広告代理店の選定
不動産業界にかかわらず、殆どの事業者は広告の運用を自社ではなく広告代理店に依頼しています。最初に広告代理店を選ぶ際、みなさんはどのような基準で広告代理店を選定していますか。プレゼンの内容、営業マンの人柄、知り合いの紹介、これまでの付き合い、CPA(獲得単価)しばり、などでしょうか。
大事なのは、広告代理店側が自分たちの広告の運用成果だけでなく、サイト全体の成果を上げるために自分たちがどのように貢献できるかを、広告主の立場になって考えてくれるかどうかだと思います。そのためには、依頼する側の広告主は広告代理店に対し、しっかりと現状の課題を共有する必要があります。積極的に解析ツールの閲覧権限も与えましょう。
ただ、広告の運用だけしかやってこなかった広告代理店に関していうと、サイト全体の成果を上げるという発想は出てこないはずです。まだ多くの広告代理店が広告の運用だけに頼って仕事をしているのも事実です。その場合よくありがちなのが、どんなに時間をかけて広告運用をがんばっても、どんなに設定を見直しても、全く成果が上がらず、毎月の定例会で広告主に対し自分たちの運用成果の低さを謝り続ける、という状況です。
上記にような場合、非常にありがちなのが、サイト側に大きなボトルネックがあるということです。それさえ取り除けば、一気に成果が上がるのに、広告主側も広告代理店側もそれに気づかないという、誰も幸せにならないパターン。もったいない。
なので、広告代理店を選ぶ際は、ただの広告運用会社なのか、サイト全体の成果も考えてくれるWEBマーケティングの発想を持った広告代理店なのか、見極めが重要です。ただ、WEBマーケティングというと聞こえは良いですが、中には殆どを外注している広告代理店もあるので注意が必要です。外注先を使っていても問題がないのは、ちゃんと広告主側の目的が、広告代理店から外注先にしっかりと共有されているかどうかです。
また、CPA(獲得単価)しばりで広告代理店と契約するのは、サイト全体の成果を上げるという点ではおススメできません。仮に例えば目標CPAが20,000円とします。不動産業界なので当然市況が広告の成果にも影響を及ぼしますが、もし年間を通じて毎月同じ目標数値を追っていると、必然的に今月は目標に届かない、という場合が出てきます。この時、広告代理店は何をするかというと、獲得効率の良いKW、時間帯、エリアに予算を寄せる、というようなことです。
効率の良いKWというのは、成約率の良いKWというわけではありません。あくまで安くコンバージョンが獲得できるKWということです。このままだと定例会までに目標に到達できない、契約を切られるかもしれない、と思った広告代理店は、一時的に安く獲得できるKWに予算を寄せるということを考えるでしょう。
獲得効率の良い時間帯というのは、コンバージョンが多く発生する時間帯、CPAが安い時間帯ということになりますが、媒体にコンバージョンが発生するタイミングは、実際にユーザーがサイトで申し込みを行ったタイミングとは異なります。ユーザーがサイトで申し込みを行う際に辿ってきた経緯の中で、広告をクリックしたタイミング、時間帯にコンバージョンが媒体管理画面に反映されます。例えば、1/5のAM10:00に広告をクリックして実際にサイトで申し込んだのが1/20のPM20:00だった場合、媒体管理画面でコンバージョンが付くのは1/5の10時台です。このような事実を広告主側と広告代理店側が共通認識していればよいのですが、そうでなければ間違った判断を下す可能性がありあす。
獲得効率の良いエリアに関してもKWと同様です。目標CPAに届くのが難しいと判断したら、安い配信エリアに予算を寄せれば目標に近づく可能性が高くなります。それが実際は成約率が高くないエリアだったとしても。
なので、重要なのは、広告主側も広告代理店側もトータルで考えるという視点を持つことです。一時の成果の波で戦略を都度都度変えるのではなく、あくまで年間を通して、サイト全体の成果を上げていくことを共通目的とする。そういうことがお互いにできる、話し合えるパートナー選びをしてください。