韓国で「性犯罪」が横行 「慰安婦運動」は逆効果だった!という証明
生成AIを使ってわいせつ画像を作成
生成AIあるいはチャットGPTといえば、日本では今、若い人たちにとってはとても身近なものになり、「夏休みの宿題に生成AIを活用したか」という質問に、学生の3人に1人はレポートの作成や読書感想文、数学の問題などで活用し、宿題が効率的にはかどったと答えている。
<Alsmiley 24/03/07「学生の3人に1人が夏休みの宿題に生成AIを活用」>
ところが驚くことに、隣国・韓国では若者の間で、生成AIを使ってニセの画像や動画を作成し、「ディープフェイク」と呼ばれる違法合成画像やわいせつ画像を作りネット上で拡散するという「性犯罪」が横行しているという。「ディープフェイク」とは、AI人工知能によるディープラーニング機能を使ってフェイク画像を作成するという意味で、要するに他人の顔写真を勝手に使って他の人の裸体に貼り付けたりして、わいせつな画像を作り、それをSNSやチャット空間を使って拡散させることのようだ。(実際のフェイク画像は見ていないので分からないが、朝鮮日報が実験的なデモ画像を紹介している。)
性犯罪の被害者も加害者も10代が中心
韓国メディアの報道によると、その被害者も加害者も10代が中心で、「2021~2023年に警察に通報があった虚偽映像物(ディープフェイク犯罪を通じて編集された合成わいせつ物)事件の被害者合計527人のうち59.8%(315人)は10代」で、「虚偽映像物犯罪容疑として立件された被疑者全体のうち10代が占める割合は2021年が65.4%、2022年が61.2%で、2023年には75.8%を占めるまで増加。また今年1~7月は73.6%を占めたという。
<中央日報2024.08.30「3年間で警察に通報があったディープフェイク性犯罪の被害者の約6割が未成年者」>
ディープフェイクによるわいせつ画像が拡散する裏には、秘匿性の高いメッセンジャーアプリ「テレグラム」と、それを使ったSNSチャンネルの存在がある。こうしたテレグラムチャンネルは学校ごとに作られ、そこが交流サイト・チャット空間となり、わいせつ画像が拡散されている。「○○高校」「○○中学」など個別の学校名が出てくるテレグラムチャンネルは、8月26日の時点で全国477の小中高校に及び、これらは「テレグラムディープフェイク被害学校リスト」として集計され、共有されることで被害対策が始まっているという。
<中央日報24/8/27「ディープフェイク性犯罪 韓国477の小中高で被害を確認…不安と恐怖を抱く生徒たち」>
大学や軍隊の中にも広がるフェイク画像
さらにディープフェイクの性犯罪は、小中高校だけでなく、大学の同窓会や軍隊の中にも広がっている。ソウル大学の卒業生たちが、卒業アルバムに掲載された同窓の人たちの顔写真を合成してわいせつ画像を作り、テレグラムのチャットルームを通じて拡散させ、性犯罪として摘発される事件があった。さらに韓国の70余りの大学でもソウル大学と同様のわいせつ画像を共有するテレグラムのチャットルームが存在することが明らかになっている。
<ハンギョレ新聞24/8/25「『デジタル避難所』として大きくなったテレグラム、性搾取の『デジタル温床』に」>
さらに軍隊の中では、女性軍人を対象にした性犯罪画像を流布するテレグラムのチャットルームも摘発された。チャットルームの運営者は女性軍人を、生死を共にする戦友としてではなく、「軍需品」と蔑み、「彼女たちが優越感を持つ理由は軍服を着ているため」として性的対象化したという。そして、その女性軍人の顔写真の入手先は、軍のイントラネットでしか入手できない証明写真や公務員証写真だったというから、軍の紀律がいかに乱れているかが分かる。
<ハンギョレ新聞・社説24/8/28「小中高や軍部隊まで入り込んだ驚愕の「ディープフェイク」性犯罪>
ディープフェイクによる虚偽画像の被害者には、多くの女性教員も含まれ、自分の目の前にいる生徒から受ける性暴力や性加害は、教師たちが教育現場で加害者の生徒とどう接していけばいいのか分からないという悩みを抱えることになり、深刻な精神的負担となっている。
