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日本は津波による大きな被害をうけるだろう UFOアガルタのシャンバラ

「クオータ制」の制度を採り入れていない先進国は日本くらいなものです。(5)

2024.09.07 09:03

<武村正義  官僚時代の「裸の付き合い」>

・俺が埼玉県警捜査二課長に就任した‘69年、着任直後、埼玉県地方課長に異動してきた役人がいた。自治省から埼玉県庁に出向中だった武村正義である。

 この武村の異動は、俺の「篭絡」が目的だった。どういうことかというと、当時の俺は捜査二課長としてあらゆる事件を手がけ、検挙数も多かったので、埼玉県庁が震え上がっていたのだ。警察庁長官の後藤田正晴さんの命令すら無視し、田中角栄の「刎頚の友」といった大物も逮捕に踏み切っていた。警視庁も含め他県警の捜査二課は実績がなかったから、俺は県外にも出て容疑者を逮捕した。管轄外でも、工夫して関連づけさえすれば逮捕できる。警察庁長官賞は埼玉県警捜査二課が独占だった。

 そこで武村を、俺の「宣憮要員」として寄越したわけだ。事実、武村からは接待漬けだった。しょっちゅう俺を群馬の温泉地へ連れ出し、泊まりがけで、2人して女遊びだ。ただ、俺は奴の魂胆を分かっていたから、接待を受けても、あまり手加減はしなかった。

 今だから言えるが、当時俺は県庁から裏金をもらっていた。捜査二課のカネがなくなると県の総務部員に電話をして、「カネがないんだ。ちょっと出してくれや」と言った。すると部長は何千万円単位のカネを寄越した。恐喝みたいなものだ。俺はそれを自分のポケットに入れるわけではない。捜査は5人一組の班単位でやっていたから、成績を上げた班には休暇を与えたうえ、その裏金を使って海外旅行に行かせた。するとみんな張り切り、休日返上で内偵をし、容疑者を見つけては捕まえる。検挙実績も上がっていった。

 

 武村は‘71年、八日市市長選挙に出るといって自治省を辞めた。俺はみんなを集めて送別会をしてやった。俺と女遊びばっかりしていたやつが「改革派」と称して市長選に出るんだから、笑ってしまった。とはいえ、もともと自治省に入るくらい優秀な男だし、何よりも野心家だった。その後、国政に転身したのは当然の成り行きだろう。

・宮澤内閣が不信任決議されると自民党を飛び出して「新党さきがけ」を結成し、その代表に就いた。この時、俺とは長い付き合いにもかかわらず、武村からは一言の相談もなかった。一緒に離脱した園田博之たちとはいつも一緒に麻雀をやっていたにもかかわらず、彼からも一言の相談もなかった。全くもって仁義なき野郎どもである。

・武村は、俺が社会党と組んで政権を奪還した時には、ちゃっかり付いてきて大蔵大臣に就任した。「自社さ」連立政権とはいうものの、本当のところ、さきがけなど刺身のつまに過ぎなかったのだが、間隙を突いてきた。こうした世渡りの上手さでは、武村の右に出る者はいない。それができたのは、周りに敵を作らなかったからだろう。ムーミンパパと呼ばれるほど穏やかな外見ながら、野心家で血の気も多い。なかなかの人物なのだ。

<小沢一郎  3度目の政権交代を見るまでは>

・長い政治生活の中で、俺にとって最も因縁深い政治家が小沢一郎だ。小沢とは「手を結んで、喧嘩して」の繰り返しだった。

・2度も自民党政権をひっくり返し、55年体制をぶっ壊すなんて大それたことは、小沢一郎という政治家だからこそ為し得たことだ。もう小沢も80近いが、3度目の政権交代を見るまでは引退しないつもりだろう。その姿を、俺は傘張り浪人として静かに見守りたい。

(2017/7/26)

