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岡田史乃句集

2024.09.14 07:08

https://ooikomon.blogspot.com/2015/09/blog-post_22.html 【岡田史乃「歩く人皆春光の塵となり」(『ピカソの壺』)・・・】より

近年の句集は「後記」に色々書き連ねる人が多い。短い「後記」といえば、愚生などはすぐにも飯田龍太を思い浮かべたりするが、なかなかどうして岡田史乃『ピカソの壺』(文學の森)の後記も短く、実に気持ちがいい。以下がすべてである。

 『ピカソの壺』は私の第四句集です。お目通しいただければ幸いです。

             平成二十七年六月二十日  岡田史乃

句集名は、序句の、

   父からのピカソの壺や夏立ちぬ        史乃   によっている。

  一条九条岡田てふ蜃気楼

この句は愚生には難解だが、魅かれる。誤読を恐れずにいうと、「岡田てふ」は夫君・岡田隆彦のことではなかろうか、と思ったりする。愚生の世代にとっては、岡田隆彦は吉増剛造らと並んで現代詩人のスターであった(若くしてと言ってもよい享年58だ)。その詩人に『史乃命』という詩集がある。上句の「一条九条」は日本国憲法であるとしたい。一条は、もちろん、主権は国民の総意による象徴天皇。九条は、いまもっともかまびすしい戦争放棄、交戦権否定、戦力の不保持の平和主義。それらはすべて蜃気楼、いわば逃げ水であるといっている。それゆえ愛おしい。逃がしてはならない何かなのである。「春の章」の最後には「蜃気楼見えるかぎりは私ぞ」の句が置かれている。

蜃気楼とは幻影のことか。岡田隆彦の詩集『わが瞳』の「大股びらきに堪えてさまよえ」の冒頭には、道を急ぐことはない。  あやまちを怖れる者はつねにほろびる。  明日をおびやかすその価値は幻影だ。と、あった。

話は変わるが、辻村麻乃が岡田史乃(「篠(すず)主宰」)の娘であると知ったのはつい最近のことである。

ともあれ、以下にいくつか、愚生好みの句を挙げておこう。

  木の枝も棒切れもなく囀れり  埃つぽい機嫌でありし羽抜鶏

  物言はばいよいよあやし花菖蒲 着ぶくれて鏡天井皆仰ぐ

  茶の花のこぼれはじめし坂の家  鬼を追ふ鬼のひとりが拾ふ豆

  母死せば荒神(あらがみ)悴むごとくなり  


https://www.longtail.co.jp/~fmmitaka/cgi-bin/g_disp.cgi?ids=20000410 【そんなことよく思ひつく春の水  岡田史乃】より

さて、「そんなこと」とは、どんなことなのか。「そんなこと」は、書いてないのでわからない。 わかることは、「そんなこと」が「そんな馬鹿なこと、どうでもよいこと」に近い中身であろうということだけ。もしも「そんなこと」が、心より賛嘆すべき内容を持っていたとしたら、「春の水」と照応させたりはしないはずだ。水温む候、作者の機嫌はすこぶるよろしく、「そんなこと」にも立腹せずに微笑して応えている。また、あなたの馬鹿話がはじまった。それにしても、次から次へと、よく「そんなこと」を思いつく人であることよ。わずらわしい時もあるけれど、今日はむしろ楽しい感じだ。目の前には、豊かな春の日差しを受けてキラキラと輝く水が流れている。全て世は事もなし。束の間ではあるかもしれないが、至福の時なのだ。ところで、句の成り立ちを作者の立場になって考えてみると、上中の十二文字は素直にすらりと出てきたはずだが、さあ、下五字をどうつけるかには少なからず腐心したにちがいない。それこそ「春の水」を「思ひつく」までには、相当に呻吟したと推察される。すなわち、突然口を突くように出てきた上中のフレーズを、簡単に捨てるには忍びなかったということ。反対に、実は一切そんな苦労はなかったのかもしれないが、長年俳句を読んでいると、つい「そんなこと」までをも気にかけてしまう。ビョーキである。史乃さん、間違ってたらごめんなさい。『ぽつぺん』(1998)所収。(清水哲男)


https://ameblo.jp/seijihys/entry-12498744495.html 【岡田史乃最新句集『ピカソの壺』】より

竹夫人好みし男もうゐない   岡田史乃(ちくふじん このみしおとこ もういない)

今日は担当させていただいた、岡田史乃「篠」主宰の最新句集『ピカソの壺』の刊行のお祝いのため、岡田主宰と、娘で「篠」副主宰である辻村麻乃さんとお会いしてきた。

14時にお会いして、そのあと食事して、コーヒーを飲んで、お話をして、気がついたらなんと21時!ずいぶん長くいたもんだ、と驚きましたが、先生も喜んでくださったし、いろいろな話が聞けて楽しかった。

