長期積立て投資の基本
執筆者:小山英斗
8月の月初からの株価暴落はようやく落ち着きを取り戻してきましたが、今年に入ってから米国株を上回る上昇を見せていた日本株は、7月11日の最高値から8月5日に付けた底までは約25%の大幅な下落となりました。
今年から新NISAを始めた人のなかには下落を報じるニュースや、不安を煽るようなSNSでの投稿を見たりして、相当動揺された人もいるのではないでしょうか?
以下は、ダウ、S&P、NASDAQ100といった米国株の代表的指数と、日経平均の年初来の推移です。日経平均の下落幅の大きさがよくわかります。
8月に入ってからは円高も同時に進行したため、円建ての米国株指数の下落幅は上記グラフより大きいものとなっています。ただし、年初来で見ると、年初のドル円が143円台だったのに対して現時点では147円台と、年初来では円安となっているため、円建ての年初来の米国株指数は上記グラフよりさらにプラスとなっています。
先週までの株価の戻しにより、年初から積立て投資を継続してきた人は、大幅下落による一時的な含み損から、すでにプラスに転じた人も多いのではないでしょうか?
新NISAを通じて投資を始めたばかりの人にとって、今回の大幅下落があったことは、良いタイミングでの経験になったかと思います。
今回のような下落時には、SNSで不安を煽るようなメッセージが多く流れたりしますが、もしそれを受けて不安に駆られるようだとしたら、自分の資産や収入、家族の状況に対して投資したお金が大きすぎた(リスクを取り過ぎた)のかもしれません。
自分が不安にならない投資額というのを今一度見直してみましょう。
NISAでの投資は「長期積立て投資」による資産形成が目的です。長期とは、少なくとも10年以上で、20年、30年といった長い期間をかけて投資していくものです。その間に、今回のような下落はまたあるでしょう。
長期積立て投資の基本は、どんな状況においても自分で決めた投資額をコツコツ継続して積立てていくことに他なりません。
もし、株式への長期投資が不安になったときは、以下のグラフを思い出すようにしましょう。
このグラフは、1802年~2013年の約200年間、アメリカにおける各資産の価値の推移を示した研究結果です。「1802年に1ドルずつ各資産に投資したら2013年にはどうなっていたのか?」を表しています。
ジグザグした上下動をしながらも、株式が長期の資産運用において秀でた選択肢だということが分かるグラフです。一方で、現金の長期保有では資産価値を維持できないことも分かります。
長期積立て投資は、まさに株式が長期の資産運用で最適なものであることを信じて行うのです。
未来が見えるね研究所 代表 小山英斗