【ミニレポート】オノ・ヨーコ|私の窓から
セクション1
カット・ピース
オノが舞台に座り、観客が一人ずつ彼女の服をハサミで切り取っていく。
最初は遠慮がちに切り取る人が多かったが、彼女から服を奪おうという欲望が表れてきて、彼女の肌がみるみる露出していく。下着の紐まで断ち切られ、手で胸部を隠すところまでいくのは衝撃的であった。
しかしオノの顔はとても静かなのだ。彼女は身じろぎせずに、それを受け入れるのだが、露骨な切り取りには無言の怒りや嫌悪感が黒い瞳に浮かんだ。
人間の持つ暴力性を引き立つような、体当たりのパーフォーマンス。性差と女性の社会からの圧力が感じられた。
男女の平等性を訴えた「私たちはみんな水」
一列に並んだお椀の前には、ブッダやヒトラー、ウォーホルなどの著名人の名前が書かれたプレートが置かれていた。
この作品についてオノは、「人間の成分はほとんどが水で、蒸発すればみんな同じ、みんな平等だということ。他人を批評しても結局みんな同じ。」と語っている。
セクション3
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記者会見に出たオノは、「最後に覚えている東京は爆弾で焼けたイメージが強く、食べるものもなかった」と言い、戦後の東京は「新しい国のよう」と話す。「これまで自分の作ったものを大事にしてきた」という制作については、「人を"勧誘"できるアートを作るのは面白いんじゃないかと思って」と他者との繋がりを意識しているという。
最後に「必要のない人なんて一人もいない。皆さんの人生を大事にしてください」と会見を締めくくった。
オノの作品は、平和運動や女性解放運動など、政治色の強い作品が有名で、一見美しい作品に見えてもその背後には暴力や陰惨な事件への抵抗が隠されているような作品が並んでいた。
人の思想や理念は各々異なるが、平和というのは誰しもが望むものであり、人の本質であると感じた。
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