【レポート】WILL2024@オンライン: NPO法人支援センターあんしん(新潟県十日町市)を訪問しました
WILL2024@オンラインにファンドレイザーとして参加している横山(よこやん)です。
8月6日(火) に支援先の一つであるNPO法人支援センターあんしん(以下、あんしん)に、合同会社めぐるの木村(きむ)さんと長谷川(こゆき)さんと訪問してきました。
訪問してきた感想は一言で言うと、「このNPOはすごい!」です。
そのため、今回は「あんしんの何がすごいのか?」をレポートにしてお届けしたいと思います。
1.あんしんとは?
まずはあんしんの概要になります。
あんしんは豪雪地帯である新潟県十日町市にあるNPO法人で、障がい者福祉事業を始めてから20数年になります。
利用障がい者数は約170人、従業員は約160人で、非営利法人では大きい組織になります。
会長である樋口さんがあんしんを始めたきっかけは、重度障がいをお持ちの末娘の明紀子さんでした。
明紀子さんは幼少の頃の事故が原因で「てんかん」を発症し、それが原因で重度障がいを負ってしまったそうです。
明紀子さんは中学生からは養護学校に通い、そして卒業することとなります。
養護学校卒業後は、重度障がい者に適した施設に通うことが望ましいのですが、そのような施設は当時、十日町市に限らず日本にはまだ少なかったそうです。
「娘を預けられる施設がなければ、自分でつくればいい」。
そう言って、会長である樋口さんは2002年にあんしんを立ち上げることとなったそうです。
その後のストーリーは、樋口さん著の『豪雪のまちで福祉を叫ぶ』をぜひお読みいただきたいのですが、今では
・就労継続支援B型事業のワークセンターあんしん・きぼうワークス
・生活介護事業のケアセンターハーモニー
・共同生活援助事業としてグループホーム12棟
・十日町市委託事業各種
とさまざまな事業を展開し、この20数年で地域になくてはならない団体になりました。
本当にすごいですね。
2.あんしんのすごいところ
ここからは本題であるあんしんのすごいところをご紹介したいと思います。
(1) 障がい者が活き活きと働いている「職場」がすごい!
障がい者のみなさんが働くワークセンターあんしんに訪問してびっくりしたことは、みなさんが活き活きと働いていることでした。
見学の私たちが入った瞬間、「こんにちはー!」と大きな声で挨拶してもらい、とても元気をいただきました。
作業所というと「少し暗いイメージなのかな?」と訪問する前は思っていましたが、あんしんの職場はむしろ活気に満ち、みなさんが誇りを持って仕事にあたられていて、イメージを覆されました。
就労支援事業の作業所自体初めての訪問だったので比較はできないですが、ここまで活気が満ちた作業所は、おそらく日本中探してもなかなかないのではないかなと感じました。
(2) 障がい者が活き活き働ける職場をつくる「工夫」がすごい!
障がい者のみなさんがなぜ活き活きと働けているのかというと、それはあんしんの経営努力に他なりません。
あんしんがやっている工夫は、「A.働く場をつくる工夫」と「B.収益を上げる工夫」で、どちらが欠けても活き活きと働ける職場にはなりません。
A.働く場をつくる工夫
(1) で紹介したワークセンターあんしんでは、トイレットペーパーを作り販売しています。
製造工程では、半自動製造機でトイレットペーパーをつくり、三角折や包装作業、箱入れ作業、絵手描き作業などをしていますが、正直ほとんどが「機械化可能」な仕事です。
しかし、あんしんは障がい者が活き活き働く場をつくるために、あえて全自動の機械を入れていません。
その分コストもかかり販売価格も上がってしまうので、効率化を求める世の中の流れからは逆行しているようですが、障がい者の働きがいをつくるために、あえて作業をつくり出しているとのこと。
この「障がい者の働く場づくり」が顧客から選ばれる要因の一つなのかもしれませんね。
B.収益を上げる工夫
働く場をつくることでコストも余分にかかってしまうので、収益を上げる工夫も必要です。
あんしんでは、商品の付加価値を高める工夫として、トイレットペーパーの包装紙に会社のロゴを印刷してノベルティグッズにする工夫や、障がい者が描いた絵をはがきに印字して同封するといった工夫がなされています。
また、徹底したリサイクルもあんしんの特徴です。
案内してもらった施設の物品はもらい物ばかりで、特に驚いたのは、グループホームの部屋の扉。
地元企業の社長室の扉をもらってきて、そのまま建築の際に組み込んでしまったそう(笑)
ここまで徹底したコスト意識のおかげで、障がい者のみなさんが活き活きと働ける職場に結びついているのかもしれませんね。
(3) 地域になくてはならない組織なのがすごい!
あんしんは本当に地域になくてはならない組織なのだなと感じました。
あんしんの施設は48あるのですが、そのすべてが十日町駅周辺約600メートルの中に収まっています。
事務局長の久保田学(まなぶ)さんに理由を聞いたところ、「樋口会長が日課の散歩に行くついでに、空き家となってしまった町の物件を買ってきて、あんしんの施設にしてしまうから結果的にそうなった」とのことでした(笑)
当初は「どういうこと?」と思いましたが、町の高齢化が進み、亡くなってしまった方のお家(空き家)を買い取って、あんしんの施設にしているとのこと。
空き家のままだと、地域の人も行政も困ってしまう。
それをあんしんが買い取って、障がい者のみなさんが豊かな生活を送るための拠点としてしまう。
本当にすてきですよね。
3.最後に
あんしんのすごさをうまくお伝えできたかわかりませんが、いかがだったでしょうか?
私は、公認会計士として約11年、いろいろな企業やNPOを見てきましたが、久々に「めっちゃいいNPO見つけた!」という気持ちになりました。
そんなすごいNPO法人支援センターあんしんですが、課題もまだまだあります。
特に、その課題を象徴する数値として、「障害基礎年金+平均工賃―生活保護費=▲15,000円」があります。
どのような意味かというと、障がい者のみなさんが働いて得る年金+賃金よりも、生活保護を受けて得られるお金の方が15,000円も多いということです。
つまり、働くよりも生活保護を受けていた方が経済的メリットがあるんです。
あんしんとしては、障がい者のみなさんが働く喜びを得て、かつ経済的にも豊かになってもらいたいと思い、事業をやられています。
そのため、自分たちで上げることが可能な「平均工賃」を上げることに取り組んでいます。
平均工賃は自分たちで決められる給料のようなものなのですが、平均工賃を上げるためには原資が必要です。
もしこの記事を読んで「いいね!」と思ってくださった方がいれば、以下の2つの方法であんしんへの支援をお願いします。
(1) あんしんのオンラインショップでトイレットペーパーを購入する
(2) あんしんの会員になる
以上になります。
ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
また、今回ご案内いただいたあんしんのまなぶさん、プログラムを運営いただいているめぐるのきむさん、こゆきさん、ありがとうございました。
これから年末までこのプログラムは続きますが、あんしんをしっかりサポートしていきたいと思います。