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K I h o u

2024 May ARTWORK

2024.07.26 08:00

5月にお披露目した原画6点のご紹介です✧既存作品の購入をご希望の方はサイト上の[PARCHASE]ページをご確認ください。またその他の作品は肌芳Instagram投稿でもご覧いただけます。https://www.instagram.com/_____me.o


「蕾は時定規」

200mm circle canvas

Acryl on canvas

Sold.

平原で太陽が傾くのを薄ぼんやりと眺めていました。

大きな変化もなく今日が過ぎていきます。

すると夜もすぐ側の時間に珍しく暖かい風が吹いて、早く起きて咲かないと、とでも言うかのように頬を撫でていきました。

「蕾が膨らまないと、季節が遅れてしまうよ。」

今度は聞き間違いではなく、風が確かにそう言葉にしました。

生まれてから初めての「春」が冬の壁を越えて近づいています。

私は蕾。

私たちは遥か昔より時の定規と呼ばれていました。


「漂うが無い日」

150mm circle canvas

Acryl on canvas

¥30,000(購入可)

ひとときの。ひとときの浮遊を楽しもうと羽ばたいてみたのです。

私は昨晩と同じ様に指先までもをしなやかに動かして、夜空の旅を始めようと考えていました。

しかし今日の夢は大地と地脈、まるで現実の此処のように空の半面が覆われています。

「不思議だ。」

夜の切符を買ってからというものの、私は現世に近い場所の夢を見ませんでした。

けれど思ったのです。

“不良品”のこの紙切れは、どこにも存在しない私だけの“特別”になりえるのではないかと。

漂うが無い今夜に、また会えることを楽しみに。


「白星砂を願って」

200mm circle canvas

Acryl on canvas

¥38,000(購入可)

雲が滑らかです。

人差し指で世界を撫でて、その形を変えていきます。

昔旅の途中で誰かの願いを見つけたことがあり、そこには雲の城に住みたいという言葉が綴られていました。

その不思議を叶える為に。

私は本来触れることのできないものに新しい名を付けています。

「白星砂と呼びましょう」

そうして乳白色のお城が造られると、遠い空で箒星が光りました。

その欠片を拾うことが次の旅の目的です。

「宝物が増えそうね」


「夜空辿りと螺旋」

100mm×150mm rectangle canvas

Acryl on canvas

¥20,000(購入可)

夜空を辿る為に、一本の支柱が生まれました。

とことわの時間を過ごしていると、頭の上にさらさらと砂が落ちてきました。

“きっと先が崩れている。”

もう夜に触れることはできないかもしれない。

長い耳がペタリと垂れます。

あれ。遠くの音がよく聞こえる。

そしてこれは毛皮?

知恵を振り絞りながらうずくまる永遠の時間、私はいつの間にか獣の姿になっていたのでした。

言い伝え通りだ。今なら夜空への柱をずっと登っていける。

夢を叶える前に気持ちばかりの一段を建てます。

いつかここに辿り着いた誰かが、少しだけ空に近づけるように。


「雫静かに積もる」

100mm×150mm rectangle canvas

Acryl on canvas

¥20,000(購入可)

「大雨だ。」

今日は境界の隅まで満ちたようです。

ぐわりと暗い雲から逃げてきた小さな欠片程の足跡が、いつにも増して沢山付いています。

たった今、見上げた刹那もしとぷんと雨粒を被ってしまったら息ができないのか、それとも次の夢へ移ることができるのか。

そんな考えに足が竦み視線を落とすと、先ほどまでそこにあった無数の窪みが無くなっていることに気づきました。

隣にいた毛玉たちは、それを見て次々と雫に鼻を押し当てます。

直後空まで満ちた世界は静寂に包まれ、わたしは留まる選択が意味をなさないことを知りました。

先に着いた毛玉たちの揺れる尾が、次の夢は素敵だよ、早く来て、と言っているようです。


「楽園便と夢遊船」

P4号(333mm×220mm rectangle canvas)

Acryl on canvas

非売品

ふんわりと、透明鉢を抱えて飛んでいました。

これには温室で貰った花の種が入っています。

“楽園便を使うといい”

爺の言葉をすっかり忘れて僕は気ままに旅を続けています。

そんな道逸れた浮遊をしながら地を進むと、遺跡と呼ばれるモノを見つけました。

そこには小さな花が咲き、側に色褪せた手紙が残っています。

文の中で、爺の教えてくれた便とは違う“夢遊船”でここへ来たこと、幼い男の子が温室で楽園を目指し研究をしていること、約束の地へは少し寄り道をしてから向かうことなどが記されていました。

「彼女はここへ来たんだ」

鋭い爪で浅く地を掘り、新たなタネを置きます。

いつかここが美しい楽園となる時、共に思い出を語れるように。