『亀井静香、天下御免!』

岸川真      河出書房新社   2017/6/12

<「政治に関心のないひとはいるが、政治に関係のないひとはいない」>

・小沢氏がベトナム戦争で指揮を執ったボ・グエン・ザップ将軍を敬愛するのに対し、亀井がエルネスト・チェ・ゲバラを尊敬しているのは好一対だと思う。

<大統領選挙>

(亀井)オバマは16%しか黒人がいない中で大統領に当選したでしょう。米国の人種差別はものすごいものですよ。地域によっては、有色人種を人間だと思っていない。その低いパーセンテージの中からオバマは、大統領に就任した。格差社会の米国では2、3%の人が富を独占している。オバマが当選したのは、低層の人々がオバマなら数々の利益を守ってくれると思ったから。しかし、そのオバマ大統領も議会の壁に阻まれたまま任期を終えようとしている。サンダース候補が代表に選ばれなければヒラリー・クリントンでなくて、トランプが勝つ。なぜなら富裕層とインテリがヒラリーを支持しているが、サンダースとトランプは貧困層やウォール街、インテリ政治に飽き飽きしている大衆が支持してる。サンダースが抜ければザーッとトランプに票が集中するのは自明です。勝つのはトランプよ。

<小池都知事人気について>

・(亀井)都議会議員も同じ穴のむじなですよ。自分達が決めておきながら、元知事が悪いという。韓国では前大統領を弾劾して追い落とし、それで自己の正当性を高めるような政治風土があるけどね、日本でもそうした悪しき風潮が出始めてますよ。何よりメディアがだめです。国をどうするのかといった視点がないばかりか、ただ面白可笑しく、ただの漫才中継にしてしまってね。東京は大阪の比じゃない、小池新党という実体のない幽霊にとらわれてしまう。それで自民も民進党もなくなるリスクは高い。次の総選挙で自民党は220から230議席まで落ちます。500%落ちる。小選挙区制というのは、そういう制度だよ、2年以内にそうなります。

・これを傘寿80歳、無所属にして最高齢の衆院議員が言うのか?動くか?というものだ。

・(亀井)毎度言うけどね、政治に関心のないひと、これは日本、世界でも大勢いるが、政治に関係ないひとはいないんですよ。

<原子爆弾>

・あの時、戦争末期だったから食糧難で校庭が全部芋畑だ。そこで野良仕事の作業が終わっても芋畑に残ってたら、西の方角がカッとまばゆい光が輝いた後にドロドロっという地響きだ。それで山の向こうから妙な色したキノコ雲がブワーッと昇った。新型爆弾というのは、逃げてくる避難民から知ったんだ。長姉の知恵子は女学生でしたからね。すぐに救援活動をしたせいで二次被爆したんです。二次被爆というのは認定をなかなか受けられなくてね、大変苦労したようでした。クリスチャンだった姉に連れられて教会や日曜学校に連れて行かれたものですよ。生粋の文学少女で、戦後は大阪の聖心女学院で先生をしながら句作に励んでいました。句集に「白血球測る晩夏の渇きかな」というのを遺しています。

 アメリカの原爆投下に関しては、明らかに戦争犯罪だと思う。16年にオバマが広島へ来たが、謝りもしない。来ないほうが良いと思ったので、私は抗議した。訪問を喜ぶ国民がほとんどだが、冗談じゃない。それでは原爆投下で戦争が早期に終わったと信じるアメリカ国民と五十歩百歩ですよ。あれはやってはいけなかったのだと、犠牲者を悼まねばいけない。日本が戦争を起こしたことをアジア諸国に反省せねばならないのと同じく、戦勝国であっても歴史に責任を負うのが、死んでいった者への義務だと思うんだ。

<死刑制度廃止>

・これもやらねばならない。凶悪犯罪が取り上げられると死刑死刑と騒がれる。これに反対すると投票が減るというんで議員連も減ったよ。ここは前にも語ったけど重ねて言います。

 日本人は仇討礼賛、忠臣蔵礼賛が根深いんだろう。目には目を歯には歯をという、そういう風潮をよしとする。これを覆していくのは至難の業だ。しかし日本にとって、今から絶対に乗り越えにゃいかんことだよ。

<地方自治>

・山村の集落が高齢化で消えていっている。私は根っこの会という超党派でドクターヘリを出させることに決めた。お医者さんを運んで、僻地を診察して回る。地方自治体が一文も金を出さずやれるようにしたんだけど、手を付けない。

 なぜか。地方自治体はそんなことをせんでも、爺ちゃん、婆ちゃんは十分に面倒見ている。だから、そんなことはいらんことだという感覚なんです。ドクターヘリなんか余計な仕事で面倒だ。市町村自体が嫌ってるわけですね。

・心ある自治体関係者や地元企業の方は多い。まあ大方の地方にいる親方日の丸は働かないから、金が回らなくて困っている地元企業に金をどんと生ませる仕組みを作ってやるべきだ。そこから始めないといかんと思って、私の会社も脱原発事業、太陽光発電やバイオマス発電に参画させることにしましたよ。

