月草の帰りそびれて咲きにけり
http://magokoro-net.com/news/%E2%97%86%E3%80%80%E5%B8%B0%E3%82%8A%E8%8A%B1%E3%81%A3%E3%81%A6%E7%9F%A5%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%BE%E3%81%99%EF%BC%9F/ 【帰り花って知ってます?】より
今日の午前中はとても天気が良く、ご利用者様と一緒に庭園を散策。
部屋からは見えていましたが、山茶花の花が咲き始めていました。
何と! その後ろの方で時期外れの”さつきの花一輪”咲いていました!
ご利用者様曰く、「こういう花は”帰り花”って言うんですよ」とのこと。
知らなかった~。異常気象から来る最近の現象かと思いました。
小林一茶やその他有名な歌人の俳句などの季語に使われている昔からの言葉の様でした。
一つ勉強になりました。
https://ribondou.exblog.jp/32408040/ 【帰り花好きに生きよと言はれても 山尾かづひろ】より
数日前の散歩中に見た。櫻ばかり植えられてある人工の丘で、ぽろりと咲いていた。掲句は、こんな感じか。季節外れに咲く気まぐれな帰り花のように、好きに生きなさいと云われてもねえ。
「帰り花」は季語的には初冬に咲く櫻を指すのだが、今は、この辺りでは紅葉もしばらく先のことだ。
とはいえ、こういうマイペースに咲く奴がいると云うことは、小生のように「世界」に違和感ばかり感じてうまくやれない者にとっては、お仲間のような気がして、うれしい。
※
(注・現在はいつものごとく夜の一〇時過ぎであるが、以下は今朝方に、謂わば暇つぶしもかねて。) 今日は、車検に出した車が戻ってくる手はずになっている。
それを待ちながら昨晩の続きで『古今著聞集』の原文を確認しようという気になった。
手持ちの資料は、新潮社の古典集成版『古今著聞集』、これは上・下あって、おそらく、今当たりたいのは下巻の「興悧巧口」篇だろう、上巻はすぐ目の付くところにあったのだが、周辺を見回しても下巻を見つけられない。
仕方なく一応、上巻の「好色」篇で昨夜の引用の原文を探してみたが、やっぱりない。
小生、何事にもすぐに、あきらめる質だから、やめちゃおうとぶつぶつ言いながら、もう一度書棚を見渡すと、・・・なん上巻が収まっていた書棚のすぐ上の段に発見した、先ほどは、何を見ていたのだ、節穴眼!。
こういうことが、この頃ますます増えてきた気がする、「おい、俺、大丈夫か?」と、自分に問いかけた。
手に取って、目を通して、ついでに暇だから、しばらくぶりに古文のお勉強をしようかと、今思った。
以下、拙訳、助動詞に忠実に訳そうと取り掛かったが、この頃の言葉に落とし込むことがうまくゆかない、途中で挫折、…いつものことながら。
『古今著聞集』 巻第十六 興言利口 (五四六)
「ある宮腹の女房の局にて、みそかに法師尿を漏らす事」
「ある皇女から生まれた女房の私室で、ひそかに通ってくる坊主が小便を漏らす事」
