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おうちカフェ さんちゃん

幼いころに読んだ絵本 『花さき山』について

2024.08.23 19:51

私の父が印刷会社に勤めていたので、幼い頃、刷りたての絵本をときどき、お土産で貰いました。今日は、そのなかの一冊、『花さき山(文 斎藤隆介 絵 滝平二郎)』についてです。

(あらすじ)

10才の主人公の“あや”は、家が貧乏で、祭りのための晴れ着が妹の分を含め、2枚も買えないことを知っている。ぐずる妹の“さや”を目にして「おらはいらねえから、“さや”に買ってやれ」と母親に言う。

ある日、あやは山菜を取りにいき山で道に迷ってしまった。

迷い込んだ山の奥には、見事な花畑が広がっていた。すると、見とれるあやの前に、山んばが現われる。山んばは、この世の何でも知っている。山んばはこんなことを言った。

「人が辛いのを辛抱して、自分のことより、他人のことを思って、涙を一杯ためて辛抱すると、その優しさと、健気さが、こうして花になって、咲きだす」。あやの足元に咲く赤い花は、あや自身が咲かせた花だと言う。貧しい家を気遣って親に申し出た。その優しい気持ちが赤い花となったと言う。

(印象に残った絵について)

絵本の最初の頁の模倣が、今日の切り絵です。

杖を持ち、髪の毛がぼうぼうの山んばが後ろ向きで立っています。そして、黒い頁の右上部分に、下記の山んばの独白が載っていました。

「驚くんでない。おらはこの山に1人で住んでいるばばだ。山ンばというものもおる。

山ンばは、悪さをするというものもおるが、それは嘘だ。おらはなんにもしない。

臆病な奴が,山ンなかで、白髪のおらを見て勝手に慌てる。

そして弁当を忘れたり、慌てて谷さ落ちたり、それがみんなおらのせいになる」。

私が覚えている最初の読書体験です。ドキドキしました。子ども向けの絵本なのに、恐怖をかき立てるおどろおどろしい黒い背景の中に、山んばがいて、しかも顔はまだ見せない。一気に物語世界に引き込まれました。

このお話は、思いやりや親切心を学ぶために、今でも小学校中学年の道徳の教材に使われるそうです。それも納得です。確かによくできたストーリーです。

でも、それでは魅力の半分しか味わっていないと思います。幼い私を圧倒したのは、絵と文章の見事な調和でした。伝わる緊張感でした。後々の絵画鑑賞や映画鑑賞にもつながる貴重な絵本だと思います。

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