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みーちゃん

なだらかな白い壁

2019.01.04 10:33


「記念にとっておいてるのかと思ったわ。」

壁には、かなり猫の爪痕があった。

猫が亡くなったあとも、そのままにしていて。

あれから数年経った今、

やっと壁紙を貼り換えているのを見た母が、

言ったセリフがこれだった。


あたらしい壁紙を貼り終えた今、

爪痕はほぼぜんぶなくなった。

(天井近くに目立たないのがあるけれど)

当たり前だけど、スッキリ!

もう何か物を置いて、目隠しする必要もない。

隠さないってこんな気分なんだ、と、改めて感じる。


貼り終えてホッと一息、

寝転がって、できあがった壁を眺めていたら、

突然眠くなって、寝てしまった。

潜在意識が働きたくなって、

こうるさい顕在意識が邪魔になると、

睡魔に襲われる。

そんな気がする。


目が覚めたら、

壁が変わっただけなのに、

何かがずいぶん変わった気がした。

なんだろう?


思い出があって捨てられないものって、

あんまりないかもしれない。

想い出は記憶の中にだけあればいい、と思っている。

インドの大好きな山にその猫の骨を散骨し、

毎年登りながら、蘇る記憶に号泣してしまうので、

薄情ってわけでもないのだと思う。

ふとした瞬間に蘇る想い出を、

その時々に大事にしている。


立ち読みして買ってしまった本のひとつ。

『鳥が好きすぎて、すみません』。

なぜか珍しくあとがきから読んでしまったら、

そこに自分の感じていたことがそのまま書かれていたので、

買わずにいられなかった。



「ともに暮らしたアルが亡くなってからしばらくは、その夢を見た。

亡くなってからの数年間は、

体温や息づかいがわかるような夢も見た。

夢でもいいから会いたい、という願いは叶っていた。

だが、十年が経った今は思い出すことが減り、

夢に見ることが減った。

それは、心理学的には、

外にいた存在が自分の内に入った状態

ー「同化」した状態というのだという。

忘れたのではなく、

思い出さなくても大丈夫になった、ということだと聞いた。

それは事実だと肌で思う。」



愛した記憶はなくならない。

でもそこに、重いものはいらない。

もしわたしが去っていく側だとしたら、

愛する相手には幸せでいてほしい。

だから残されたときも、

ちょっと背伸びをしても、笑顔でいたい。

(無理のし過ぎは禁物だけど)


一か月くらいの頃に、道で出会った、

手のひらサイズの仔猫。

大きくなって、大人になって、

おばあちゃんになって、通院して、

18歳で看取った。

母に「(大きなさよならをしたから)わたしたちが死んだ時も、

あなたはもう大丈夫ね」と言われた。


失う、というのは恐い。

でもそれを繰り返し愛で包むことができるのだと、

さよならを通して知った。

もちろんごちゃごちゃと、

いろんな思いも噴き出したりする。

そのぜんぶを通して、

亀のような速度で、

少しずつ傷が癒えていく。


次は、

カーテン登りされたカーテンと、

傷だらけのソファ。

ひと通り終えたら、

別の部屋になっていそう!


そうなったあとにも、


大事なものは、

こころの中に♡