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酒場BETTAKO

BETTAKO -其の296-

2024.08.11 19:20

商い中を告げる行燈に、

明かりが灯された夕刻の日曜日。

ひと席、またひと席と埋まってゆく中、

ガラガラ♪と引き戸を開ける音が、火入れの

作業中背を向けていた方面から、聞こえてきた。


たまたま空いていた…、

そのひと席に腰を下ろした主、

それは谷口酒造のぐっさんだった。

まぁ、ぐっさんと呼ぶのは私くらいなもので、

古い付き合いというか、何というのか、

お互いが面白い距離感の中で、古くから

信用されてる?されてんのか?そんな

間柄でもある。


忙しく料理を拵え、酒を拵える日曜の店内。

谷口さんは、自蔵の銘柄が炭酸割りに、

向いているのか、向いてないのかを、

意見を聞きたかったようだ。


炭酸割り…つまりソーダ割りだが、

合う銘柄と合わない銘柄というのが存在する。

少しだけ、手隙になった頃合いを見かけて、

先日、大島から送って頂いた御神火芋を、

私ながらの見解の中で、谷口酒造の銘柄を、

炭酸割りに仕上げてみた。


谷口:さつまいもが…。

主人:うん。そっすね。

やはり…さつまいもが変わりましたね。

でもコンセプト枠の範疇には、

留まってますから、何とかしますよ。


セブンイレブンで売られていた強炭酸を

テイスティング。発泡の比率を探りつつ、

銘柄から逆算して、イメージを整えてゆく。


2種の異なる水と、更に異なる炭酸を、

混ぜ合わせ、御神火芋のスペックを上げさせて

もらった日曜日でもあった。

主人:やはり…。炭酸割りに向いているか?

と言われたら、向く向かないではなく、

ポテンシャルは半減しますよ。

ただ…。


炭酸2種、異なる水2種の混合比率で、

割られた御神火芋を、更に火入れを行った。

それは銘柄の謎を解明する事にも繋がり、

その仕立て間もない風味を、

ひとつひとつ、目の前の蔵元に吟味してもらう。

造り手が造った銘柄を、私が仕立てる。


それは2004年から何も変わってない。

御神火特有のエグ味や苦味、用いた品種芋達、

瓶の中で眠っていた性格を呼び起こし、

全てを融合させてこそ、御神火の製品

ブランドになる。


どう例えれば良いのかは、わからないが、

谷口酒造の製品向上に、微力ながら私が役に

立っている事がありがたくもあり、

それが古くからの関係なんだと、

思う今日この頃でもある。