Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

Takahiro Unno

【後編】Cambodia Dream School

2019.01.07 04:11

前編に続いて、

「カンボジアドリームスクール」の後編です。


前編を読まれていない場合は、

こちらを是非チェックしてみてください。


前編では、

プノンペン市内における活動を説明しました。

後編では「地方」での活動を書いていきます。


まず本プロジェクトについて、


◇プロジェクト 目標

「サッカーをしたい人がサッカーをできる」

→機会格差をなくすこと

「習い事の文化を浸透させること」

「自律した人間を育てること」


◇実現する社会

「正しい努力をした人が正しい評価を受ける社会」

→努力が報われる

「相手のことを考えられる社会」

「カンボジアの人々が夢や希望を持てる社会」


が根底にあります。


現在プノンペン市内を中心に

サッカースクールを展開していますが、

この度ご縁あって*地方にある学校と

提携することになりました。

*カンボジア日本友好学園


理念、目標、実現する社会は同じですが、

「地方にチャンスを創る」こと

が新しい試みになります。


地方からでも世界で活躍する人材を輩出し、

地方からでも夢を達成できることを証明したい

その想いです。


◇地方(プレーベン州)の教育現状

地方といっても線引きが難しいのですが、

提携を始める学校周りに住む人の月収は

$50-$300ほどです。

生徒のお小遣いは

月に$5あれば多い方だと理事長から聞きました。


中高生は基本的に朝・昼・夕方の3部制で

どれか1つを選択することになっています。

カンボジア政府が定める指導要綱に従い、

授業を進めますが

要綱通りに進められることは

ほとんどないそうです。


そこには「給料」という根深い問題があります。

教えるべき内容の50%を学校で

残りを先生個人の塾で補います。

そうすることによって、

学校からの給料に加えて

塾代を得ることができるからです。

算数、国語、社会はありますが、

文化活動、日本でいう体育やP.Eは存在しません。

近年いくつかの公立学校で

体育が導入されていますが、

「教員不足」により

限られた都心部の学校のみ授業が受けられます。

教員は少なくありませんが、

「専門性のある教員」が足りません。

その専門性が、文化・芸術・スポーツになります。


そして、地方になると

専門性のある教員不足がより深刻になります。

カンボジア日本友好学園には、

2名の若い体育教師が常駐しています。

しかし、

これは比較的恵まれていることになります。

また生徒1,500名に対して2名の体育教師なので

生徒1人は週に1度体育ができればいい方です。


プレーベン州にある他の学校には、

体育教師は数名しかおらず、

サッカーコーチはもちろん0です。


10名の生徒に将来の夢を尋ねると、

先生が5人、医者が3人、わからないが2人でした。

環境の影響を受ける子供ですから、

周りに先生がいて、

農業を営む親がいて親戚がいれば必然です。


これが現状です。

語弊があるかもしれませんが、

地方だから貧困というわけではありません。

「経済格差」というより

「機会格差」だと思っています。


*参考動画:本田圭佑 カンボジア学校訪問 

