提案『1歳児が獲得すべき集中力』
1歳児の発達で目を見張るものはまず二足歩行ができるようになり、そして手に道具を持ち器用さを獲得し尚且つ初めての知恵の出現があるということです。これらの粗大運動、微細運動、そして脳の発達を更に良い方向に促すのに必要なものは集中力です。子供たちそれぞれの特性や行動に目を配り集中力を伸ばすにはどのような方法で何を使用して集中の質を上げ時間を伸ばしていくのかを親が見極めなくてはなりません。今回はこの1歳児がどのように集中力を身に付けていくのかを今回と次回の2回に分けて提案して参ります。
話を進めるその前に我が子をじっくりと観察するということが必要であることについて話を進めます。
《 子供の集中している表情を確認する 》
皆さんは子供たちが集中している時の表情をじっくりと観察したことがおありでしょうか。子供の声がせず静かになったと感じ子供の方へ目を向けると何やら集中しているようであったとする体験をなさっておられる方は多いものです。しかしその表情をまじまじと注意深く観察したお母様は少ないでしょう。面白いことに子供の集中している様子というのは似ているようで多少異なります。同じ兄弟姉妹であっても集中している時の表情には違いがあります。まず自身のお子さんが集中している時の表情を確認し、どのような特徴があるのかをじっくりと観察し確認してみましょう。ざっくりとした以下の特徴があります。
1、真剣な表情で夢中に何かをしている
2、じっと対象を見つめたり、手で触ろうとしている或いは手で触れ確認している
3、口と手を同時に動かしている
4、口を一文字に結んでいる或いは口を開けている、涎を垂らしている
5、一人で夢中になっている
6、呼びかけに反応しない
7、危険か安全の判断ができない
《 集中する時間は短時間 》
子供の集中力は短いものです。子供の中には0歳児での熟視が獲得できていなければ1歳で集中している様子をなかなか見ることはできません。短時間でも集中しているかもしれませんがそれ以上に落ち着かず次から次へと行動変化を起こしている場合が少なくありません。
集中の根源はじっくりと見るということです。よってこのような場合には福音館書店の月刊絵本012を活用してじっくりと絵を見ることを反復してください。絵本を楽しむということには適切なタイミングがあります。乳児期にその発達にあった絵本をじっくりと見るということをせずに読み聞かせに重点を置いてしまうと熟視が蔑ろになってしまいます。熟視は集中力の根源ですから集中力を伸ばしたいのなら先ずはじっくりと見ることを促せば第一ステージクリアーとなるのです。
集中する時間は『年齢+1』と言われています。1歳だと2分は集中することができるとされています。もしその2分ほどの時間を集中することが難しいようであれば先ず熟視を促します。その後の方法についてはご家庭の環境やお子さんその特性によってれぞれに方法が異なりますのでご相談ください。
《 集中力を養うもの〜自然から〜》
子供の集中力の質の高いものにしたいのであれば自然界からの刺激を真っ先に取り入れるようにしましょう。そのためには子供自身が自分の足で外に出かけることにより五感への刺激を受け取る粗大運動を実行してほしいと思います。
話が多少逸れてしまいますが1歳児の歩行は進むべき方向へ足を向け、足の踵から足先へとどのくらいの力を加えて歩き、歩幅はどのくらいにするのかを思考と体の動きを通して理解することになります。その時点で脳がフル回転をしているわけですから歩かない子供よりも脳への刺激は比較にならないほどであることは理解していただけると思います。その上で自然界からの刺激は私たち大人が考えている以上の良質なものがあり、人工的なものから得られる刺激よりもはるかに質の良い刺激で思考しながら集中する世界へと誘ってくれます。
光、風、雨、雷、雪、海、川、砂、山、木々、鳥や虫の鳴き声、空気感、気温など体で感じることや目で見ること、音を拾うこと、香りなどでダイレクトに五感に働きかけてくれます。私はこの自然界からのギフトを受け取らないのは宝の山に入りて何も手にせず過ごすごと手ぶらで帰ってくるようなものだ考えています。そしてこの自然界からの贈り物に気付いた子供たちは自らその贈り物を探して獲得していく強さを身に付けていきます。受け身ではなく積極的に意欲的に探究心を育てていく極意が自然界には溢れているのです。多くの科学者や芸術家はこのような自然界に身を置いて幼少期を過ごしていることを毎週金曜日のシオの勝手に幼少期シリーズ偉人で記してまいりました。そう考えると野山を駆け巡る子供時代を送っと子供の方が生きる力に溢れているということは言うまでもなく、集中力に秀でているため物事の本筋、真髄、本物というものが幼くして見えているのであろうと考えています。
《 集中力を養うもの〜屋内での取組み〜》
屋内での集中力を養う働きかけは手指を使用した微細運動への働きかけが中心となります。0歳児で自身の手指を道具のように扱ってきた乳児は1歳児になると器用さに益々磨きをかけていきますが、それ以上に新生児の頃に残る原始反射の把握反射や掌握反射に直接働きかけを行い刺激を与えているとかなりのパーセンテージで器用さを獲得していきます。よく耳にする言葉で不器用さは親に似たのねという親譲りを強調される親御さんもおられますがもともと器用不器用な差はなく、誕生後の手指を動かし物に触れる経験の差が器用不器用に現れてくるだけなのです。
手指の動きは第二の脳と言われるる通り手指を動かせば動かすほど脳にも多くの刺激を与えます。そしてその副産物として物の扱いが上手になり、意図したことができるとその喜びが意欲へのスイッチを形成していきます。経験を増やせば増やすほど器用さも増し脳への刺激も多くなるので物事を理解するスピードにも早くなります。すると集中している時間も自ずと長くなっていくのです。この屋内での取組みについてどのような道具を使用するかは、次週の9月9日の提案記事は『1歳児の集中力を伸ばす手作りおもちゃ』と題して記事を予定しております。そちらも合わせてお読みください。