こうしたフェイク画像の性犯罪が横行するなかで、韓国ではネット上にある「顔写真は全て削除しよう」「SNSで自分の顔を晒すのは危険」という警戒が広がっているという。
加害者が自分の身辺にいるという恐怖
フェイク画像による性犯罪の加害者も被害者も10代が中心という話をしたが、つまり、加害者も被害者も同じ学校やキャンパスで授業を一緒に受ける同級生たちであり、教室や運動場など同じ時間と空間を共有する身近な存在だということを意味し、被害者にとっては、そうした身近なところに加害者がいる、ということ自体が恐怖であり、絶望的な悲しみを与える原因になっている。
以下は、10代の被害者が裁判所に提出した陳述書の一部だが、被害少女が受けた心の傷の深さを物語っている。
<「被告人たちはチャットルームで私をはじめとする被害者たちを何度も女性性器の俗称で呼び、良い大学を卒業して良い職場に就職しても結局のところ私たちは女性器に過ぎないと嘲笑していました。このような被告人たちの発言こそ、この事件の犯罪事実の動機であり本質だと思います。(中略)私をはじめとする多くの被害者は、犯罪行為の被害を受けたという事実を知らないまま、被告人と笑顔で交流していたかもしれないということが、とうてい言葉では言い表せないほど暗たんたる気持ちです。さらに、デジタル犯罪の特性上、完全な被害回復は不可能であり、被害者は、まだ明らかになっていない犯罪事実があるのではないか、被害事実が周囲に知られるのではないか、被害事実が報道され、自分が特定されるのではないか、被告人が作成して頒布した下劣な虚偽映像物が拡散し、さらなる被害が発生するのではないかという恐怖に震えています。いつになれば被害が回復し、日常を取り戻すことができるか見当もつかない被害者たちの状況を、どうか推し量って下さい。」>
<ハンギョレ新聞24/8/28「学校生活を共にした犯人…テレグラム性犯罪を確認して吐き気がした」>
これを読むとディープフェイクによる性犯罪が横行している裏で、加害者である10代の若者を含め、韓国の男たちが持っている女性蔑視や女性に対する人格否定の考え方、韓国特有の学歴社会を背景にした男女格差と、受験競争の中で疲弊し病的に歪んだ性差別意識など、韓国の男たちが抱える心の闇の深刻さがよくわかる。
崩壊する社会 ジェンダー教育は機能していない
韓国女性民友会という団体の調べによると、「知人の写真を送ればわずか5秒で有料で裸体を合成するテレグラムチャンネルの加入者が、22万7000人あまりにも達する」とし、「22万人もの性暴力加担者を量産したまま、崩壊した社会を放置している」とする声明を発表し、「(韓国)女性たちは、女性に対する犯罪と暴力をまともに処罰することも防止することもできない社会で、日常が安全だという感覚を失ったまま、文字通り国のない状態で生きている」と告発している。
<ハンギョレ新聞24/8/28「『韓国女性には国がない』…22万人が関与したディープフェイク性犯罪の波紋」>
韓国には、ジェンダー教育とか男女共同参画社会という考え方はあるのだろうか?仮にそうした教育や理念があるとしても、こうした性犯罪の蔓延をみるかぎり、それらはまったく機能していないことがわかる。そして1990年代以降、韓国社会でジェンダー教育や男女平等社会の実現に大きな役割を果たしてきたのではないかと思われるのが、いわゆる「慰安婦」と呼ばれる女性を前面に押し立てて、「慰安婦」を聖域として絶大な権威に持ち上げて市民運動を繰り広げてきた慰安婦支援団体の存在である。
歴史教科書や集会で教える慰安婦問題
そうした市民運動の成果の一つでもあるが、たとえば教育部(文部省にあたる)が提示した中学・高校の歴史教科書の検定基準によると、日本軍「慰安婦」についての説明は、韓国史の教科書に必ず含めなければならない「学習到達度を測る基準学習要素」の一つになっている。子どもたちが読む教科書なので、「性搾取」に関する具体的な記述はないとはいうものの、教科書によっては、「慰安婦」の定義や概念、責任ある関係当事者を列挙し、日本政府が慰安婦を認めず「否定してきた歴史」や慰安婦問題に関する政府の姿勢の変遷など、これまでの経緯を見ひらき4ページにわたって詳細に記述し、さらには演習問題として、「強制動員の実状」に関する資料を読んで、日本軍「慰安婦」に対する日本の歴代首相の「歴史歪曲発言」について、箇条書きにまとめてみよう、などといった課題を提示する教科書もある。まるで「慰安婦」をテーマにして日本政府批判を展開させるための歴史教科書の記述だといえる。
