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今月の輝く!リフォームセールス~「期限管理」を徹底し、営業効率と顧客満足度もアップ

2024.08.06 03:00

建築業界で30年近いキャリアを積んできた添田浩さん。地元密着のリフォームショップの店長として、地域に愛される店づくりを目指している。

▲アービック建設(千葉県市川市)LIXILリフォームショップ アービック建設 店長 添田 浩さん(53)

1級建築施工管理技士、第二種電気工事士、増改築相談士、水まわりマイスター設備

施工会社での支店長を経て、2012年3月にアービック建設に入社。2018年からLIXILリフォームショップの店長となる。



リフォーム営業の基本
打ち合わせの時間は厳守

千葉県市川市で、地元密着型企業として、新築住宅の建築やリフォーム、マンションの大規模修繕なども手がけているアービック建設。2018年にはLIXILリフォームショップに加盟した。その店長を務めているのが、添田浩さんだ。

同店の年間売り上げは、約2億4000万円。添田さんは店長としての業務をこなしながら、プレイングマネージャーとして営業も積極的に行なっている。

「当社は新築OBのお客様や、マンションの管理関係からリフォームの依頼を受けることが多かったのですが、徐々に新規のお客様も増えてきています」と添田さん。

添田さんが営業で大切にしていることは「時間厳守」。普段は自動車で移動しているが、営業エリアを市川市とその周辺に限定しているため顧客との打ち合わせには歩いて行ったり、電車で行ったりすることも多い。

万が一打ち合わせに遅れそうな時は、必ず10分前には先方へ電話をする。「お客様の大切な時間をいただいているので、まずは連絡をして了承をもらうようにしています。そうした基本を徹底しています」



広角レンズカメラで
全方向まんべんなく撮る

現場調査の時、添田さんは顧客の了承を得た上で、工事対象の場所をまんべんなく写真に撮るようにしている。

「お客様との話に集中してしまって撮影がおろそかになると、会社に帰ってから『あれ、ここはどうなっていたかな?』ということもあります。確認漏れがあっても、後から見直せるように全部写真を撮るようになりました」

添田さんが撮影に使うのは、広角レンズ搭載のコンパクトカメラ。床から天井、壁など360度全方位を撮影しておく。

リフォームが終了し、完工後の写真を撮影する時も、広角レンズなら1枚の画角の中に全部収めることができ、見栄えの良い事例写真が撮れると言う。

▲添田さんの七つ道具。タブレットは落としても大丈夫なように、頑丈なカバーをつけている。スケール、レーザー距離計、コンパクトデジタルカメラ、計算機。計算機は高齢の顧客が見やすいように、数字が大きく表示されるものを使っている

▲カメラは広角レンズ搭載したものを愛用。「現場調査では、対象物を全部入れて撮影するのに、距離が取れないことがあります。その点、ワイドに撮れるこのカメラはとても便利です」

▲設備のカタログはタブレットでお客様に見せている。小さな文字や写真は拡大できるのが、デジタルカタログの良いところ



「見積もりはいつ来るの?」
期限を伝えて、不安を払拭

その他、添田さんが心がけていることは「期限管理」をすることだ。

現場調査に協力業者の職人と一緒に行った時は、この日までに工事の見積もりを出してほしいと、期限を指定して職人にお願いする。

例えば、月曜日に現調に行った場合、遅くとも木曜日までには出してもらう。そうすると、顧客には「週末に見積もりを持参します」と話ができる。

添田さんは、大型案件以外、1週間以内には顧客に見積もりを出すようにしている。

「お客様は、見積もりがいつくるのかわからないと不安になります。期限をお知らせし、かつスピーディーに見積もりを出すことが、他社との差別化にもつながると思っています」



概算見積もり要望に
丁寧に対応して受注成功

リフォームの問い合わせでは、顧客から現調の前に「大体の予算を知りたい」と言われることもある。

添田さんはメールでの「概算見積もり」の要望に丁寧に対応したことで、他社との相見積もりに勝ち抜いたことがある。

「マンションのバスルームのリフォームでした。お客様はショールームを見ていて、すでにどの商品を入れたいか決めていました。そこで、私から、標準的な価格と現調後に追加料金が発生することもあることも伝えて、メールで概算見積もりを出しました」

