三代目❤夢小説 『NAOTO編38』
2019.01.03 23:00
まりあの手からスケッチブックが落ちた。
大切なスケッチブックを気にかける余裕もない程、直人の抱擁は温かくて愛情に満ちていた。
「心配したよ」
「直人さん…どうして?」
「ん?連絡が取れなくなって、心配で飛んできちゃった」
キラキラ光る大きな瞳から大粒の涙が落ちた。
「まりあちゃんに涙は似合わないな」
直人はポケットからハンドタオルを出し、まりあの涙を拭った。
「碧先生は?一緒じゃないの?」
「今朝の高速船で先に帰りました」
「そっか…」
「直人さん、隆臣くんは?」
「心配かけてごめんね。何度も電話したんだけど、繋がらなくて」
「無事に保護されたって」
「…よかった」
またポロポロと涙がこぼれ落ちた。
直人は再び自分の胸にまりあを抱き寄せた。
「スマホは?いま持ってるの」
「…碧先生が持って帰りました」
「そうだったんだ」
「何もされなかった?手を見せて」
まりあの細い腕を取って長袖を肘までめくってみた。
無数にあったアザは赤紫にはなっているが、新しいものはなさそうだ。
「だいじょぶです。機嫌は悪かったけど」
「そっか…」
「急に抱きしめたりしてびっくりしたね」
まりあをその場に座らせて、砂浜に落ちたスケッチブックを拾い砂を払った。
直人もまりあの隣に足を投げ出して座った。
手にしたスケッチブックをパラパラとめくってみる。
真新しい直人の似顔絵が笑いかけている。
すっかり泣き止んだまりあが直人の目を見て尋ねた。
「どうして…こんなに良くしてくれるんですか?」
爽やかな海風がまりあの髪を揺らす。
大きくて潤んだ瞳が真っ直ぐ直人を見つめる。
観念したようにまりあから目を逸らし、直人の目線は青い海の方向を見た。
「好きに…なっちゃったのかもね」
つづく