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【幸せのためのヒントFile38:“身体(からだ)はひとつの生態系”と考える 漢方医が教えてくれること】

2024.08.02 00:09

『月刊ケアマネジメント』(環境新聞社)で連載している「4つの視点から考える 幸せのためのヒント」。

8月号では、漢方医の武田玲子先生に伺った話を紹介しています。

化学物質からなる医薬品や手術という手段をできる限り選択せず、食事を中心とした生活指導と漢方薬による治療に努めている方です。

動植物が好きで、自宅の梅の木を観察している武田先生。

梅の木と、テントウムシ、アブラムシ、カイガラムシ、アリ、クモなどの昆虫や小鳥などが食う食われるの関係にある様子に、たくさんの細胞から成り立ち、多くの微生物が作用し合うことでバランスを保っている人体を重ね合わせています。

そんななか、近所の公園の植え込みに棲む虫たちが殺虫剤で駆除されたり、開発などによって樹木が伐採されたりして生態系が壊されていることに、危機感をもっています。

「この50年のあいだ、私たちのまわりにいつもいた動物や植物たちがどんどん姿を消していっている」と。

と同時に、自然界には存在しない化学薬品によって、人体に異変が起こっていることにも。

武田先生にとって、環境保全と病気の治療は同じ次元の話なのです。

単一成分である医薬品に対し、漢方薬は多くの成分を含み、それらが身体の状況に合わせて複雑に作用することで効果を発揮するのだそう。

「同じ漢方薬が、高血圧の人には血圧を下げるように働いて、低血圧の人には血圧を上げるように働くこともある」

というから不思議です。


武田先生が伝えたいのは、「自分の身体の声に耳を傾けてほしい」ということ。

「医師といっても、すべてわかっているわけではないですから。患者さん自身の感覚のほうが正しいこともありますし」

「医師は患者さん自身が健康を守るのをお手伝いするだけ」

というスタンス。

そうやって“お手伝い”をしながら日々、学んでいるそうです。

「研究論文や学会で発表される情報をチェックするのも大事ですが、やっぱり、患者さんの症状を診て、そこから調べて学ぶことが多いですよ。それと、患者さんが『こうやったらよくなった』と教えてくださるご自身の体験談が、すごく役に立ちます」

とのこと。

聞くだけではなく、文献を読み漁り、自分のなかにストックされた知識や情報を駆使して、なぜよくなったのか科学的根拠を突き止めるのです。

尽きない好奇心と終わりなき探究。

「だから毎日、面白いんですよ」

と、ちょっとはにかみながら話す武田先生。

童心を忘れていない、チャーミングな方だなと思いました。