海の音— umi-no-ne —
2024.07.29 10:00
見渡す限りの白い砂と青い海、それから海と同じ色の空
僕らの他に、誰もいない
着くやいなやサンダルを脱いで走り出す
転ばないようにと思いながら、あとを追いかけた
不意に僕の方を向いて
勢い任せに手を振りながら、何かを伝えようとしている
その声は表情と一緒に小波(さざなみ)に飲まれた
もう一度。
「聞こえないよ!」と叫んでみたけれど、わずかに遅かったらしい
目の前には君がいて、意地らしく笑っている
ああ、もうダメだ。海の音が遠のいた。
海の音— umi-no-ne —