*参考:ソルティーロアンコールFC 

 海野智之選手

 朝会での講演に関する記事 「小さい頃」


◇生徒のサッカー事情

中高生を対象にチームを作りますが、

現在サッカーチームは大会前に

少し練習する程度の集まりです。

「練習」という練習自体が存在しない状態です。


ほとんどの生徒は

サッカー用のシューズを持ってきません。

そもそも持っていない生徒もいますが、

多くは持っているけど学校には持ってきません。

これは大会や試合のために

シューズを温存するためです。


実は、

ほとんどの生徒のシューズが

正規品ではないので耐久性が

正規品より断然劣ります。

3回も使用すれば靴底と本体が

熱によって乖離してしまうので

生徒は滅多にシューズを持ってきません。


下記参考記事にもありますが、

参加生徒の2名を除いて、

全ての生徒が素足で練習していました。


また驚いたことに、

水すら持ってきません。

これは、水分補給の習慣がないことと

経済的な理由です。

市内の学校と違い、

ウォーターサーバーは完備されていません。


サッカー技術は当然低いです。

ボールリフティングは

数人のみ10回以上できます。

これだけでは判断しづらいですが、

そのレベルです(日本の小学3年生ぐらい)。


身体レベルは非常に可能性があります。

ただ、柔軟性に欠けることや

リズム感、バランス感覚は鈍いです。

ポテンシャルを秘めていますが、

「自分の体を思った通りに動かす」

コピー(再現性)能力→「再現力」は、

大至急伸ばしていかないといけません。

ここは、初等教育や普段の生活習慣から

派生したものだと推測しています。


ポジティブに言えば、

伸び代があるということです。


*参考:ソルティーロアンコールFC 海野智之選手

サッカークリニックに参加した際の記事 「機会」


◇ソルティーロは何をするのか?


・中高校生のチームを編成し、チームを創設する

→最初は全生徒を対象とし、

    徐々にコミットメントを求める


・ソルティーロのコーチを派遣し、

サッカーのコーチ(体育の先生)に

ソルティーロの教育メソッドやノウハウを提供

→2019年2月に開始。まず三週間、先生と一緒に練習を行う


・サッカー用品や備品をサポートする

→シューズ、練習ウェア、水など


・コーチへの給料サポート


・卒業後の進路サポート

→プロチームへのトライアウト

→留学斡旋

→奨学金

ソルティーロサッカースクールでの雇用


◇想定される問題

・生徒のサッカーに対するコミットメント

→生徒は授業後の4時に

練習をすることになりますが、

多くの生徒が塾に通っています。

また、6時には真っ暗になるので

 5時半には学校を出る必要があります。

生徒によっては練習に参加できない、

早退しなければならない場合があります。

一週間に3日以上は

練習(量と継続性)をしたいので、

まず練習に参加するということが大切になります。


従って、いかに生徒に

多く練習参加してもらうか、

練習に参加できるように

時間や日程を設定するか、

始動してみて最適化しなければなりません。

もちろん、本気で練習したければ

サッカーを塾より優先させるはずですが、

そこの本気度を上げる作業

 合わせて必要になります。


4時の参加率が悪ければ、

朝練習にすることだって1つの解決策です。

それだけでは充分でないはずですが、、、。

 

