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かすたどんの謎 Vol.1

2018.12.30 11:30

鹿児島には、西郷どんの次に有名な「どん」がいる。
平成の世を駆け抜けてきた人気者「かすたどん」だ。
なぜにそこまで好かれるのか。その秘密が知りたい。


お酒には弱いが、

甘いものが大好物だったという西郷どん。

そんな薩摩の偉人に、いま食べさせたいお菓子があるとすれば、

「かすたどん」がナンバーワンではないだろうか。

いまは懐かしい昭和の終わりから平成の始め、

バブルの絶頂期ともいえる頃に誕生した「かすたどん」。

星の数ほど登場したお菓子たちの中でも、

ふんわりまあるいこのお菓子は、

発売当初から人々を熱狂させた。

30年のときを経た今では、

気軽に買える値段と食べ飽きることのない味わいで、

鹿児島のお菓子の中でも定番中の定番に。

盆や正月、ゴールデンウイークともなると

駅や空港の売り場では、あっちでも行列、

こっちでも行列、という光景を目にするほどだ。



わが家の熱狂

わが家を振り返ってみても、

そうなのだ。

かすたどんを手みやげにしたときは、

妻も、幼い娘も雀のように小躍りする。

それだけではない。

同居する100歳になるおばあちゃんは

目尻を下げてパクリと食べてくれるし、

30代の従妹は子どものころ箱で貰った

かすたどんの取り合いで兄弟喧嘩になって

いつも負けていたと遠い目をするし、

県外に出た甥っ子は「鹿児島のかすたどんっておいしいね」と

友だちに褒められたと声を弾ませたりする。

そんな、かすたどんエピソードは枚挙にいとまがない。



わきあがる「謎」

ふだんから、

その人気ぶりを目の当たりにしている

自分のような地元人だからこそ、

もっと知っておきたいと思う。

今まで知らなかった、かすたどんのことを。

そもそも、お菓子に「どん」がつけられたことからして謎だ。

「どん」とは鹿児島弁で「殿(どの)」。

「殿様」にもつながるやんごとなき敬称のはず。

湧きあがるさまざまな「謎」を胸に抱えながら、

天文館の「菓々子横丁」へでかけてみた。

そこは、いちばん気軽に、

かすたどんに会える場所だから─。