「今のあなたでいいんだよ」 認知症ケアを考える
先月、幕張ベイタウンのベイタウンかふぇで「地域ケアを考える」という勉強会が開催されました。当日は、参加することができなかったのですが、講演をされた佐々木卓司さんのビデオを後日いただき、拝見しました。
年齢を重ねるにつれ、物事を忘れていくのは自然な老化現象であり、誰にでも訪れる道です。できていたことができなくなる、思い出せていたことが思い出せなくなるというのは、本人にとって非常に不安で恐ろしいことです。また、家族や介護者にとっても、変わりゆく現実に不安を感じ、「前のように戻ってほしい」という気持ちから、つい忘れていることを指摘したり、本人を変えようと頑張ってしまうことがあるでしょう。しかし、それは本人の不安をさらに増幅させ、時にパニックを引き起こしてしまいます。そして介護者も、その症状を抑えようと強い言葉を使ったり、認知症の症状を殊更に指摘してしまうという悪循環に陥ってしまうことがあります。
佐々木さんは、ご自身の介護経験を通じて、義理のお父様に「忘れているよ」と指摘することの無意味さに気づき、代わりに「忘れているよ、なんて言ってごめんなさい」と謝ることにしたそうです。「今のままでいいんですよ、大丈夫ですよ」と安心させることで、相手の不安を取り除くように努めたのです。また、お父様にできることを積極的にお願いし、「今のままのお父さんでいてくれるだけで、私たちは幸せなんだよ」と伝えました。すると、お父様は安心し、パニック状態に陥ることも少なくなり、家族と穏やかに過ごせるようになったそうです。
誰しも、「そのままのあなたでいいんだよ」と言われたいものです。過去の自分や未来の自分ではなく、「今のあなたが好きだ」と受け入れられることで、心が穏やかになり、相手にも自分にも優しくできるのです。
佐々木さんの講演を通じて、認知症ケアとは、相手を否定したり矯正することではなく、その人がありのままで過ごせるよう、一緒に考えていくことなのだと学びました。
佐々木さん、この貴重な学びの機会をいただき、本当にありがとうございました。
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