「古志」YouTube句会(8月)を終えて
8月24日(土)は「古志」Youtube句会でした。
毎月第四土曜日に定期開催しています。
特選句からいくつか。
虫売や虫を褒めつつ客の手に 西川遊歩
売り手からみても自慢の虫なのでしょう。ワクワク感が伝わってきます。
虫売は秋の季語になっていますが、
日本では江戸時代から戦前にかけて、
鈴虫や松虫など声の良い虫を虫籠に入れて売り歩いて商売をする人がいました。
虫の声を愛でる文化があるのは日本と中国くらいだそうです。
母の無事問へば風鈴秋の音 峯岡知枝
なにか心配になることがあって、母の安否を確認しに行ったのでしょう。
実家では変わらずに風鈴が鳴っていたのです。
母が無事だったかはあえて描かず、風鈴の音だけを詠んであります。
それによって一句に奥行きと余韻が生まれています。
しかも夏ではなく秋の風鈴です。
季節と景物と心象がうまく重なりあって一句の味わいを生んでいます。
明日退院白桃ひとつ冷やしあり 髙橋真樹子
選句中は作者の名は伏せてありますので、
どなたの句かはわからない状態で選句するのですが、
思い返せば、
先月の句会で、
入院を明日にひかへし裸かな 髙橋真樹子
が出されていました。
ご主人が入院ということでしたが、
無事、明日退院となったのです。
そして夫婦一緒に食べる白桃が美味しそうに冷やされているわけです。
もちろんこの句はあえて主語を明示していませんので、
読者が自分の経験を重ねて自由に読むことができるようになっています。
それぞれの人生のかけがえのない一瞬一瞬が一句になるわけですが、
そうした場に立ち会い、悲喜や辛苦を分かち合うことができるのが、
句会の良さの一つでもあります。
「古志」YouTube句会は毎月第4土曜日に開催しています。
次回は9月28日(土)です。
「古志」会員であれば、どなたでもご参加いただけます。
欠席投句も可能です。動画はあとからいつでもご視聴いただけます。
初心者の方も歓迎いたします。
ぜひご参加ください。