メールの返信は添田さんが一番早く、しかも顧客が想定していた予算感にもマッチしていた。他の2社からは、現調をしないと概算見積もりは出せないと断られたそうだ。

現調前に見積もりを出す時のポイントは、寸法入りの建築図面や対象部位の写真をもらうこと。その後、添田さんが現調後に出した見積もりは、ほぼ概算通りの金額だった。それが決め手になって成約となった。



競合の特色を理解し
相見積もりに勝つ

添田さんは、顧客に聞けそうならば「他にどこの会社に見積もりを依頼していますか」と聞いている。教えてもらえない場合もあるが、教えてもらえると「戦い方」が分かると添田さん。

「弊社もある程度競合他社の情報は持っていますので、相見積もりの会社が分かれば、『ここはこの設備が安い会社』や『あそこは塗装が得意な』だと判断できます。『彼を知り己を知れば百戦殆(あや)うからず』ではありませんが、他社の特色を理解した上で、作戦を立てることができるので、できる限りお聞きしています」



顧客からの返答待ちも期限を区切って効率化

添田さんは店長として、他の営業部員の進捗管理も行なっている。週1回、各営業が担当している案件の進捗状況を確認。店舗全体の営業部員に売上目標を達成できるよう、アドバイスをしている。

「先ほどの見積もりの期限の話と同じで、できれば、お客様にも見積もりの返事をいつまでにいただけそうか、聞くように指導しています。期限までに返事がない場合、受注できる可能性は低いと感じるからです。なるべく、電話やメールなど、お客様が受け取りやすい方法で連絡を継続しますが、あまりにも時間がかかるようでしたら、追いかけずに新規の案件に力を入れるようにアドバイスします」と添田さん。

見極め期限は大体1カ月。それ以上連絡がつかない場合は、追いかけるのをやめる。「ただ、ロングスパンで考えているお客様もいるので、そこはケースバイケース。いずれ二世帯住宅にしたいというお客様は、じっくり考えたいと思いますし、北海道在住のお客様から市川市の実家のリフォームを依頼されたいケースは、打ち合わせに時間がかかりました。お客様の要望を伺いながら、効率よく営業活動ができるように考えています」



地域ナンバー1の店舗に
さらに専門知識を深めたい

添田さんの今後の目標は、この店を「地域ナンバー1」にすることだ。

同店では、店舗から自動車で15分以内の範囲を商圏として考えているが、特に注力しているのが、地元中学校の学区の範囲。ポスティングもその範囲に絞って行なっている。

「ナンバー1になるには、弊社が良い施工をして、お客様に満足してもらうことが近道だと思っています。それが良い口コミとなって広がっていけば、認知度が上がると思っています」

工事が終わってからのお付き合いが大切だとも、添田さんは考えている。

「弊社は市川で60年近く事業を展開しているので、OBのお客様も多くいます。OBのお客様には年に1回、『住まいの健康診断』の案内ハガキを出して、ご希望のお客様には点検や調査を無料で行なっています。そこからリフォームをご依頼いただくことも少なくないです」

添田さん個人としては、新たに水道工事関係の資格を取得したいと考えている。すでに第二種電気工事士やガス工事関係の工事の資格も持っている添田さん。水道関係の知識を深めることで、さらに専門的なアドバイスをしたいと考えている。

「私が勉強することによって、お客様への提案力を高まれば、成約率も高まると思います。それがお客様との信頼関係の「構築にもつながれば嬉しいですね」

▲添田さんが手がけたフルリノベーション案件。築45年のマンションで、キッチンは対面式にし、明るく広々とした空間を確保

▲建物の外観の調査にはドローンを活用。ドローンで撮影した映像を使うことで、説得力のある説明ができている。その他、雨漏りしている場所の特定に赤外線カメラを使っている



リフォマガ2024年1月号掲載