<政党ではまとまらない議会>

・今や政党で括るのは無理ですね。個ですから。個の行動といいますかね、そういうことにザーッと拡散して行っています。だから政党で括るとして何で括る?政策言うても政党の垣根じゃ括れんでしょう。

<定年制と機会均等、小選挙区制>

・いま最高齢の衆議院議員になってしまいました。自民党内で定年制を設けたがあれは必要はないと思う。小僧だろうが、老いぼれだろうが有能なら議員でいるべき。若ければ気力、老いては知恵を示せればいい。同じように女性の機会均等と称して数字を出して、その数に合わせて人材を出せという。これほど女性を蔑視したやり方はないよ。

 かつては派閥の領袖の年齢が高かったわけです。その上で徒弟制度じゃないけれども、政治のいろはを年寄りから習うというような環境はあった。この知恵の継承は大事なんだな。政治には技術がいるからね。

 あとは選挙制度だな。議員議会レベルを落としているのは小選挙区制が原因です。お互いに競争して出てこなくなった。競争すればね、力のあるやつが出てきます。競争をなしにしちゃったらね、ひ弱なやつでも条件さえあれば、バッジを付けちゃう。そういう調子でチャチな人材が議員になるから嘆かわしいよね。でもソレ、選挙民にそのまま返ってくることも知ってほしいな。チャチな政策を押し付けられるのは、ちゃんと選ばなかったせいだ。

<政局の行方>

・もうリーダーがいないからね、どう転んでも政治の冬が来てしまうよ。晋三総理もこのままずっとというわけにもいかない。かといって野党共闘から現れる状況ではない。

 

・理想を言えば、まあいっぺん、民進党も自民党もどこもかしこも、全部チャラにしてしまったほうがいいよ。国民感情としてもそうでしょう。政党じゃないと金が入らない仕組みがあるからピーピー言っているだけだ。政治改革は全部自殺行為だった。小選挙区制で党の多様性を殺し、政治資金規正法でもそうです。政党法で信念があって脱党したくても容易に抜けられなくなった。

 まあ、次の選挙では自民党は大敗するよ。黙ってても議席は減る。公明党の集票力も低下した。だからどこも目減りする。数合わせが大変です。安倍政権が停滞してるせいで、与野党はモヤモヤしているよ。そこで暴れるやつが出るか出ないかで大きく変わる。いまの自民党執行部も喋ることはずっと同じで新味はない。民進党だって原発廃止も足踏みしてあやふやになるくらい定まらない。電力労連の30万票を当て込んで日本のエネルギー政策を誤るなど笑止千万だよな。バーカ、と言ってやる。

<労働組合は堕落した>

・連合の言いなりで政権奪取の気がない民進党に未来はないよ。連合が泡食うような政策出してみろと言いたいね。奴らは労働組合だ。自民党には行かないよ。共産党にも行かない。ぜったい離れっこない。だったら遠慮なく攻めればいい。

 いまや組合なんて労働貴族もいいところです。だらしなく私利私欲に走るようじゃブルジョア的堕落だよ。

 この間、自主・平和・民主のための広範な国民連合の集会に招かれて出かけたんだ。そこで挨拶したんですよ。

「皆さん一生懸命、労働運動や政治活動をおやりですね。だけど、現在、非正規雇用者を含めて働く人間から眺めると、あなた方は組織に守られたセレブですよ。それは自覚なさって行動されたほうがいい」

 露骨に嫌な顔をする者もいたね(笑)。どこかの委員長が「先生にズキンとくる言葉をもらいました」と述べに来たけどさ。まあ、労働貴族の趣味みたいになっているわな、いまの運動は。政治家も市民活動家も命のやり取りをするんだという気概がない限りは理想の実現に一歩も二歩も進めんよ。

<人生、ただただ進めの巻>

・(亀井)まあハチャメチャな生き方をしてしまっているからな。そこは笑って読んで貰えたら有り難いね。国会議員も13期連続当選で、39年国会議員もしている。会社のオーナーで無所属議員。人生糞面白くもないと思っている人たちへの応援になればいい。途中でドロップ・アウトしてもまたやり直しできるよっていうな。断崖絶壁から落ちた状況であっても、ジジィになってもさ、逆境をバネにして元よりも飛び上がれるんだからね。

<健康>

――亀井さんは摂生ってしています?

