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rose garden

Bottle Keep

2019.01.07 10:00


3度目が無かった。

彼と初めて会った日に一度、1ヶ月後の何もない日に一度、それだけだった。私が下手だったから他の女で満たしているのかもしれないし、単にめんどくさくて、鼻っから2回で終わらせようとしていたのかもしれない。

理由なんてなんでも良かったけど、最後に行為に及んでから2ヶ月の間ずっと連絡だけが途絶えないのが不思議だった。

他の女を狙ってるからキープ枠でとっておいてあるのか、そうかそうか。そう考え始めてからは何だか腹が立ってきて、あぁ、所詮私は蜘蛛の糸に引っかかった獲物だったんだ。

行為はしないのに必ず連絡は彼からだったのが救いだったのかもしれない。今までの全ての救いに感謝して、今夜は私から誘うの。

最期にするから



「どした、珍しいやん」

サンダルを適当に踏みながらダル着で扉を開けた彼はいつもと変わらない死んだ魚の目をしていた。

「うん、急にごめん。予定とか大丈夫だった?」「今更。あったらOK出さへんやろ」

デパ地下で買った自分の生まれ年のワインを手土産に渡した。えなに、ほんまどうした?と、戸惑いながらも単純に大好きなお酒をプレゼントされたことに嬉しそうな彼を横目に、"生まれ年のワインを好きだった男の家に置いていく重い女"を滲み出さないようにしているのが精一杯だった。


貴方がそれを一晩で飲み終わったとしても、貴方の体内で私がいき続けるように一生もんのボトルキープ、なんて。つくづく重い女だ。


「そんなことよりさ、抱いてよ」

ボトルラベルをじっくりと読み込んでいた彼の目線がこちらに移った。

「…は」「抱いて」「いやちょ、」「お願い」

全力で拒もうとする彼を寝室に追いやっていく。ベッドの淵まで追い詰められた彼はストンと座り、それに合わせてスプリングの音が鳴る。


「、落ち着けって」

私の方が有利だったはずなのに、あっさりと両腕を掴まれてしまった。

「なぁ、どうした」「別に ただ欲求不満なだけ」「やからって、」「ダメなの?」「…」「セフレでしょ?私たち、」

まぁ、2回しかシてないけど って自嘲気味に笑ってやったら彼の目つきが鋭く変わり、こちらを見やった。

「そんなん言うんやったらほんまに抱くぞ、知らんで」



口を開く前に口を塞がれた。

そう、そうやって、私を求めてほしい。最期に私の形を覚えさせて いなくなってやる。

決めていたのに、

「っ、なんで」「なにが」「挿れて、」「あかん、今日は挿れへんよ」「な、で」

深いキスから始まって口の中を散々かき乱した後は 胸と下の口を指を使って行き来するだけで、裸なのは私だけで、1人でシているのと変わらなかった。

「欲求不満言うたからやろ、俺は今日はせぇへん」なんて、澄ました顔で言われたのがトドメだったのかも知れない

やっぱりな、他にいたんだ、って今日のこの行為も全てどうでもよくなって急に目の奥が熱くなり、頭の奥にガツンガツンと殴られてるような感覚が襲ってきた。

「、なんで泣いてんの」「んふふ、なんでだろう」「…痛かった?」「んーん」「じゃ、なんで」「、なんでもよくない?」「よくない」


ちょっとごめん、、

目元を隠していた両腕が解かれ腰と頭を丁寧に抱かれて上体起こされる。

ポン、ポン、と一定のリズムで数回あやされた後、キツくキツく抱きしめられた。


「、好きなやつ泣いてんのにほっとけへんやろ」


胸が痛いほどに高鳴る。心臓の音が聞こえてきそう。


「俺なんかした?急に高そうなワインくれるし、抱けってゆうし、したなら謝るから泣かんとってよ」「してない、けど」「けど」「もう終わりかなって思ったから」「なのにそれ」「だって、他に女の子いるんじゃないの、私は今日で切ろうと思って」「あかん、なんでそんな勝手に決めんの」


他に誰もおらへんし、俺はこんなんで終わりたない


「ホイホイ抱いたらあかんやろ、大事にしたいやん」って、出てくる言葉はこちらが照れるものばかり。

こんなにクサくてロマンチックな告白で始まる物語は、私史上 最初で最後の甘くて苦いドラマになるかもしれない。

1時間前までの欲望だらけの私ははどこかに置いていこう


そんな、ただの箱ではなく いつのまにか宝箱に入れられていた宝石のお話