【交代挨拶】『4年間ありがとうございました』前副代表 岩瀬航
千葉大学映画研究会所属の岩瀬と申します。一年間、首都圏映画サークル連合副代表を務めさせていただきました。
堅苦しい話はすべて飛ばします。連合は、もっと利用されてほしいと私は思います。ここでいう“利用”とは、“連合のイベントに参加する”という意味ではなく、“連合によって生み出された、利益を生む可能性を、自分および所属団体のために活用する”という意味です。
連合が生み出した“利益を生む可能性”の最たるものは、人と人とを結びつける土台、ネットワークを構築したことであると思います。4年間の連合委員での活動において、誇るべき功績のない私ですが、このネットワークづくりにささやかな貢献をしたことは、ちょっと悦に浸る余地があってもいいのかな、とうぬぼれています。
映画というものは、ひとりでは完結させることはできません。映画を「つくる」、映画に「出る」だけであれば、ひとりでも可能かもしれませんが、「観てもらう」、「評価してもらう」ということについては、決してひとりでは行えないばかりか、それに関係する人数は多ければ多いほど得るものが大きくなるでしょう。
このことを念頭においても、映画制作において交友関係は非常に大きな意味を持ち、さまざまな人との出会いは、必ず自分の作品を進化させ、自分自身を成長させてくれるものであると、私は信じています。私は連合という場に4年間参加していました。そのなかで、「こんな人とは出会わなければよかった」と思う方は、誰一人いません。先輩も、後輩も、同級生も、だれしもが私にとってのよき理解者であり、的確な批判者でもあり、先達でも、ライバルでもありました。そのような友人、しかも刹那的な友人ではなく、これから数十年も付き合えるような友人を得られたことは、大変大きなことでありました。
連合を利用することは、自分のためであっていいのです。私はさまざまな方と出会い、そして制作現場にも数多く参加しましたが、“だれかのために”という理由は、たてまえにしつつも、その本心はすべて“自分のため”でした。“いい映画をつくりたい”、“楽しく映画をつくりたい”。このような欲求を抱く方は少なくないと思います。連合で得られるものは、“いい映画をつくりたい”、“楽しく映画をつくりたい”という欲求の、その双方にこたえるものであると、自身の経験から、私は信じます。そしてその欲求にこたえるために、連合は最大限利用されるべきで、その最初のフィールドとして、私たちが腐心した、人と人とを結びつけるネットワークを利用してほしいと思います。これはたった4年の経験ですが、どんな人でも、必ず理解者が見つかります。連合って、結構いろいろな人がいるんですよ(笑)
「学生映画を、一歩前に」というスローガンがあります。首都圏映画サークル連合がひそやかに、ささやかに掲げてきたスローガンですが、正直、よくわかりません。「どの方向に一歩前」なのか、「一歩ってそもそもなんだよ」などと思ったことはよくあります。この抽象的な目標のために、さまざまなことをしてきましたが、何が正しくて何が正しくないのか、迷ったり、自問したり……全然わかりません。ただし、これだけは言えます。「映画をつくりつづけること」だけは間違ってはいないと。どんな小さな作品でも、それは連合を動かす推進力になります。だから、みなさんには映画をつくりつづけてほしいし、私もそうすると思います。
連合は、自主映画界にとっての「地殻変動」となりうるのではないか、と某雑誌にて評価されたことがあります。自主映画界の現状を見れば、その地盤には間違いなく穴が穿たれ、ひび割れていると私は思っています。残念ながら、現在の連合は、その穿孔からやや離れたところにいます。しかし、どんな場所からでも、その穴に対して振動を与え、いつか地殻を変動させるほどの劇的ななにかをもたらすことはできるのではないでしょうか。私の4年間で、それは叶いませんでしたが、あきらめてはいません。だからといって、みなさんに託すこともしません。「任せる」ほど無責任な言葉はありませんから。いつかやってやるぞ、という思いは、変わらずに抱き続けたいと思います。
最後に、心からの感謝を申し上げます。委員として4年間、副代表として1年間、楽しく活動できたのは、出会ったすべての方々のおかげです。「わっせ」という存在を受け入れてくださって、本当にうれしかったです。映画を始めた理由は思い出せませんが、続けている理由は、あなた方の存在であると、確信をもって言うことができます。
本当にありがとうございました。撮影があれば呼んでください。