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YOKO KURAHASHI

夏にぴったり!わたしが影響を受けた一冊は…『悲しみよ こんにちは』(サガン/朝吹登水子訳)

2024.07.26 14:00

From 倉橋燿子


いよいよ、パリオリンピック、
開幕ですね!


フランスは特に思い入れのある
場所なので、パリオリンピックは
ずっと楽しみにしていました💕



それにしても、ここ最近は
「危険な暑さ🌞」「落雷に注意⚡」
などの災害レベルの天候ですが、
体力を落とさず、なんとか
この夏を乗り切らなきゃですね。

みなさん、くれぐれも
お気を付け下さいね。


先日、 こんな写真が撮れました📷

  ↑↑↑
偶然出会った
雨と晴れの境目🌧☀



きょうは、この夏にぴったりの
“わたしが影響を受けた一冊”を
ご紹介しようと思います📚 



『悲しみよ こんにちは』
(サガン/朝吹登水子訳 新潮社)


今は新訳本になっていますが、
わたしが当時読んだ本は
朝吹登水子さんの訳でした。


この本を読んだのは、
私が大学に行くのがイヤになり、
引きこもっていた19歳の時でした。


広島から東京に出て、
突然の晴れやかな大学生活に
ついていけなくなった
というのが理由。


ある時、書店で目にした
『悲しみよ こんにちは』
タイトルに、わたしはすぐに
惹きこまれました。


小学生時代、クラスでのけ者に
されていたわたしは、一人ぼっち
の休み時間、クラスメイトの
楽しそうな姿を見なくて済む
ようにと、いつも下を向いて
本を読んでいたんです。


本の中は様々な世界が広がっていて
小さな世界にいたわたしにも
いろんなことを教えてくれました。


おかげで、行ったことのない
世界の国々にも思いを馳せ、
いつかいろんな国に行ってみたい
と胸をときめかせたものです。


特にフランスは、全てが
オシャレに見えて憧れでした。


一人ぼっちでいることが多かった
私ですから、
“悲しみ”は、いつも自分の隣
にありました。


なので、『悲しみよ こんにちは』
というタイトルを見たとき、
「いったいどんなふうに
”悲しみ”を描いているんだろう?」

と気になって手にしたことを
今でも覚えています。


      ★


主人公は、セシルという名の
17歳の女の子。

名前も可愛くて、すぐに
好きになりました。


舞台は南仏のコート・ダジュール
地中海に面した海辺にある、
白いすてきな別荘で、セシルは
父と、父の恋人エルザと3人で
夏のバカンスを楽しんでいました。

そこへ亡き母の親友アンヌが
やってくることに。

やがてエルザは出ていき、
アンヌと父が結婚すると知った
セシルは、ショックから
ある企てを図って……。


      ★



セシルが実際に罪を犯す
わけではないけれど、
“悲しみ”を知らずにいた彼女が、
初めて本当の“悲しみ”に出会う
―という衝撃の結末
でした。


セシルの考えていることや
思っていることは、すごく
共感を持てたし、自分とそう
大きな違いはないようにも思える。


だけど、
セシルはとっても感受性が
強くて魅力的。
何よりもその表現、

一文一文がオシャレ✨


わたしのフランス熱は
一気に高まり、それ以来
「いつかフランスに行きたい!」
という想いを強めていきました。


実際、その後わたしは
フリーライターとして、
雑誌の編集者として、
作家として……、
20代から30代にフランスを
何度も訪ね歩くことになったのです。


意を決して、身一つでフランスへ
飛びこんだわたしの最初の挑戦は、
その後の人生を変える一つに
なりました。


フランスでの取材内容が
雑誌の連載へと実を結び、
その後、本として出版。


私の記念すべき、
第一作目となったのです。 



一時は、取材のため数か月
パリ郊外で暮らしたことも
ありました。

その時お世話になったのが
クローディーヌという女性。


『青い天使』が好きな方は、
「あ!」と思ったかもしれませんね。


『青い天使』シリーズ

(講談社青い鳥文庫)

この本は、わたしの過去作品で
フランス人の父と日本人の母を持つ
ハーフの女の子・チナの物語です。


自分の足で訪れた場所や
生で見て触れて感じたことは、
自然と心身に浸透するんですね。


わたしが憧れたフランスへの熱は
色々な作品に散りばめられ、
今も書くものに、自然とにじみ
出ているような気がします。


「悲しみよ こんにちは」の舞台、
コート・ダジュールにも足を
伸ばしましたが、南仏は想像以上に
オシャレで素敵な場所でしたよ✨



“一冊の本は人生を変える。”


わたしの出会った
「悲しみよこんにちは」のように
みなさんも、自分だけの一冊に
出会える夏になりますように…
📕