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一般社団法人 江戸町人文化芸術研究所

vol.77「家慶の悩み」について

2024.09.29 20:15


12th家慶について調べてみても、特にこれと言ったことをしていないので困る。天保の改革も、蛮社の獄も、中心人物ではないから将軍なのに影が薄い。目ぼしいエピソードとしても有名なのは「芽生姜」の話くらいか。で、ついにペリーが浦賀に来航して、いよいよ幕末!って時には、暑気あたりでコロッと退場してしまう。


かと言って、さすがに将軍様をスルーしてサクッと次に進むわけにもいかない。いくら「凡庸の人」と呼ばれようとも、彼も彼なりにいろいろ悩みや気苦労を抱えていたのだろうし。なんせ、ペリー来航から約14年で徳川幕府はあっと言う間に崩壊してしまうのだから、彼の時代がまさに「終わりの始まり」と言える


ってことで、そんな時代に将軍を務めた、とっつぁん坊やの家慶が、何をしたか? ではなく、何に悩まされていたのか? に注目して、まとめを作ってみた。




⚫︎ クセの強いビッグダディに悩む

影の皇帝グランパ治済と共に、家斉帝国を築き上げたビッグダディに、とっつぁん坊や家慶はただ平伏すばかり。ようやく引退したかと思っても大御所として居座られ、出る幕がない。江戸が華やかな反面、商業が発展しすぎて武家はどこもかしこも借金だらけで、幕府の財政もまたピンチ。でも言えない。てか言うとキレられる。はよ死んでくれと祈るしかない。



⚫︎ 張り切りすぎる水野忠邦に悩む

やっとこダディが亡くなり、早速テコ入れのため投入した水野忠邦が過激すぎる。奢侈や娯楽を次々禁止し、家慶のとっつぁんが大好物としてた芽生姜まで禁止対象にされて、そんな細かいことまで言うのが改革なのかね、、と首を傾げる。会えば会ったで「町奉行らが反発するんで改革が進まないんですけど!」とギャーギャー言うてきて鬱陶しい。もうちょっと上手くやってくれよと思う。



⚫︎ 列強国の接近に悩む

隣の清国がイギリスに仕掛けられたアヘン戦争に負けたらしく人事でない。次はウチっぽい。怖いのでとりあえず問答無用の異国船打払令を改め「薪水給与令」を発令し、燃料・食料の支援を行う柔軟路線に転換。とにもかくにも海防を強化するため忠邦が「上知令」を出したけど、大ブーイングの嵐でやむ無く忠邦クビ。同じく脱出ルート創りの印旛沼開拓も頓挫してるし、忠邦ホント使えない。代わりに24歳の「阿部正弘(まさひろ)」を老中に任命。



⚫︎ 薩摩藩のお由良(ゆら)騒動に悩む

お由羅騒動とは、薩摩藩主「島津斉興(なりおき)」の後継者を、嫡子「斉彬(なりあきら)写真上」にするか、側室お由良の子「久光(ひさみつ)写真下」にするか、で起こったお家騒動。斉彬の方が聡明で、新老中の阿部正弘も、若き薩摩藩士の西郷隆盛&大久保利通らも斉彬推し。なので「お由良が旦那に圧かけて久光を後継者に指名させちゃう前に、斉興に隠居命じちゃって!」と将軍に嘆願。仕方ないから介入する家慶のとっつぁん。果たして良かったのか悪かったのか。



⚫︎ 子供がどんどん早世して後継ぎに悩む

家慶のとっつぁんには、14男13女もの子供達がいたのに、次代将軍となる「家定」を除く、すべての子供が20歳を前に亡くなってしまう。おそらく女性の白粉(おしろい)に含まれる水銀の毒のせい。残された家定も病弱で脳性麻痺あり。そんな家定じゃ、迫りくる列国と渡り合えまいと、水戸の徳川斉昭(なりあき)の7男「慶喜」を時期将軍にするべく、まずは御三卿の一橋家を継がせることに。しかし、継嗣は将軍の嫡子を優先するべきという、阿部正弘をはじめとする老中らの諫言により結局、断念。



⚫︎ 水戸の斉昭(なりあき)のウザさに悩む

わがまま、自己中、横暴、ヒステリック、出しゃばり、礼儀知らず、恥知らず、人を見下す、人の意見を聞かない、常に自分が正しいと思ってる、排他的、差別屋、反省しない、自己矛盾に気付かない、クレーマー、大局を見ないで自分の考えのみゴリ押しする、無神経、平気で人を裏切る、嘘をつく、誇張して騒ぎたてる、善業の実績なし、そのくせずけずけと幕政に口出ししてくる超厄介者。愛想の尽きた家慶のとっつぁんは斉昭に謹慎処分を命じる



⚫︎ オランダ国王からの手紙に悩む

清のイギリス惨敗を受けて、オランダ国王ウィレム2世から「もう鎖国は無理だから開国したほが良いよ」と開国勧告のお手紙が届く。ははん、さては日本開国の窓口になることで自分らの立ち位置を有利にしたい腹じゃな。ひとまず「そのうち返事するから今回は帰って」と帰らせ、後日「余計なお世話ありがとさんです」と返事送る。ちょっと失礼すぎたかもしらんが、鎖国は簡単に解除できないんだから仕方ないじゃん。それにしても最近ホント異国船がよく来て困る。



⚫︎ 浦賀にペリーの黒船が来て悩む

来るぞ来るぞとは聞いていたが、なんですか、あの蒸気船とやらは。帆と風がなくても進むとは。。アメリカ大統領からの親書を将軍に渡すのが目的とな。あああ目眩が。悩みすぎて病に伏せる家慶のとっつぁん。とりあえず阿部正弘がペリーさんから親書を受け取り「将軍いま病気だから1年後にまた来てちょんまげ!」と定番の一発ギャグでお引き取り願う。さて、ここからどうしたものか。。




と、こんな感じで悩みは尽きない、とっつぁん坊やの家慶さん。悩み疲れたせいかポックリ逝ってしまわれる。なんて悩み多き人生であろうか。徳川家慶、何した人? の答えは「苦悩し続けた人」が正解なのかもしれない。

頭があんなに膨れるほど悩んで、お気の毒に。。(それは生まれつきか)



参考
https://rekishigaiden.com/tokugawaieyoshi/
https://www.touken-world.jp/tips/44526/