過敏性腸症候群の生活の質と心理療法:事務局便り#19
- 健康に関する生活の質とは
- 過敏性腸症候群が生活に与える影響
- 生活の質と心理療法
*動画とブログの中身は同じです。
本日の内容は、過敏性腸症候群と、生活の質や心理療法との関係についてです。
まず、健康に関する生活の質がどういうものか、簡単に説明します。
次に、過敏性腸症候群がどのように生活に影響を与えるのかの例を挙げ、最後にそれが生活の質にどう関係しているのか、そして心理療法がどんな役割を果たすのかを簡単に説明したいと思います。
健康に関する生活の質とは、病気やその治療が、その人が感じる健康状態(心の健康、元気さ、痛みなど)や、日常の仕事や家事、社会活動にどれだけ影響を与えているか、ということになります(※1)。
好きな食べ物を前にして、嬉しくなるより先に、これを食べたらお腹が痛くなるかもと考えてしまう。
出かけた先にトイレがなかったらどうしようと、出かけることを躊躇する。
お店にトイレが一か所しかなくて、自分が占拠したら迷惑をかけてしまうかもしれないと飲み会の出席をやめる。
友人と出かけてもトイレに行ってばかりで迷惑だと思われてしまうと考え、友人の誘いを断る。
出先で失敗してしまったらどうしようと考え、着替えを一式持ち歩く。
こんな風に日常生活が制限された経験はありますか?
困っている症状や不安を少しでも減らせる方法があると、それを試してみたくなりますよね。
そして、その方法で本当に症状が軽くなれば、続けたくなるのも当然です。
その方法で生活が楽になっているなら問題ありませんが、不安が強くなると、その方法を使う頻度がどんどん増えてしまうことがあります。
例えば、最初は特別な日だけその方法を使っていたのに、だんだん平日はいつも使うようになり、さらに休日も必要だと感じるようになると、逆に生活が辛くなってしまうことがあります。
本来は生活を楽にするための方法だったのに、むしろ生活が辛くなってしまうと、本末転倒です。
そのため、心理療法では考えに注目し、どうしてこうなってしまったのか、そしてどうすれば本来の目的である生活の質を良くすることができるのかを一緒に考えていきます。
次回は、図の症状や考え、予防策、そして生活の質について、もう少し具体的な例を使って説明してみたいと思います。
イラスト:イラストAC-カフェラテさんのイラストもしくはそのイラストを使って菊池が作成
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集英社新書プラス-知の水先案内人で【脳腸相関】の連載をしています。主に第10回および第11回が、過敏性腸症候群についてです。
※1 福原俊一. 臨床のためのQOL評価と疫学. 日本腰痛会誌 2002; 8(1): 31-7.