ある宮腹の女房、人目を避けて通ってくる坊主と懇ろで、夜な夜な自分の部屋に入れていた。ある夜、坊主、小便をしたくなったので、「何処にか穴があるか」と女房に尋ねたところ、「その竹竿の穴ならありますわよ。探ってごらんなさい」と教えたので、この坊主が這い寄って探すと、穴を探り当てた。(ほっとしながら)今まさに小便をしようとした時に、タイミングが悪く、屁が出そうになったので、小便も我慢してためらっていた。小便をいきんで止めていなければ、きっと屁と同時に漏れてしまいそうなので(必死でじっと)堪えつけているのを知らないから、この女房は、「穴を探しあてられないのだ」と独り合点して、這い寄って「(あなた)どこにおりますの」と(男を身体を)探していると、(運悪く)ちょうど手を坊主の腋の下へ差し入れていてしまった。この坊主、こそばゆさに我慢できなっかたのであろうか、(漏らしたらどうしよう、女はなんだかんだ云っても皇女の娘、みっともない振る舞いはできないと、)恐怖のあまりぶるぶると震えが止まらない、(が、とうとう耐えきれなくなって)屁と小便を一緒に放出してしまった。竹筒の穴にあてがっていた×××もはずれて、小便があちこちに飛び散ってしまった。
隣の女房の部屋と隔ての引き戸に穴が開いていたので(そこから)小便が(たらたらと)漏れ出して、引き戸の傍に寝ていたお隣さんの顔に雫となって垂れてしまった、そんなことは知らず(隣の女房は)「雨が降って、漏っているよ」と思って、(寝ぼけ半分で)あわてふためいたのだった、まったくのお笑い草であったなあ。 (稚拙をご容赦願います。ほぼほぼ逐語現代語訳にて。)
×××は、いうまでなく、アレ。
『古今著聞集』は鎌倉時代の成立、平安時代末から成立当時までのゴシップ集のようなものだろう。
毎週心待ちにしている「鎌倉殿の13人」の世界と同時代なのである。
ドラマは血なま臭くもある権謀術数に明け暮れているが、何時の時代であっても人間は滑稽であったと、この説話はちょっとだけ笑わせてくれるが、でもどこか哀しい。
訳は、昨夜紹介した「河原万吉著・日本情痴集「室町鎌倉編」・(昭和2年)」の方が、品良く、やはり優れている。
https://ameblo.jp/haikudaisuki/entry-12219316534.html 【My季語集「帰り花」NHK俳句11月13日】より
堀本裕樹先生 ゲスト 杉本博司 さん 現代美術作家、団塊世代。
兼題 帰り花
帰り花(かえりばな)とは、11月頃の小春日和に、桜、梅、梨、躑躅などの草木が本来の季節とは異なって咲かせた花のこと。ひとが忘れた頃に咲くので、「忘れ花」といった言い方もされる。「返り花」とも書き、「二度咲」「狂い咲」ともいう。また、帰り花には、遊女が再び遊郭に勤めに出る意味もある。
俳句では冬の季語の一つとなっている。和歌や連歌には詠題としてはないが、俳諧に到って盛んに作られるようになる。(ウイキベデアより抜粋)
凩に匂ひやつけし帰花(松尾芭蕉『後の旅』)、
かへり花暁の月にちりつくす(与謝蕪村『夜半叟句集』)、
あたら日のついと入りけり帰り花(小林一茶『享和句帖』)
波の花と雪もや水のかへり花 芭蕉 「加賀宝珠」
春雨と思ふ日もあり帰り花 蓼太 「蓼太句集」
帰り咲や狐川より志賀の花 才麿 「江戸弁慶」
ニ三日ちらでゐにけりかへり花-- 太祇 「書筒」
太陽のとほれる道に返り花 長谷川櫂 「富士」
寂庵の仏に捧ぐ返り花 高田正子 「玩具」
薄日とは美しきもの帰り花 後藤夜半
帰り花鶴折るうちに折り殺す 赤尾兜子
原点に戻らぬ企業返り花 的野 雄
成り行きに任す暮しの返り花 鯨井孝一
三つといふほど良き間合帰り花 杉阪大和
ここよりは獣道とや帰り花 稲畑廣太郎
山国の日和は梨の返り花 大谷碧雲居
返り花書屋をのぞく童あり 山口青邨
返り花旧き良き代をさながらに 富安風生
返り花人の愁ひに添ふごとく 塚原麦生
帰り花むかしのゆめの寂かなる 円地文子
帰り花顔冷ゆるまでおもひごと 岸田稚魚
おみならの声弾みゐる返り花 杉山青風
返り花咲けば小さな山の声 飯田龍太
*音に転換
特選
一席
