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ペット商材の流通と今後の市場展望 Vol.4

2024.09.13 00:00

ペット産業で活躍する経営者や専門家をゲストに招き、日本の動物医療やペット産業の現状と将来について深掘りするセミナー形式のインタビューシリーズ。

国内では犬の飼育頭数が減少し、市場が厳しさを増していくことが予想されます。このような状況下で、私たちが取るべき市場判断と今後の施策とは何でしょうか。現状分析と市場展望を中心に、お話を伺っていきたいと思います。

(この記事は3名による対談セミナーから、井東様との対談を抜粋して掲載しています)


ゲスト

井東 正樹(いとう まさき)

ジャペル株式会社 取締役

 大規模流通システムでペット商材を届け続ける国内物流の要

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生田目

ペットとペットオーナーの生活の質を向上するため、つまりQAL(Quality of Animal Life)を向上するために、広くペット事業者同士で連携を目指す必要があると感じています。

実際にどのような形であれば、具体的な連携の形を目指せると思いますか?


井東

まずは、業界内での流通形式を一体化させる必要があると考えています。

例えば、ヒトの医療では代理店・卸会社ごとに受発注を受けるわけではなく、システムで一元管理されています。

もちろん、医療保険の点数方式とは異なるので、全てを同じにすることは難しいですが、参考にできる点はあるでしょう。

また、1つの疾患やペットの状態に合わせて、治療・医薬品・施術・ケア商品の流れがあり、推奨までしてくれる形が理想だと思っています。

例えば、ヒトで言えば、デンタルケア領域では歯科医師が施術を行い、歯科衛生士がデンタルケア方法の指導を提供しています。

ペット業界でもフードやケア用品に関しては、獣医師やトリマーなど士業者との連携ができると思います。

飼い主はペットの健康を第一に考えてペット商材を選びますが、一人では迷ってしまうことが多いことでしょう。

そこで、予防や治療の一環として獣医師がペット商材に関する相談も受けてくれる流れがあれば、科学的にも最適な商材選びができるようになるかもしれません。

獣医師相談のなかでその商品の欠点や正しい使い方を学ぶことができれば、不適切な使用による事故や健康被害を未然に防げることが期待できます。


また、トリマーは獣医師と飼い主の間で重要な役割を担っています。

犬や猫に対する深い理解と、施術を頻繁に行うことから、個体ごとの健康状態を熟知しています。

さらに、仕事柄、獣医師や飼い主よりも全身を触る機会が多いため、イボや傷など、体の細かい異常に一番気が付きやすい立場にあります。

また、獣医師とトリマーの間で円滑な情報共有が行われていれば、ペットの病気をより早く発見することができ、飼い主に対しては、病気につながる前のちょっとした不調に対して、生活環境や食生活などの適切なアドバイスをすることができます。

弊社が運営する老犬・老猫介護施設「あにまるケアハウス」では、動物病院と連携し、トリミングルーム、ホテル、物流を一貫して提供しています。

このような施設が増えることで、情報共有や新しい技術・製品の導入が円滑になり、ペット業界全体の発展につながると考えています。


生田目

ありがとうございます。おっしゃる通りで、トリマーも獣医師も一見するとまったく異なる業種に思えますが、どちらもペットと飼い主を中心に動いていますよね。各業種を本質まで分解できれば互いの得意領域を組み合わせた連携の形を作れるかもしれませんね。

それでは、最後にこのインタビューを見ていただいている方々へ一言お願いいたします。


井東

ペット市場は今後も拡大し、特にペット用品領域の伸びが期待されています。しかし、市場の拡大と同時に、ペットに対する健全性が失われる可能性も懸念されます。

そこで、私たちペット業界関係者は、業界とペットの健全な成長に向けて、積極的に連携していくことが重要です。

具体的には、以下のような取り組みが考えられます:

■情報共有の強化: 製品開発や販売に関する情報だけでなく、ペットの健康や飼育に関する情報も業界関係者同士で積極的に共有することで、より質の高い商品やサービスを提供することができます。

■共同研究: 複数の企業が協力して研究開発を行うことで、個々の企業では実現できないような革新的な商品やサービスを生み出すことができます。

■人材育成: 人材育成プログラムを共同で実施することで、業界全体の知識やスキルレベルを向上させることができます。

■倫理的なガイドラインの策定: ペットの福祉に配慮した倫理的なガイドラインを策定し、業界全体で遵守していくことで、ペットに対する健全な飼育環境を促進することができます。

ペット市場の健全な成長は、私たち一人ひとりの努力によって実現できます。

ぜひ、皆さんも積極的に業界人との連携を図り、より質の高いペット業界を作っていきましょう!



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プロフィール


生田目 康道(なまため やすみち)

株式会社QIX 代表取締役 社長

株式会社JPR 代表取締役 社長(プリモ動物病院)

株式会社EDUWARD Press 代表取締役 会長

株式会社QAL startups 代表取締役共同CEO

一般社団法人日本ペットサロン協会 専務理事



井東 正樹(いとう まさき)

ジャペル株式会社 取締役

JAPELL (HONG KONG) CO., LIMITED 取締役


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