を払う、あなたのスタイルの価値を、あなたも知る必要があるのだ。そして「自信を持って進めてくるあなた。」をお客様は必要としている。これってもはやカットスキルとかの問題じゃない。
海外ではそんな、自信に満ちているあなた、が求められることが多いかもしれない。
〜to be continued 〜
ベトナム ハノイ 日系美容室 オーブジャパン
伊藤星太。
「’海外美容師’という生き方。」
AUBE JAPAN hanoi viet nam
HAIR DRESSER Ito Seita