(亀井)してますよ。プールを歩く。全身運動をしながら。これ1時間半連続してやる。だからプールに通っている人はビックリしているよ。80の爺さんが熱心にやってるから。2キロのダンベルを100回3セット、スクワットを70回。毎日寝る前にやっているよ。そういうことをやっても足が弱る、残念ながら。2ヵ月に1回くらい血液検査をやる。数値が全部良くなったよ。医者がビックリしていた。段々若返っているんです。これでまだまだ働けるよ。

<油絵>

――亀井さんはこうして事務所でも油絵を描いてますね。絵を描こうと思ったのはいつ頃からですか?

(亀井)これは銀座で画廊を出していた福本邦雄さんがいる。共産党の福本イズムの提唱者、福本和夫さんのご子息です。邦雄さんは共産党を離れてから竹下登さんの傍におったんです。私を可愛がってくれましてね。邦雄さんが画廊をやっておられたんで、「絵というのは面白いよ、亀井君」と誘われてね。それで描く気になった。

<会社オーナーとして>

――この事務所は亀井さんの会社の中にあるということでいいのかな?

(亀井)設立者で、オーナーという役割です。この警備会社JSS、警察庁から頼まれて創立したんです。警察庁に世界のテロ情報、色んな治安情報を集める力が無いから作ったの。きっかけは日本航空と警察庁が主でしたね。まさかここまで空港警備などで成長するとは思いもよらなかった。最初は5人とかですよ。それが今じゃ2千名。設立して30年だけど、オーナーですが株式配当を1回も貰ってない。貰おうと思えば相当に受け取れるんじゃないかえ。給料べースアップか福利厚生に使えばいい。毎月開く役員会で、社員は皆、家に帰れば1国の主なんだから大事にしろと言ってます。

<政治家は全てのひとに迷惑をかけている>

――政治家という仕事、長い事件を経て、これを亀井さんはどうお考えですか。

(亀井)まず、なりたいという者が来たら、ただバッジつけても仕方ない。やめときなさいと言いたい仕事だね。なりたいとして何をどうやりたいか。コレが大事で、そうでなければなっちゃ駄目だ。やる以上は死ぬ気でやれ、です。

・この仕事は家族、そして親しい人に迷惑をかける。人間というものは、生きている限り人を傷つける生き物だという認識があります。多大な犠牲を払いますから、本人以外にね。親しい政治家の息子さんである二世議員が「家族に迷惑をかけたくない」とか言うのでバカタレと叱った。政治家である以上は既に迷惑をかけている。そんなことに気がついてないなら阿呆だ。いまの政治家は応援しているひとへの贖罪や感謝の気持ちがねえんだ。自分の力でなったもんだと過信している。だから止めとけと言うんだ。

<この世の底から睨む目が>

(亀井)だからこうやってね、栄耀栄華で暮らしていて、エラそうにあなたに話していてさ。後ろめたさなんてねえと断言しながら、俺は偽善者だなと思うわけだよ。善人ぶってるなとね。どっかこの社会の隅からじーっと下からね、底に住んでいてね、底の底からじーっと俺を上目遣いで見ててね、ふーん何を言っているんだアイツは、そういう眼が、俺をじっと睨んでいるじゃないかと感じられてならないんだ。

<ゴミ掃除が終わらない>

(亀井)政治家になろうと思った時の目的、ゴミ掃除が出来てない。未だにやり残しがいっぱいあるんです。

—―だから枯れられないんですね。

(亀井)警察官だった時に感じた社会への憤りをね、そのなんと言えば良いのか、人生の借りを返せてない。日本の闇の部分、そこに職務として棲んでいた。部下も斃れ、追っていた者も斃れた。どうしてこうなったという思いがある。まだ失せることがない。ゴミ掃除に入ったらゴミだらけの上に、新しいゴミが増える。社会の歪みを取り締まろう、法で矯正しようとしているが、それだけじゃダメだ。却って逆効果になる。社会の歪みを取り締まろう。法で矯正しようとしているが、それだけじゃダメだ。却って逆効果になる。ゴミ掃除は大変なんだよ。どうして終わらないのかと思う。

――13期連続で代議士を続けてもゴミ掃除が終わらない、と。

(亀井)いつも言うのはね、いつもあちこち講演に行くでしょう。そのときに最初にいう言葉があるんです。「あんまり評判の良くない亀井静香です」。評判が良くなっちゃゴミ掃除は出来ないものな(笑)。

