夜分に届いた、母親からのLINE投稿。
「子どもにタブレット学習をさせていたが、ご褒美のゲームをしたくて学びが適当になっているのを見つけ、何とかしなければと思った。」
これは、幼児クラスに入塾したお子さまのお母様が書かれた入塾理由です。
5才で幼児クラスに入塾したそのお子さまは、地元の公立小学校に進みました。幼児クラスで1年、いまは児童クラスでわたしの授業を受けています。
学習系の習い事は「みらい塾」のみ。それ以外はバレエと水泳。とても元気で明るいお子さまです。
児童クラスに進んでしばらくした頃
その子は自分からやってみたいと言い出して全国統一小学生テストを受検したようです。
というのも
ウチの塾では模試対策や受験指導は行いません。外発的な動機付けが、長期的には子どもの「心の負担」になるからです。もちろん、全国統一小学生テストを受検することをすすめることはありません。
ある夜の8時過ぎのこと
「夜分にすみません! 先日受検した全国統一小学生テストが返ってきまして、国語が素晴らしい結果なのでシェアさせてください!」
と教室の公式LINEアカウントに投稿がありました。
タブレット学習をしていたお子さまのお母様からの投稿です。この投稿で、わたし自身がそのお子さんが全統小を受検したことを知りました。
気になるその結果は…。
国語150点中、150点の満点での全国1位。
その他の教科は1位こそ逃したものの、全国上位10%以内。素晴らしい!
後日、ON-LINE授業の際に、はにかみながらも誇らしげに報告してくれた塾生の笑顔に、喜びと自信があふれていたことが、結果以上に嬉しかったのを覚えています。
人間の「思考」には「直観的思考」「具体的思考」「論理的思考」の三つがあり、幼児から児童期は特に「直観的思考」が強いと言われています。
直観的思考は、イメージが強く作用します。簡単な会話ができる3才くらいのお子さまの感情を上手にコントロールできないのは、イメージを言語化できず、自分の気持ちを自分以外の他者に伝えられないことで起きるわけです。なぜなら、人間は、言葉がないと「思う」ことすらできない生き物だからです。
幼児期の言語習得期のお子さまを「直観的思考」から、イメージと言葉を重ね合わせた「具体的思考」さらに「論理的思考」へと身につけて行く環境においてあげると、感情のイメージを言語化できることからコミュニケーションが円滑にできるようになり、自己肯定感、やる気、忍耐力、協調性、自制心など、人の心や社会性に関係する力である非認知能力が大きく育ちます。
すると、お子さまは言葉と言葉を紐づけてまなぶ楽しさを知り、好奇心が満たされる喜びから誰に言われなくても自分からまなぶようになっていきます。これは、勉強面だけではなくスポーツ、芸術・音楽といった各分野で活かされていきます。
イメージの情報と言語化されたイメージ情報とでは、言語化されたイメージ情報の方が、意味を持つ情報として長く記憶にとどまり、他の事柄との結びつきが強く、再現性が高いため、認知能力としての結果が得やすくなるのです。
子どもに愛情を注ぐことも、何かしらの習い事をさせることも、子どもに好かれたくてする親はいないと思います。もちろん「子どもがやりたがったから」という理由もあるでしょう。でも、親の想いの大きいところは「子どもの将来を考えて」「子どもの健康や体力づくり、そして集団に慣れるため」「自分はできるという自信をつけるため」という想いがあるからでしょう。
つまり、子供に社会性を身につけさせたい、言い換えるとそれは非認知能力を身につけさせたいと思う親の気持ちからのことです。
加えて「勉強もできるようになって欲しい」なのではないでしょうか。ところが、言語力を伸ばし論理的思考を身につけさせることが、非認知能力を育て、認知能力を伸ばすということを知らない方がまだまだ多いのも事実です。
スポーツも芸術も音楽も、そして勉強も「できないと嫌」になり「できるから好き」になるわけです。
「わかったつもり」というイメージからでは「できる」ようにはなりません。
さらに「わかる(分かる)」と「わかる(=解る)」は、まったく違うのです。ミカンとリンゴの違いが分かる(=区別できる)のと、ミカンとリンゴの違いが解かる(=違いを理解する)のでは大きな差があり、解かるためには言語力を身につけた上での論理的思考がどうしても必要になります。
言語力、論理的思考力、これが非認知能力を大きくし、認知能力を伸ばすためのキーポイントなのです。
お金の話は憚れることが多いのですが、幼児期の3才から児童期の9才くらいまでが幼児教育の効果が大きい期間と定義する研究(ジェームス・J・ヘックマン「幼児教育の経済学」)でも、幼児期の言語習得期に論理的思考を鍛え伸ばすことが、教育における経済効果(コストパフォーマンス)が圧倒的に大きいことが分かっています。
「国語」学習を通じて非認知能力を伸ばす環境を具現化しているのが「みらい塾」です。
「みらい塾」では、幼児が無理なく・楽しく・伸び伸びと「遊びまなび」で脳を育て強くするまなびの場に、親も一緒に参加することを原則にしています。子どもだけでなく、親も一緒に「論理」をまなぶわけです。
国語を通じて「論理的思考」を強く身につけた子どもは、自ら学び成長することが楽しくなります。
全国統一小学生テスト全国1位の結果は、その子の成長のひとつの過程であり、誇らしい成果です。そして、みらい塾の理念でもある「なりたい自分を楽しむ」を体現してくれた一例です。
言葉、つまり言語力は認知能力です。鍛えることで、どのお子さまも確実に伸びる力です。
言語力には、言語処理能力と言語化能力のふたつがあります。豊富な語彙を、豊富な写真・イラストとともに直観的思考から具体的思考、さらに論理的思考へと着実に身に付けて行くからこそ、非認知能力が大きくなり、認知能力も伸びていきます。これは国語以外の科目でも同様です。
人間の脳は6才までに大人の約95%が完成します。皆さんもご存じのように、幼児期の脳は想像以上に急成長しているのです。この子どもの脳を「記憶する道具」にするのか否かは、子どもの心の成長にも大きく影響してきます。
ひとつひとつの成果に自信と希望が満ちあふれている笑顔を見せる塾生を、私は誇りに思いこれからも真摯に子どもに向き合っていきます。
それが、その子の将来だけでなく、この国の未来につながっていくからです。
あなたのお子さまの笑顔にも、自信と希望が満ちあふれてほしい。
それが、私たち「みらい塾」の願いです。
みらい塾 代表 杉本和功