DX化。
今朝生地問屋様の若手担当に対して説教してしまったのは非常に不本意であるが、彼が今後この業界で逞しく頼りがいのある戦士になってもらいたい一心で、ついつい口が出てしまったっていう、言い訳。
おっさんになってしまった。老害認定。
何に対して説教をしたか。
依頼内容の成果物が依頼時に明確に提示してある内容と異なったから。と言えば誰しも「そりゃ言われて当然」と思ってもらえるかもしれないが、ここは繊維産業でもさらに莫大小という、なんというか全体的にアバウトな世界。
依頼に対して現場からのアウトプットは時に「これでわかるやろ」的な、「これでわかれへんかったらお前シロウト草」的な、そんな空気になることあったりなかったりラジ。ダメだけどね。
例えば別注生地の色決めをビーカー作業を経てやる場合、色チップ一個に対して濃度upとか濃度downとか、バリエーションを作るのが常態化している。ビーカーについては下記参照。
なぜバリエーションを先に用意しておくかっていうと、特に短納期ばかりの昨今では選択肢があればどれかイメージに近いものがある可能性が高くなるので、色ターゲットズバリ一択だけでイメージ通りじゃなかった時の再作業が短縮される時間的メリットがあるから。
ただ染め屋さんもロープーなので一発でドンズバに関してはそれなりの自信もあったりする。はず。
で、依頼主から「イメージと違うから再ビーカー」って気軽に言われるとやれ演色性だの染料の濃度都合だのって御託を並べたりするもんだから人間関係の継続も難しいなって思わせられる時がないでもない。
本題はビーカーじゃないんだけど、まぁその他工程においても、こういう面倒なことを避けるために依頼時には現場の方々にどう動いてもらいたいか明確に、かつ詳細に、そしてしつこいくらいに情報を渡すのがちょうど良い。
昨今のDX化に伴い、フィジカルのコミニュケーションは希薄になりつつある。
今朝の若手の彼は「メールにこれだけちゃんと書いてたらわかるはずですよね」って言いやがったので、そこでちょっと説教してしまったという流れ。
彼はメールだけで依頼してた。←これ。
何が悪いのか、若者にはなかなか理解ができないかもしれない。繊維業界でもデスクワークメインの人たちには共感してもらえないかもしれないけど、メール一本で依頼完了したと思っているならば、繊維製造の現場の方々は残念ながら依頼内容を完全履行することがまだ難しい。
アパレル→OEMとかならまだ対応できる。OEM→生地問屋も、まぁいける。
OEM→縫製現場、及び生地問屋→各工程工場現場、これはメール一本では依頼の30%くらいしか伝わらないと思った方がいい。
なぜか。
製造現場は営業窓口兼作業員の場合が多い。小規模な現場ならほぼ現場と営業は兼務。
荷物届いて開けたら材料だけ、依頼内容は別途メールとかだとかなり厳しい。
現場作業はタイムイズマネー。事務所でパソコン開いてメール見ながら材料と内容の付き合わせをして現場に流すみたいな依頼は、材料と依頼内容(紙)がワンパッケージで届いてそのまま現場行って作業できる状態の依頼に比べて後回しになると思った方がいい。
時間が余計にかかるから。日中作業終わってからパソコンみてゆっくり付き合わせる時間を作れる時じゃないと無理。
驚くかもしれないけど、メールアドレスがいわゆるケーブルテレビなどプロバイダー系とかのドメインの場合、一日パソコンを開いていない可能性も高い。
こういう現場はファックスを入れておくことで抜け漏れが軽減できる。ファックスも現場作業に入ればデスクの上に置きっぱなしで昼休憩のタイミングじゃないと見ないかもしれない。なんなら複合機から吐き出されたまま一日終わる可能性だってある。
そうなることも視野に入れて個人端末(携帯)へLINEなどのチャット系で依頼した旨の連絡を入れる。
携帯も作業中は見ないから、既読がつかない場合は電話を入れる。某ホリエモンは電話は悪と言っていたが、製造現場ではそうでもない。確かに手は止まる。でも依頼内容のメールや同内容のファックスで意思疎通がはかれない可能性もある。なので電話でニュアンスも含めた詳細の詰めをする。
まずは文字起こしした依頼内容が完全に情報漏れがないようにしておくこと、それを電子メールとファックスで同内容を送付、その内容を送ったよっていうチャット、そういうチャット入れたよ、詳しくはこうだよっていう電話、これでようやく緊急度や依頼内容の解像度がクリアになる。
最近の現場の人たちはBLUETOOTHイヤホンで入電を受けるから手が止まらないことも多い。そこはなんというか、未来っぽい雰囲気が好きな人が多い。でもメールの書き方とか見るとやっぱり慣れてない感じの人が多い。それだけメールだけでの依頼内容を打ち合わせることに慣れていない。慣れていないし、たぶん慣れる気もあんまりない。そこは頑張ってほしいところだけど、現場見ればそれが難しいことだなってのもわからんでもない。
という説教をしてしまった。
若手の彼が、未達の成果物をなぜその状態なのか裏とりせずに持ってきたことも少し心配になったってのもある。けど一生懸命やってくれてるから早く持ってこようとした結果だってのもわかる。
きっと僕なんかより理詰めで「なんでそれができないのか」って言う人はいっぱいいる。なんでできなかったかを仕入れ先の漏れっていう逃げ道を作るのは簡単だし、責任を転嫁できる。でも依頼者からしたら、その工場に依頼したんじゃなくてあなたに依頼したのだから、そこはちゃんと納得できる理由が必要になる。「工場がメール見てなかった」じゃなくて、メール見たかどうかの確認をしたのかって話になるからね。
うるさくてごめんだけど。