アラゴンの悲劇
2024年のMotoGPが再びモーターランド・アラゴンの中心、アルカニス・サーキットに戻ってきた。2023年に行われた大規模な改修工事により、路面は完全に再舗装され、コースも100%新たなものに生まれ変わった。このサーキットは、左回りで構成された全長5.077kmのコースで、10の左ターンと7つの右ターン、そして最長968mの2本のストレートを持つ複雑なレイアウトが特徴だ。
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ミシュランのピエロ・タラマッソ氏は、週末に直面する課題について語った。「今回の主な課題は、タイヤの摩耗と熱の制御です。特に路面温度が50℃に達する可能性があるため、耐久性が高いハードなコンパウンドを選択しました。2年前のレースは9月18日に開催され、その時の路面は私たちがよく知るものでしたが、今回は新しいアスファルトやコースの変更点がタイヤに大きな影響を与えるでしょう。特にリアタイヤの摩耗と温度変化が問題となる可能性があります。これらは路面の粒子の大きさや密度に大きく依存します。バイクのセットアップは、初日の走行が非常に重要となり、ライダーたちはさまざまなコンパウンドを試しながら最適な組み合わせを見つける必要があります」と述べた。ミシュランは、フロントとリアにそれぞれ3種類のコンパウンドを持ち込み、ライダーたちの選択をサポートする準備を整えている。
9月1日に行われた決勝では、スプリントレースでも勝利を収めたマルク・マルケスがポール・トゥ・ウィンで圧倒的な独走優勝を果たした。すべてのセッションを制覇し、「強いマルケス」復活を印象づける完璧な週末となった。
一方、その後方では激しい争いが繰り広げられていた。サーキットは朝方の雨で滑りやすく不安定なコンディション。序盤、KTMのミゲル・オリベイラが転倒しリタイアする。ドカティのエース、フランチェスコ・バニャイヤはスタートで遅れをとり後方に沈んでしまう。それでも、徐々に追い上げ、アレックス・マルケスとの3位争いを繰り広げる展開に。2.4秒あったギャップを残り6周で射程圏内に捉える。好機を伺うバニャイヤの前でアレックス・マルケスのマシンがターン12の侵入で暴れてしまい減速。その横をバニャイヤが追い越した瞬間、両者がまさかの接触、転倒という悲劇が起こってしまった。
チャンピオン争いをリードしていたバニャイヤにとって、シーズン2度目となる同士討ちのような転倒は、ファンやドゥカティの首脳陣にとって目を覆いたくなるようなシーンとなった。