・コーチ(体育教師)とのコミュニケーション

→2月に開始するコーチング研修は

 約三週間になります。

それ以降はプノンペンープレーベン間の

遠隔操作になります。

可能であれば現地に

長期滞在もしくは駐在したいところですが

現状厳しいところです。

理想はあくまで

カンボジア人だけで運営することですので。


そうなると、

メールや電話を駆使して連絡を

取り合い共有することになります。

現場で起きていることを

実際に見ることができないのは

非常にマイナスなことです。

言語は基本的に英語になり、

複雑な事や

ミスコミュニケーションが

許されない事は通訳を挟みます。


1番大切な事はコーチとの関係値

託す、任せる、教えるを

やりすぎるとパンクしますし、

その逆でも機能しません。


最初の三週間で密な関係を築き

(現地コーチと一緒に練習を作る、

考えさせる、評価する)、

その後を見てみようと考えています。


・生徒とコーチの評価制度

→「正しい努力をした人が

                            正しい評価を受ける社会」

これを内部から実践、実現します。

生徒であれば出席状況、

遅刻回数といった姿勢の部分。

そして、練習と試合における結果の部分。

コーチと一緒になって評価基準や

評価項目を作成し、

数字にできるものと

そうでない感覚値は線引きします。

大事な事はまず練習環境をつくり与える事で

機会格差をなくす事ですので

過度負荷をかけ、厳しくする事は先の話とします。

評価を獲得すれば、

様々な形で報われるようになります。


例として、

短期的であれば、

サッカー用品や勉強道具を支給すること。

中期的なら

プロクラブの試合に招待すること。

長期的なら

奨学金プロの練習参加、

トライアウトに参加すること。


まだまだあると思いますし、

スポンサー企業様とも共同可能です。


コーチに対しても同じですが、

「給料」以外の価値を感じてもらえるように

工夫しなければなりません。

また、コーチを管理する機能も必要です。

常に現場にいる事は出来ないので

コーチを現場で見て評価する先生だったり

担当者が必要になります。

理事長や校長先生と

建設的な協議を重ねる予定です。


・親とのマインドシェア・方向性の一致

→忘れてはならないのが家庭・親へのアプローチ


すぐに何かするつもりはありませんが、

(莫大な時間と労力を要します)

家庭を巻き込んで

子供の教育に協力してもらいます。

親を変える事は不可能に

近いかもしれませんが、ここの影響力は絶大です。

私たちが関われるのは、

せいぜい1日2時間あるかないかです。

学校のない半日以上は家庭で過ごします。

2時間で教育しても

家庭に戻れば元の価値観や文化に

従うことになります。


注意したいのは、

子供・生徒が板挟みにならないようにすること。

例:定期的な保護者会をセッティングする

  紙媒体(クメール語)で

       生徒からプリントを渡してもらう

  家庭訪問をする

  生徒の参加する試合に招待する


信じてもらうには、

先を見せてあげること

成長を見せて認めてもらうことです。


◇ビジョン


・2019年

中高生混合でチーム練習開始

メンバーを登録する

中学生と高校生の2チーム編成に分ける

練習参加率が80%を超える

州大会に出場する


・~2022年(4年目)

練習参加率がほぼ100%

チームの定員をオーバー

学校で一番人気(当然か)、

サッカー生徒も人気

コーチ増員

州大会で優勝

学校周辺の他校との定期的な交流試合を開催

卒業生がプノンペンでトライアウトを受ける

卒業生が学業優秀で奨学金を獲得し、

大学へ進学卒業生が日本へ留学


・X年(できるだけ早く)

本プロジェクトが他地方で

成功モデルとして展開される

良い教育やサッカーを求めてプノンペンではなく、

地方のプレーベンを目指す流れになる

地方経由で世界に羽ばたくモデルが形成される

地方でも

子供が応援される風土になり、

職業・進路の選択肢増加と自由化が進む

サッカー以外のスポーツや文化を

習うことができるようになる

頑張った人が報われる

地方が活気で溢れ、

豊かに生活できる

みんなハッピーになる

夢や希望を持てる社会に


◇最後に

ここまで読んで頂き、

ありがとうございました。

カンボジア代表と同様、

まだスタートラインに立ったばかりです。

長い年月は承知していますが

それでも実現させます。

もちろん、現場で動いてくれるのは

コーチや先生方です。

ソルティーロのコーチやスタッフも

現場で指導したり、

橋渡しになったりします。

プロジェクトの主役は彼らですので

意見を尊重し、現場のことは

嫌われるほど対話を

しようと考えています。

また、

私たちと一緒に

本プロジェクトの協賛メンバーに

なって頂ける方が

いらっしゃいましたら連絡ください。

プロジェクト以外でも

カンボジアやソルティーロに

興味がありましたら

遠慮なく連絡ください。


◆メンバー紹介


SOLTILO FAMILIA SOCCER SCHOOL CAMBODIA 

・代表 海野貴裕

・プロジェクト責任者 蓮池柊兵

   @shuhasu0708[Twitter]

・インターン&担当者 佐藤将太郎  @shotaro46sato   Ameba Ownd[Blog]


SOLTILO ANGKOR FC

・代表 辻井翔吾  @ShogoTsujii 

  インタビュー記事:「本田圭佑が伝えたいこと」

・マネージャー 景山慎太郎

   @k_shin23  「スポーツ×ビジネス×海外」[note]