第8回リンパ浮腫治療学会に参加して
2024年9月14日(土)〜15日(日)徳島で開催された第8回リンパ浮腫治療学会に参加してきました。
私がリンパ浮腫セラピストとして勤務し始めた時から一緒にお仕事させていただいている林医師と共に登壇させていただきました。
がん治療の進歩と共に手術は縮小化しているものの放射線治療等、後治療が追加される場合も多くリンパ浮腫罹患数は増加しています。四肢など患肢が浮腫む以前からリンパ管の変性は始まっています。これまではむくみが目立つようになってから治療開始となっていましたが、亀田メディカルセンターでは患者さまの「あれ?今までと何か違う」「太くはないけど重だるいなぁ」「主治医はまだ大丈夫というけどこのまま何もしなくてもいいの?」そういった声や不安に対応し、林医師の専門的な検査のもと早期診断をして、私たちセラピストの保存療法で早期治療を行っています。そして必要な方には適宜外科治療を行います。
この度パネルディスカッションのテーマが外科治療と保存治療の連携ということで、当院にもお声掛けいただき、有名な病院のご高名な先生方と一緒に発表させていただく機会を頂戴しました。
私の発表では当院の流れと共に症例を提示しながら医師との連携、ICGリンパ管造影検査を活かした治療を重症度や症状別に報告、そして退院後の運動サポートとしてto be、to be亀田(乳腺科との取り組み)のご紹介と今後の展望についてお話しさせていただきました。
リンパ浮腫治療の運動療法はエビデンスで効果が認められているものの、日頃の治療の中で十分に実践できているとは言えないと感じています。そしてそれは通院時だけ行うのでは意味がなく、自宅で定着させていく必要があります。このセルフケアやセルフトレーニングを実践してきたのがto beです。
特に乳がん術後の患者さまは術後のケアをしながら身体のバランスを整えていく必要もあります。
今学会で病院での治療、そして退院後の支援活動について一連の取り組みを発表する機会をいただけたことに心より感謝しております。発表後は会場から、そして壇上を降りてからも続けてご質問をいただき、大変嬉しく思いました。
目の前の患者様の症状を日々感じながら見えてきたことを形にしてきた活動でしたが、関心を持ってくださる方々が多くいらっしゃることがとても励みになりました。
他職種で構成されるリンパ浮腫の治療で、それぞれの専門性を活かして治療は行われていますが、今の症状だけでなく20年、30年先の生活を見据えた医療が必要とされます。
それには運動は一つの重要なキーワードとなってきます。
これからは同じ医療者の皆様と意見交換を広め、医療機関や居住地を超えた関わりも含め、ネットワークを構築していきたいと改めて思いました。
渋谷サクラステージクリニックで一緒に勤務している佐藤佳代子先生も近くで聞いていてくださり、心強かったです🙇
招聘講演でオーストラリア、マッコリー大学からいらした形成外科医の須網博夫先生、特別講演でいらした同じくマッコリー大学作業療法士のRobbie Blackwell先生。
初めて須網先生の論文を拝見した時の興奮が今でも忘れられません。
お写真を撮っていただいた後、今私が研究している胸回りの浮腫、ICG検査の結果等の疑問に対しご意見もいただき大変貴重な機会となりました。
またRobbieさんとは着衣選定について各メーカーさんを一緒に周りながらお話しさせていただきました。思いがけずありがたい時間となりました。
学会でお会いした先生方、セラピストの皆様にも感謝申し上げます🙇
10月4日、5日はもう一つ学会があります。国際リンパ浮腫フレームワーク・ジャパン研究協議会(ILFJ)。
こちらのハンズオンセミナーで登壇させていただきます🙇
リンパ浮腫治療学会での発表内容の続きで、乳がん術後の症状で患者様が多く悩まれている腋の下の痛みやむくみについて、亀田総合病院乳腺科の福間医師、そしてリンパ浮腫センター林医師のご協力のもと、写真や画像を通して病態を考察、実際の治療やセルフケアについて講義、実技を行います。対象者は医療者となります。
ご関心のある方は是非ご参加ください。
私もまだまだ勉強中なので一緒に良き学びの場となりますよう頑張りたいと思います。