<俺の核>

――亀井さんのルーツというものはやっぱり山間の風景なんですね。

(亀井)ソレは間違いない。

 故郷の須川で隣に住んでいた、大迫さんの封書です(財布から古い封筒を取り出す)。94歳の時に私へこの封筒へ10万円を入れて下さった。政治に使ってくれと。ここに「谷間の美田は草原に/時の流れの悲しけり/美しい国とは昔の言葉/国の未来が思いやられる」そう書かれています。大迫さんは大金を託してくれた。これは私の心に突きささったままです。

<経世会のホープ小沢一郎>

・経世会は田中派という利権組織から増殖した組織です。云わばマフィアみたいなものだ。小沢一郎が飛び抜けてるわけだけど、彼はネゴシエーションをやって物事を進める人じゃない。絶対的権力を握れる立場に立つと、大きな仕事をする男だ。そういう人だからね、細川政権を作るような荒業が出来る。話し合いとか全く苦手そのものだな。その意味で異才の政治家です。

・さらに言うと政治改革四法もね、小選挙区制にしてしまって議員の多様性が失われた。金のかかる中選挙区制だったが、党の執行部に牛耳られて政権批判が出来なくなり、ホントにいまの自民党なんか活力がなくなった。

 また国連平和維持軍に自衛隊を参加させて普通の国だという基準もよくわからない。派遣する必要性は感じないんですよ。専守防衛でいい。防衛費を拡大するのはいい。ミサイル防衛やシーレーン強化でね。だけどなんだって米国の戦争に付き合っていいことがあるのかさっぱりわからない。普通の国というのは普通に安心して暮らせる国じゃないのかね。

『「中国の終わり」にいよいよ備え始めた世界』

宮崎正弘   徳間書店   2015/10/29

<半値8掛け2割引>

・暴落の終着点は「半値8掛け2割引」と昔から言われるように、大雑把に見てもピークから68%下がる計算になる(じっさいに2008年から09年にかけて上海株は71%下げた)。

<株式大暴落が次にもたらす災禍とは?>

・次の大暴落は必至の情勢となっているが、中国に残された手段はあるだろうか?可能性は2つあるように見える。

 第1は市場の閉鎖である。1カ月ほど思い切って株式市場を閉鎖すれば、この間に様々な処理ができるだろう。なにしろ一党独裁の国ならばこの緊急事態を乗り切る強引な手段も出動が可能である。

 第2は通貨の大幅な切り下げである。

いまの人民元は完全な変動相場制への移行が難しいうえ、ドルペッグ体制となっているため、対ドル相場を30%程度切り下げるのである。「そんな乱暴な」と思われる向きもあるかも知れないが、実際に中国は1993年にいきなり33%も通貨人民元の切り下げを行った「実績」がある。

 これにより輸出競争力が回復でき、若干の海外企業の直接投資も復活する可能性がある。

・デメリットは石油、ガス、鉄鉱石など輸入代金が跳ね上がること、もうひとつは日本に観光旅行へ来る中国人の「爆買い」ツアーが激減することだろう。というより現在の爆買いツアーはもう終わりに近く、中国人の発狂的海外ツアーも沙汰止みになるだろう。

 かくして中国の爆発的投機の時代は終わりを告げ、中国経済全体の崩落が始まる。それは連動して中国共産党王朝の崩壊の始まりとなる可能性が高いのである。

<米国の親中派学者も「中国崩壊論」へ>

<旧ソ連は国防費の増大に耐えられなくなって潰えた>

・米国や日本が衰退する危険性はその原因と考えられる少子高齢化の人口動態よりも、もっと見えない変化、すなわち国防費増加ではなく「エンタイトルメント」費用、すなわち「社会保障、メディケア、保険医療(メディケイド)、所得保険」の急拡大にある。日本はこれに失業保険料が差し引かれ、しかも保険料を支払わなかった人々が月100万円ほどもかかる高額の介護を受けているケースもある。

 かくして日米欧先進国や台湾、韓国などは防衛費拡大に予算を回せない隘路に陥没した。インドも貧困層の食料援助予算があり、タイ、インドネシアも然りだ。しかし中国には国民皆保険制度はなく、介護保険もなければ生活保護もない。義務教育も有料である。だからこそ狂気の軍拡が続けられたのだ。

