笹本爲次郎商店(稲毛)
2023年7月オープン。『蔭山樓』元総料理長の蔭山さんが、『鶏坊や』閉店以来13年振りに千葉に帰還された。場所は稲毛AEONの隣で、これまで何度もラーメン店が入れ替わって来た場所。初めてこの場所に来たのは20年ほど前の『一鉄』時代かな。
蔭山さんと言えば、大阪辻調出身で『知味斎』『筑紫樓』『京王プラザホテル』などで料理長を歴任し、ヌーベルシノワの『蔭山樓』や、鶏白湯ラーメンの『自由が丘蔭山』を展開してキャリアを誇るガチガチの料理人。齢60にして原点である地元の千葉で、自ら厨房に立つ小さなラーメン屋さんを新たに始められた。
もちろん看板メニューは「鶏白湯」。20年程前に初めて蔭山さんの鶏白湯を食べて以来、私の中での鶏白湯の基準が蔭山さんの味になっている。そして今までそれを越える鶏白湯に出会ったことがない。今回の鶏白湯も、もちろん私が今までに食べた中で一番美味しい鶏白湯だった。
脂分に頼っていないというか、鶏全体の旨味にあふれているようなスープ。巷の鶏白湯にありがちな変なクセや臭みがないのだ。そのスープを受け止める麺は浅草開化楼の特注麺。不死鳥カラスさんが蔭山さんのスープを味わって決めて来た麺なのだとか。手包みのワンタンやしっとり柔らかなチャーシューなど、具材の完成度の高さもさすがだが、このスープと麺の組み合わせだけで成立しているラーメンだと思う。
そして新たな一杯が「牛骨塩らぁめん」。このスープもまた凄かった。牛骨の髄の旨味のみならず、テールや肉などの旨味も凝縮されたような。そしてそのスープをかけて食べる「すじこん飯」。稲毛でこの組み合わせを見ると千葉のオールドラーメンファンは懐かしさを覚えると思うが、まさしく蔭山さんの稲毛に住む友人からリクエストがあって生まれたものなのだとか。
餃子や焼売などの点心が美味しいのも当然。プロ中のプロの料理とラーメンを町中華のような使い方で楽しめるなんて。あぁ千葉市民で本当に良かった。改めて蔭山さんお帰りなさい!
笹本爲次郎商店
千葉市稲毛区小仲台1-6-21
11:00〜15:00(14:30LO),18:00〜22:00(21:30LO)
水曜定休
JR総武線「稲毛」駅より徒歩5分