「慰安婦」を教材にした教育は、学校の教科書だけではない。慰安婦を支援する市民団体「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」(正義連)が、ソウル鐘路区のかつて日本大使館があった付近の、慰安婦をモチーフにした少女像が置かれた歩道を中心に、ホテルの玄関前や一般道路を占拠する形で、毎週水曜日に開かれてきた集会には、小学生から大学生まで多くの子どもや若者が学校ごとに動員され、参加してきた。コロナ禍以降は大規模集会が禁止された影響もあってさすがに小中学生の参加はないが、北朝鮮支援などの特定の運動目的を持った大学生や高校生らのグループはいまだに参加している。
この「水曜集会」は、正義連の前身である「挺身隊問題対策協議会」(挺対協)が1992年1月から始めたもので、それから毎週水曜日に休むことなく続けられたので、2024年8月末現在で、1640回あまりの回数を数えることになる。その間に動員された小中・高校生、大学生も膨大な数となるはずで、たとえば小学生なら、こうした集会や少女像から「慰安婦」に対していかなるイメージをその幼な心に刻みつけ、中・高・大学生なら自身が性に目覚める頃の、その多感な青春のど真ん中で、「慰安婦」という存在をどう受け止め、「慰安婦問題」なるものにどう向き合おうとしたのか、気になるところだ。
性差別や人権擁護を教えない慰安婦運動
一方、慰安婦をテーマにした水曜集会に小中学生や高校生を動員した主催者側の挺対協や正義連、そして子どもたちを引率した教員側にどんな意図があったのだろうか?善意に解釈すれば、戦時下の女性に対する性暴力、人権侵害の歴史を忘れずに、平時においても女性の人格を重んじ、性差別や性に関する暴力・虐待を根絶することが大切だと教える機会となるはずだった。
しかし、集会でのスローガンや訴えを聞くかぎり、慰安婦問題の真相究明と責任者の処罰、日本政府の謝罪と賠償を要求するだけであり、歴史教科書の慰安婦に関する記述と同様に、慰安婦問題はひたすら日本を非難し、日本を貶める材料として使われているにすぎないことがわかる。その証拠に、韓国では数年前に、芸能界やスポーツ界で、上司にあたるプロデューサーやコーチに対して「性上納」という悪習が横行し、タレントが自殺に追い込まれるなど社会問題になったことがあった。またSNSを通じて女性を脅迫して裸の写真などを集め、テレグラムのチャットルームで有料で拡散し、主犯の男が逮捕される事件(「n番部屋事件」)があった。さらには左派系市民団体出身のソウル市長、故・朴元淳(パク・ウォンスン)氏が女性秘書からセクハラ加害を告発され自殺した事件があった。こうした韓国社会を揺るがす女性の性被害に対して、正義連とその中心人物・尹美香氏らはいっさい発言することはなく沈黙を守った。要するに80年前の実体のない慰安婦は「性奴隷」だと声高に喚き散らすものの、目の前の現実の社会で行われている女性の人権侵害、まさに女性を「性奴隷」として扱うに等しい行為については、何も声を上げず、問題解決のための行動をとることはいっさいなかったのである。もしかしたら、「慰安婦」のことを教科書で教え、子どもたちを水曜集会にまで動員して「日本叩き」を洗脳したものの、女性に対する不当な性暴力、理不尽な性加害を根絶しようという本来の趣旨は教えず、女性はそうした性犯罪の対象になりうるということしか教えなかったのではないか。本末転倒も甚だしく、慰安婦支援団体は慰安婦を利用した「寄付金ビジネス」で儲けることはできても、現代を生きる韓国女性のためには何の役割も果たせず、却って性犯罪を助長する存在に過ぎなかったのではないか。韓国人自身が一度反省してみるべき問題だと思う。
(ソウル鐘路区・旧日本大使館前の少女像周辺 2022年7月23日撮影)