 欧米先進国が共通して陥没した財政危機とは民主制度のパラドックスかも知れない。

 中国の次なる問題は宮廷の内部争い、権力闘争の陰湿性である。

・そして、「宦官と官吏による内戦に近い状況は何十年と続いた。朝貢貿易は崩壊し、比類無き明の艦隊は港で朽ち果てた。一方、海岸地域の町の住民はその後の数十年にわたって対外貿易から利益を得たが、明の宮廷はその繁栄ぶりを不快で脅威をもたらすものとみなした。官吏は近視眼的で経済的知識のない官僚の常套手段をとり、潜在的なライバルの力をそぐことにした。もはや仁の政治どころではなくなった」。

 これまで国家の興亡論については、軍事力や海の支配、地政学的観点が主流だったから右のような別の視座からの切り込みは異色である。

 それにしても明がなぜ衰退したのか。

「宮廷ではライバル関係にある各集団が皇帝の関心を引こうと争いあっていた」

 漢の場合、「皇帝への影響力をめぐって、名門一族、軍当局者、官吏である学者・官僚集団、宮廷の宦官という4つの主要な対立勢力が争っていた」

 なるほどまったくと言ってよいほどに現代中国の様相と似ている。

・2014年7月に北京大学中国社会科学研究センターが発表した中国のジニ係数は0.73(0.4以上は暴動が多発するレベル)。まさに天文学的所得格差の破壊力によって、史上空前の不均衡状態にある現在、中国は国家の財政が一握りの特権階級によって蝕まれつつあり、王朝の崩壊が近いことを物語っている。

<鮮明に表れた中国共産党瓦解の兆候>

・このように、米国における対中穏健派が雪崩を打って中国への失望を表明しはじめたのである。

前述したシャンボーは、共産党体制崩壊は次の5つの兆候からうかがわれるとした。

 第1に富裕層の海外逃亡、第2に国内での言論弾圧、第3に誰もが政権のプロパガンダを信じていないこと、第4に共産党と人民解放軍にはびこる腐敗、第5に経済縮小と利害集団による改革阻止である。

 シャンボーはこう結論している。

「一度、この体制が崩れ始めると中国は長期的かつ複雑に停滞し、より暴力的な社会となるだろう」

・――危機管理とは考えられないこと、あるいは考えたくないことを考えることである。

 日本人が嫌がる防衛論議、日本の核武装、戦争、これら考えたくないことを、じつは真に近未来のシナリオとして考えなければならない。それは指導者の役目だ。

<迫り来る米中戦争の行方>

<米中戦争は不可避だとするロシア>

・こうなると、米中の関係悪化はどこまでいくか、ロシア紙『プラウダ』(英語版、2015年6月24日付)は米中戦争の蓋然性を検証し、11の根拠を描いていた。

 その行間には米中戦争への「期待」(なぜなら「最大の漁夫の利」を獲得できるのはロシアだから)が滲み出ている。

<米国が想定する米中軍事衝突3つのシナリオ>

・南シナ海問題で一歩も譲らす、重大なチャンスを逃がしたのである。

偶発戦争は起こり得ない可能性が高いものの、危機を危機と認識できない指導者が、党内権力闘争の生き残りをかけて軍事衝突に出てくる場合、俄に起こり得る危険性に繋がるのである。

 たしかに国内矛盾を対外矛盾にすりかえることは歴代独裁者の常套手段とはいえ、中国の軍事外交の突出が続けば、いずれ本格的な米中衝突を招来し、結末は中国の敗北が明らかであり、中国共産党の指導力の信用が撃滅され、共産党の一党独裁は激しく揺さぶられることになるだろう。

<そして中国に大破局が訪れる>

<機密文書まで海外に持ち逃げし始めた「赤い貴族」たち>

・「これ以上、反腐敗キャンペーンを続行すると、指導部の安全に問題が出てくるだろう。いまですら執行部の安全は深刻な状況であり、反対派は絶滅されていない。もし、キャンペーンを続行するとなると党そのものが深刻な危機に瀕することになり、このあたりで手打ちにしないと、状況は危うくなる」

<中国共産党の命運は尽きようとしている>

・黄文雄氏や福島香織氏が口を揃えて言う。反日の中国人と韓国人は本当は日本が好きで、できれば日本人になりたいと願望している、と。

「来生は中国人に生まれたくない」とする若者が3分の1もいて、これは韓国でも同じ比率という。「来世はブタでも良いから中国人には生まれたくない」と回答する者もいる。いや、その数は夥しい。

