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ZIPANG-2 TOKIO 2020「アイヌ伝統料理『ハレの日』の料理を紹介します。」

2018.12.28 15:25

先の北海道における地震災害、関西地方ならびに中国四国地方における大雨災害で亡くなられた皆様のご冥福をお祈りするとともに、被災された全ての方々に心よりお見舞い申し上げます。


アイヌ伝統儀礼「 シンヌラッパ(先祖供養)」が行われた際にふるまわれた「ハレの日」の料理を紹介します。

アイヌ伝統儀礼「 シンヌラッパ(先祖供養)」 場所:北海道大学遺跡保存庭園
主催:札幌アイヌ協会


古い時代、アイヌの人たちは、カムイモシリ(神々が住む世界)とアイヌモシリ(人間が住む世 界=現世)、ポクナシリ(死後に住む世界。地域によっていろいろな呼び方があります)と、三つ の世界があり、アイヌモシリで死んだ人はポクナシリにいき、そこでアイヌモシリと変わらぬ生活 をすると考えていました。 そうしたポクナシリで生活する人たち―特に親族に対して供物を送り、故人を偲ぶとともに、 現世の生活が何事もなく無事に暮らせるようにと、守ってくれることを願って行ったのが、先祖供養です。


◆お供えもの


シンヌラッパ(先祖供養)のお供え物 供物は「あの世の先祖の食べ物」で供物が多いほど先祖は喜ぶといわれています。 人々は神々に備えると同じように、先祖にも惜しみなく供物を捧げて食べ物を分かち合います。



◆オハウ


アイヌ民族の言葉で「オハウ」は「汁」という意味で、山菜、野菜、鳥獣肉、魚肉などを煮て、脂や塩で味付けした汁物です。 一般に実の多い汁もので、具材が魚ならチェプオハウ、肉だとカムオハウとなります。


<チェㇷ゚オハウ(鮭の煮込み汁)> 秋から冬にかけて、鮭が手に入ったときにつくります。今回はみそ仕立ての汁物で、具材は鮭、大根、人参、しめじ、舞茸などが入っています。


◆ラタㇱケㇷ゚ 


アイヌ民族の言葉で「ラタㇱケㇷ゚」とは「合わせる」という意味があり、野菜、豆類を煮て魚脂または、獣脂と塩で味付けした料理。 日常食にも用いられるが儀式や祭事にも欠かせない料理であり、その種類も多い。 シケㇾペ(キハダの実)は黒くて小さく、乾燥したものを水で戻して使用します。噛むと苦みがありますが健胃と整腸作用があるとされています。


<かぼちゃのラタㇱケㇷ゚> 豆をやわらかく煮て、カボチャやイモ、穀物をあえたもので香辛料としてシケㇾペを加えることでピリッとして苦みが残ります。


◆シト


シトは、米やいなきび等のだんごのことです。 米といなきびをつき、その粉を別々にして、お湯を加えて練り直径3~4.5cmほどの球形に整えゆでます。 シトにまぶしてあるのは昆布で身の厚いだし昆布を遠火であぶったり脂で揚げたものをつき砕き、だんごのゆで汁の残りへ入れ、脂を加えて味をととのえながら煮詰めたものです。


◆トノト


アイヌ文化における祭事・カムイノミ(秋の豊作に感謝・神々への祈り)、イチャルパ(春と秋の祖霊祭)などで、トノトは神への供物として重要な役割を果たします。酒つくりは女性たちの重要な仕事でアペフチカムイ(火の神)に祈り言葉を述べながら作ります。 


◆シラリ 


 トノトを濾してザルに残る酒粕をシラリと言います。 シラリはパッチ(鉢)に盛り供物とします。


 ◆いなきびご飯


材料は米・いなきび・塩・脂で炊きます。日常使用されるものではなく祭事など特別なときに用いられてきました。米を惜しげもなく、ふんだんに使うのは儀式のときだけで「ごちそうのなかのごちそう」とされていたようです。


※アイヌの伝統料理については、各地で読み方や料理が異なることがあります。ここでは、札幌アイヌ協会多原良子副会長の協力のもとで取材した内容を紹介しています。


参考

ゑ寿絵(えぞ絵) 一巻

小玉貞良「ゑ寿絵」/30cm×848cm 紙本彩色 巻子装 18世紀中頃(江戸時代宝暦年間)
函館「旧相馬邸」蔵


小玉貞良がアイヌの世界を描いた〈アイヌ絵・アイヌ絵巻〉は、衣服や武器・武具、漆器などのアイヌの宝物を巻頭に飾り、堅雪を踏みしめて早春の山中に分け入り、巣穴で冬眠中の羆を狩る様子を始まりに、生まれたばかりの子熊を連れ帰って大切に育て、その魂を神の国へ送り帰す盛大なクマ送り儀礼を柱にして、昆布取りやオットセイ猟などのアイヌの生業、その産物を携えての松前城下・城内や会所での献上・交易といった四季折々の場面を描いたもので、函館市指定の 「蝦夷国風図絵-えぞくにぶりずえ-」と呼ばれる絵巻物をはじめ、多くの写本が知られています。これらの絵には幾分の誇張が加えられている こともあり、まだ見ぬ北の世界や産物を人々に伝えいざなう大きな力となりました。展示の〈ゑ寿絵(えぞ絵)〉一巻 はその一本で、末尾に「龍円斎」「小玉氏印」が捺されています。軸装に大陸渡りの「蝦夷錦」が用いられているのもごく珍しい例です。 小玉貞良は松前生まれの絵師。本格的にアイヌ絵を描いた最初の絵師で、松前藩お抱えともいわれています。



協力(順不同・敬称略)

農林水産省 〒100-8950 東京都千代田区霞が関1-2-1 電話:03-3502-8111(代表)

北海道農政事務局〒064-8518 札幌市中央区南22条西6丁目2-22 電話:011-330-8800

旧相馬邸(国 重要文化財)
家宰 東出伸司 〒040-0054 函館市元町33-2 電話/0138-26-1560


鎹八咫烏 記
伊勢「斎宮」の明和町観光大使


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