帰り花老木の洞大いなる 東京都町田市 鈴木朗
*老いても花を咲かせるかっこよさ。「洞」が象徴するものは何か。「帰り花」と老いとの取り合わせ。「もう一花」か「徒花」か 生命力の豊かさ、または「老いの華やぎ」と受け取り,励ましとしたい。
二席
返り花消えて冬木となりにけり 鹿児島県姶良市 横領司 雅俊さん
*季重なりだが、最後の最後、ぽちりと一花咲かせて・・・。少々しんみり。されど「枯木」」でなく「冬木」なので、しばし休眠。春になれば復活だー。時間経過をうまく表現。
三席
名優のごとく椿の帰り花 茨城県坂東市 林秀峰さん
*「椿」と名優と言えば、椿三十郎の三船敏郎。、五辨の椿の岩下志麻もすてきだ。
「赤い椿白い椿と落ちにけり」河東碧梧桐
映画の中で椿の花を庭の小川に流すシーンがあった。椿のあでやかさから、女優と考えたい。「ごとく俳句」のおもしろさ。
入選
気弱でも生きてゆけます返り花 鹿児島県南九州市 日笠こうじさん
*勇気づけられることば。「励まし言葉」」氾濫は、空しさが漂うが、「帰り花」と取り合わせると、心にしみる。そこが俳句のおもしろさ。
帰り花蝶にゆづりて去りにけり 神奈川県大和市 佐藤直哉さん
*低い花、躑躅の帰り花であろうか。「蝶にゆずりて」で、作者のやさしさ、風流心が見えてくる。「ゆづる」心が俳句の心。余裕の心。
宿下駄で思わぬ遠出帰り花 東京都豊島区 天谷 敦さん
*旅の風景 旅で見る帰り花もすてき。「宿下駄」が旅情を誘う。
目の隅に帰り花ある会話かな 栃木県高根沢町 大塚好雄さん
*穏やかで明るい生活。その隅におだやかな帰り花。と言うプラスの解釈と、深刻な話をしていて、ふと目をそらすと「帰り花」・・・と言うマイナス感情。いろいろと解釈できる余白がある。短詩形文学の良さを生かした作品。
自治会の一人声優帰り花 栃木県宇都宮市 藤本一城さん
*帰り花を発見したときのおどろきの声が、町内一の声自慢から発せられた。より、明るい雰囲気が増大される。「自治会」で下町情緒となった。
それとも大学の自治会かな?
返り花しかと岡本太郎展 北海道にかほ市 砂川眞一さん
*取り合わせの力強さ。帰り花が弱々しくでなく、しかと、はっきりとそして堂々と咲いている。そこで岡本太郎展が開かれている。 帰り花が小さな爆発のように思えるのだ。美術関連は選者の好みか
入選の秘訣
帰り花枝ごと母の病室に *語順を替える。
○病室の母へ枝ごと帰り花 *下五に持ってくることでサプライズ感が強まる。
杉本博司 写真美術館の作品に触発されて
海出でて海へ還らむ人に雪 堀本裕樹
『 末の細道』・・・杉本博司氏 展覧会図録写真集
くわばらや落ちなば落ちん地獄まで・・・杉本博司 *雷神の彫刻に寄せて
幾年やみすえてはるか春の海・・・杉本博司 *「海の景」に添えて
淡海の海夕浪千鳥汝が鳴けば心もしのにいにしへ念ほゆ 柿ノ本人麻呂
・・・ 作品「淡海の海」
人の世の永久とも思い絶えゆかむ・・・杉本博司 *能面「喝食」によせて
喝食に寒紅を引く月夜かな 堀本裕樹
*能面 喝食(かっしき)
禅宗のお寺で食事の時間などを知らせたり、食事のメニューを声を出して、
知らせる役目をする僧。下記の面のような、少年、童子がその任にあたり
喝食行者(かっしきあんじゃ)と呼ばれた。
その少年の顔を面にしたもので、特に額に銀杏(いちょう)の葉型の前髪を
書いた半僧半俗の少年の面。
前髪の大きさにより大喝食、中喝食、小喝食などの種類がある。
杉本博司さんの俳号・・・呆気羅漢
岸本葉子さんの笑みを見て
笑みうかぶへのへのもへじ返り花・・・杉本博司
二百面相落選句
リハビリの杖指す先に帰り花