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過敏性腸症候群すっきりプロジェクト

過敏性腸症候群の生活の質と心理療法③:事務局便り#21

2024.08.30 00:00
  1. 過敏性腸症候群の症状と予防策による生活の質のバランス
  2. 客観的に予防策の効果と原因を評価する

*動画とブログの中身は同じです。

 本日の内容は、過敏性腸症候群の生活の質と、心理療法の関係のつづきです。

最初に、過敏性腸症候群の症状と予防策による生活の質のバランスについて簡単に説明します。

そのあとで、客観的に予防策の効果と原因を評価する方法を簡単にお話ししたいと思います。

そもそも、予防策は何のためにするのでしょうか?

それは、おなかの不調が起こる可能性を少しでも減らし、その不調による苦しみを少なくするためです。

そして、最終的には、毎日の生活がより良くなることを目指しています。

でも、第20回で説明したように、予防策をやりすぎると、かえって生活の質が悪くなってしまい、本来の目的を達成できなくなることがあります。

では、どうすればこのような結果を避けることができるのでしょうか?

まず、その予防策がどれくらい効果があるのかを冷静に確かめることが大切です。

例えば、特定の食べ物をやめても、10日のうち9日はお腹の症状が出るなら、その方法はあまり効果がないのかもしれません。

人間の記憶は、最近の強い出来事に影響されやすくて、過去の記憶が少し変わってしまうことがあります。

本当は効果がないのに、たまたま調子が良かったことが強く印象に残って、「この食べ物をやめたから調子がいいんだ」と、食べるのをやめてしまうのは、少しもったいない気がします。

このため、予防策とその結果を簡単な日記に書いておくと、こうした記憶の影響による間違った評価を防ぐことができます。

また、アプリなどを使うのも便利です。

ぜひ、自分に合った記録ツールを見つけてみてください。

症状を予防する方法を考えるだけでなく、症状を引き起こす原因についても考えることが大切です。

たとえば、Aという食べ物を食べた後にいつも症状が出てしまうと、Aが原因だと思うかもしれません。

でも、過去にAを食べた時に症状が出た回数をよく数えてみると、実は症状が出なかったことの方が多いかもしれません。

もちろん、食べ物に対する反応が変化することもあるかもしれませんが、A以外にも原因がある可能性もあります。

原因を突き止めたい気持ちはよく分かりますが、もしAが大好きな食べ物だったり、避けると生活が楽しくなくなるようなものであれば、食べることをやめてしまう前に、一度、過去の症状を冷静に振り返ってみることも有効です。

  

次回は、食べ物以外の予防策が生活にどんな影響を与えるかについてお話しします。



イラスト:イラストAC-カフェラテさんのイラストもしくはそのイラストを使って菊池が作成

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集英社新書プラス-知の水先案内人で【脳腸相関】の連載をしています。主に第10回および第11回が、過敏性腸症候群についてです。