・世代交代が著しくなり、軍人でも朝鮮戦争体験組は誰もいない。

 公式の発表より、民衆は裏の情報を選別して入手している。若者はネット世論の行間を読み、暗号で通信しあう。

 過去の話より現実の腐敗、権貴階級への不満と憎しみが噴出しはじめ、いずれ巨大なうねりとなって、より暴力的になり、社会は乱れきって無法状態に陥るかもしれないという明日への恐怖が中国の統治者の間で認識できるようになった。状況はそれほど悪化している。

・国家の基盤が安定を欠いて根本から揺らぎはじめ、特権階級も安穏としてはいられなくなったとき、共産党幹部自らが、「そろそろ俺たちの時代は終わりだな」と自覚しはじめる。だからあれほど夥しい中国共産党幹部が賄賂で得た資金ごと海外へ逃亡を始めたのである。

 余命いくばくもなくなったのが中国共産党である。

『晋三よ!国滅ぼしたもうことなかれ』

~傘張り浪人人生決起する~

亀井静香    メディア・パル  2014/11/29

<小学校3年生のときに迎えた敗戦のショック>

・吉田茂や岸信介は小さな抵抗はしたかもしれないが、大きな流れでいえば従米路線を進め、それが自民党、つまり日本の政治の主流となっていったんだ。

<交渉は相手の力を利用して制す合気道の極意で>

・ただ、集団的自衛権はまずかった。

 世論の大方の反対を押し切って、閣議決定で変更することをやってしまったことも。開けてはならないパンドラの箱をいじってしまったんだな。

「実際問題、集団的自衛権が使えるか」って晋三に問い質したが、

彼はただ黙って聞いていた。

使えるわけがないのだ。ダメだと話をしたが、本人も今になって「しまった」と思っているんじゃないかな。

TPPは、大企業含めてそれで得する連中もいるが、集団的自衛権の問題は、カネではなく命の問題であり、日本の平和と秩序の問題だ。

<純ちゃんの改革を総括する>

<「政治の従米化」「マスコミの洗脳」「国民の劣化」>

・この章の目的は、俺のほんとうの意味での敵が外来種の新自由主義であることと、その新自由主義の出鱈目な正体を明らかにすることだ。そのためには、どうしても純ちゃんの改革について語らないわけにはいかんだろ。

 あれから10年、郵政民営化とは結局なんだったのかって考えると、「政治の従米化」「マスコミの洗脳」「国民の劣化」を痛感するね。

 政治家は国民のための政治をするのではなく、それを権力におもねったマスコミが情報操作、アレンジして伝え、一方、国民も痛みを痛みとも感じず生体反応を起こさないほど劣化した。それが今も続き、ますます悪くなっている感じだ。

 あのとき純ちゃんは「官から民へ」とか、「改革なくして成長なし」ともっともらしいことを言っていたね。「痛みなくして改革なし」とも言ったが、結局、ほとんどの人に「痛みだけあって改革なし」だったってことだ。

・聖域なき改革とか三位一体の改革とか、改革が素晴らしいもののように思わせ、マスコミもそう誘導した。彼らのバックには、郵政民営化で得する大スポンサーがいたから当然だろう。

 郵政民営化だけを争点に、衆議院を解散して選挙に臨んだのは狂気の沙汰だった。法案が参議院で否決されたからといって、衆議院を解散するというのは憲法違反の暴挙だな。民主主義を冒涜する以外の何物でもなかった。自民党内でも多くの人が反対していたが、党執行部は彼らを脅したりあやしたりして鞍替えさせていた。

 俺は郵政民営化が明らかにアメリカからの年次改革要望書(日本の弱体化を狙う勢力や、郵政の財産を狙ったアメリカの保険や金融資本の意図した)に沿ったものであると承知していたので、徹底的に反対した。

・郵便にしても、簡保にしても、郵貯にしても、あるいは、それ以外のサービスを含め、郵便局は地域に密着したコミュニティーの拠点だから潰すわけにはいかないんだ。日本の重要な社会基盤の一つなんだが、やつらはそれを壊そうとした。

要は「官から民へ」ということを、十把一絡げでやるのはあまりにも単純過ぎるということ。

「改革」にしたって中身が問題ってことだよ。