『ピカソの壺』は詩情と俳諧味がほどよく融合したユニークな句集。

ここのブログで仕事の宣伝はしないようにしているが、よい句集を作れた、と我ながらうれしい。掲句は編集していて、一瞬、ドキリとした一句。

岡田先生の俳句の素晴らしさは、一見、ぶっきらぼうな言いようでありながら、その奥に悲しみが滲んでいるところだ。

先生のご主人は、著名な詩人、美術評論家だった岡田隆彦。

隆彦氏が史乃先生への愛をつづった恋愛詩集『史乃命』(しのいのち)は現代詩の傑作と評されている。

竹夫人はご存知、竹で編まれた抱き枕。それが「情愛」というものを暗示しているように思える。掲句は、もうすでにこの世にいない隆彦氏への追慕の思いがあふれた一句とも言えるが、私などは、一見、現代の不甲斐ない男どもへの一喝のようにも思える。

愛する女を全身全霊で奪いに来るような情熱的な男…、そういう男はまだいるのか。

もう、いやしないだろう…、なんと、こじんまりとまとまった男たちばかりになったことか…、というような意味にも取れる。

ついこの間、ある女性俳人と話をしたのだが、その女性俳人は男性に人気があり、いろいろ口説かれることも多いそうだが、最近の男の口説き方は、告白も、口説きも、誘い文句もなく、流れにまかせたふりをしてラブホテル街へ続く道へ連れて行こうとしたり、急に足や手を絡めてきたりして、「おっさんくさい」アプローチばかりらしい。

それが、ふだんはインテリぶってかっこつけている男性俳人(しかもだいたい妻子持ち…)ばかりなのだから、笑えるやら、かなしいやら…。

別の女性俳人から聞いた話では、「送る」と言ってタクシーに乗せ、なぜか、口に指を突っ込もうとするえら~い先生もいるらしい(この人も妻子持ち…)。

自慢じゃないが(自慢にならないが…)私はそういうことはしない。

思い切り情熱的か、あるいはスマートに口説く。

実際、スマートだったかどうかは心配だが、告白も、相手の意志もはっきり確かめずに、ラブホテルに連れ込もうとするなんて男はみっともない。

男して「下の下」だ。

そういう男どもにぜひこの句を読んで、自分のカッコ悪さを自覚し、反省してもらいたい。


https://ameblo.jp/manopyon/entry-12254507870.html 【『ピカソの壺』三つ目の受賞 丘ふみ游俳倶楽部 ボイトレ】より

やっと篠180号の入稿が終わりましたが、次は母の赤坂帰還の手続きと家族の入院準備が控えています。なので、いつものセッテプレッソで気分転換を。

せっかくなので頂いた「丘ふみ游俳倶楽部」の句集を紹介致します。

丘ふみ游俳倶楽部は福岡県立筑紫丘高校が母体となり、ホームページ上で投句や句会をしている方々の作品を紙の媒体として発行された句集です。この主催者の葱男(中島雅幸)さんを始め、メンバーにも知り合いが多いのでご紹介しきれませんか少し。

題字が金子敦(ラスカル)さんという事からも素晴らしいメンバーで構成されていることがわかります。以下敬称略。

滝落ちて霊さかしまに昇りけり 葱男        成分はメレンゲならむ月の舟 ラスカル

取り出せぬ君のやさしさラムネ玉 清一      おひさまの匂ふ布団にもぐりこむ ぶせふ

由比ガ浜帆は羽となる春日かな 茶輪子      宙に浮く生死不明の秋の蜘蛛 白馬

牛統ぶる少年ホヨル大夕焼 ぼくる        夜の秋ぼおんと捨つるスペアキー 玻璃

雛祭の翌日は俳句大学句会に参加し(この内容はFacebookに)翌日は私の最も尊敬する大木理紗先生のボイトレに。

背中に空気を入れる方法や正しい姿勢の大切さなど生活の上でも重要なことを学べて充電できました。活動は暫くお預けですが、歌があれば私は頑張れます。

火曜日は南朝霞公民館で篠の子句会でした。

駅前の河津桜は葉桜に。

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その日の天気は不思議で、途中雪が降ったらしいのですが、室内の私達は気づかず空が午後二時前なのに夕焼けみたいだと思っていました。

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その公民館では手作りクラブの方々の作品とお雛様が飾られていました。

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岡田史乃の句集『ピカソの壺』が昨年の詩歌句俳句大賞、東京四季出版社賞に続き、「俳句界」文學の森の文學の森俳句賞準賞を受賞しました。

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そして、篠としては東京四季出版社の全国俳誌要覧に載っています。

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最近の活動としては母、岡田史乃の句が「角川俳句」3月号に、私、辻村麻乃の句が本阿弥書店の「俳壇」4月号に掲載されます。

今月の句会は3月18日土曜日の六本木句会でビジターも歓迎ですが、終えてから第1校正があります。

個人的には12日に中村安伸さんと田島健一さんの勉強会に参加しようと思っています。

色々取り込んでいるのに出過ぎではとの声も聞こえてきます。

でも今の状況だからこそ立ち止まると動けなくなりそうなので走り続けます。

虎の夜食ならぬチーターの夜食。

でも睡眠後退症候群になっているので早寝早起きもしなくては。

本当はもっと関西や九州に行きたいのですが、その希望と音楽活動はこれからの楽しみに。