「分身」に対応するように自分を扱う
Spark Lab(スパークラボ)の稲場泰子です。
皆様は夏休み、どうされましたか?
私は沖縄の海の美しさに感動した夏でした。
さて、今回もアニメ話で行きたいと思います。
(ネタバレあり。また筆者は敢えて原作漫画を読まずにアニメを満喫すると決めているので、アニメで描かれているストーリーや設定しか認識していませんのでご了承下さい。)
「ちょっとヘタレな魔法使い」
さて、本日は前回でも取り上げた
「葬送のフリーレン」
を再び取り上げたいと思います。
前回は「勇者 ヒンメル」が「インポスターシンドローム」から自由だった、
ということを書きました。
今回はこの作品の主人公、
「フリーレン」について扱いたいと思います。
「フリーレン」は千年以上の寿命を持つ
「エルフ」という種族の女性で、
とても強い魔法使いです。
「ヒンメル」一行に誘われ、
10年にわたる冒険の旅の末、魔王を倒しましたが、
「葬送のフリーレン」は魔王を倒した冒険の話ではなく、
魔王を倒した一行が帰還した後、
人間である「勇者 ヒンメル」が年老いて亡くなった後の話です。
「ヒンメル」の葬儀で、
「フリーレン」は積極的に「ヒンメル」について知ろうとしなかったことに直面し、
涙を流して後悔します。
そこから、新しい仲間達と再び旅に出て、
かつてと同じ道をたどりながら、
再び「ヒンメル」と対話するために
死者の魂と対話できる場所を目指すのです。
さて、この「フリーレン」、
魔法使いとしてはめっぽう強いのに、
普段の生活がヘタレです。
例えば・・・
片づけられない(いつも部屋やカバンの中がぐちゃぐちゃ)
片付けられないくせに変なものを集めたがる
朝起きられない
ダンジョン(洞窟)探検が好きすぎて、好奇心に負けていつも同じトラップにはまる
等々・・・。
弟子である、しっかり者の人間の少女「フェルン」に
ちゃんと起きられないことを叱られ、しゅんとしている姿に、
朝が弱い私は共感しかありません。
そして、世界を救った人がこうなのだから、
「全てが完璧で無くて良い」と言われているようでホッとします。
「最強の敵は」
ここまでは余談でした・・・・。
お伝えしたいのは「フリーレン」の強さの部分です。
「フリーレン」一行は旅の途中、
先に進むために「一級魔法使い選抜試験」を
受けなくてはならなくなります。
「フリーレン」と「フェルン」をはじめ、
受験者達は「零落の王墓」というダンジョンの
最深部に辿り着くという課題を与えられます。
様々な罠や敵が待ち構える中、
最深部には最強の敵が待っていました。
それは、
受験者達自身の分身です。
魔王を倒した「フリーレン」は
受験者の中で最強の魔法使いです。
その「フリーレン」の分身と、他の受験者のみならず、
「フリーレン」自身も対峙し、倒さなければ試験に合格できません。
自分と同じように動き、同じ魔法で返されてしまう。
どうやって自分で自分の裏をかくのか?
この難問に、「フリーレン」は
弟子の「フェルン」と一緒に自分の分身に挑むことにします。
2対1だと強いから?
いいえ、「フリーレン」が明かすには
「私はフェルンを舐めているから。」
そしてその「自己分析」通り、
「フリーレン」の分身は「フェルン」との戦いで油断し、
本物の「フリーレン」に倒されてしまうのです。
「本当の自己分析」
私たちはしばしば自己分析をします。
しかし、プライドが邪魔して、
自分を良く見ようとしたり、言い訳が生まれたりして、
冷徹に自分を見ることが出来ません。
「こういうところがダメだ」という表面的な反省はしますが、
自分で目をそむけたくなるようなドロドロした本音や、
誰にもさらしたくない弱みなどからは目を向けてしまうのが人間の性です。
しかし、そこまでもちゃんと見据えて自己分析できると、
真に内なる敵に打ち勝って成長できるのではないか、と
このエピソードは教えてくれるような気がします。
「フェルンを舐めている」から隙のある対応をする、
というのはあまり認めたくない弱みです。
しかし、そこを冷徹に認識し、そこに対応を考える。
「分身」に対応するように
日々自分の「扱い」を考えることが成長につながります。
辛いことですし、私自身もできていませんが、
何か行き詰った時にちょっと勇気を出して
深く自分について知ろうとしてみると
道が開けるかもしれません。