全国知事会「米軍基地負担に関する提言」
◯ 米軍基地負担に関する提言
全国知事会においては、沖縄県をはじめとする在日米軍基地に係る基地負担の状況を、基地等の所在の有無にかかわらず広く理解し、都道府県の共通理解を深めることを目的として、平成28年11月に「米軍基地負担に関する研究会」を設置し、これまで6回にわたり開催してきました。
研究会では、日米安全保障体制と日本を取り巻く課題、米軍基地負担の現状と負担軽減及び日米地位協定をテーマに、資料に基づき意見交換を行うとともに、有識者からのヒアリングを行うなど、共通理解を深めてきました。
その結果、
1 日米安全保障体制は、国民の生命・財産や領土・領海等を守るために重要であるが、米軍基地の存在が、航空機騒音、米軍人等による事件・事故、環境問題等により、基地周辺住民の安全安心を脅かし、基地所在自治体に過大な負担を強いている側面がある。
2 基地周辺以外においても艦載機やヘリコプターによる飛行訓練等が 実施されており、騒音被害や事故に対する住民の不安もあり、訓練ルー トや訓練が行われる時期・内容などについて、関係の自治体への事前説 明・通告が求められている。
3 全国的に米軍基地の整理・縮小・返還が進んでいるものの、沖縄県に おける米軍専用施設の基地面積割合は全国の7割を占め、依然として 極めて高い。
4 日米地位協定は、締結以来一度も改定されておらず、補足協定等によ り運用改善が図られているものの、国内法の適用や自治体の基地立入権 がないなど、我が国にとって、依然として十分とは言えない現況である。
5 沖縄県の例では、県経済に占める基地関連収入は復帰時に比べ大幅に 低下し、返還後の跡地利用に伴う経済効果は基地経済を大きく上回るも のとなっており、経済効果の面からも、更なる基地の返還等が求められ ている。
といった、現状や改善すべき課題を確認することができました。
米軍基地は、防衛に関する事項であることは十分認識しつつも、各自治体住民の生活に直結する重要な問題であることから、何よりも国民の理解が必要であり、国におかれては、国民の生命・財産や領土・領海等を守る立場からも、以下の事項について、一層積極的に取り組まれることを提言します。
記
1 米軍機による低空飛行訓練等については、国の責任で騒音測定器を増や すなど必要な実態調査を行うとともに、訓練ルートや訓練が行われる時期 について速やかな事前情報提供を必ず行い、関係自治体や地域住民の不安 を払拭した上で実施されるよう、十分な配慮を行うこと
2 日米地位協定を抜本的に見直し、航空法や環境法令などの国内法を原則 として米軍にも適用させることや、事件・事故時の自治体職員の迅速かつ 円滑な立入の保障などを明記すること
3 米軍人等による事件・事故に対し、具体的かつ実効的な防止策を提示 し、継続的に取組みを進めること
また、飛行場周辺における航空機騒音規制措置については、周辺住民 の実質的な負担軽減が図られるための運用を行うとともに、同措置の実 施に伴う効果について検証を行うこと
4 施設ごとに必要性や使用状況等を点検した上で、基地の整理・縮小・返還を積極的に促進すること
平成30年7月27日
全国知事会