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日本に於ける婚活の歴史について

2024.09.16 04:43

1. はじめに
 日本における「婚活」という言葉は、2007年に社会学者の山田昌弘とジャーナリストの白河桃子によって提唱されました。この言葉は「結婚活動」の略で、主に結婚を目指して行う積極的な行動を指します。それ以前は、結婚は自然な成り行きや家族・親戚の仲介、職場や地域のコミュニティを通じて進展するものとされていましたが、社会の変化に伴い、結婚へのアプローチは大きく変わってきました。


 本論では、日本における婚活の歴史を、社会的・文化的背景と共に詳述し、婚活の変遷がどのように現代の日本社会に影響を与えているのかを分析します。


2. 戦後日本における結婚の変化


2.1 戦後の高度経済成長期と結婚
 第二次世界大戦後、日本は急速な復興とともに高度経済成長期を迎えました。この時期、結婚は人生における重要なライフイベントと見なされ、多くの人が20代半ばまでに結婚することが一般的でした。特に、1950年代から1960年代にかけて、結婚はほぼ全ての人々にとっての通過儀礼であり、独身でいることは社会的に異端とされることが多かったのです。この時代には、見合い結婚が主流で、家族や仲人による仲介が結婚のプロセスにおいて大きな役割を果たしていました。


 見合い結婚は、家族や仲人が適切な相手を見つけることで、結婚の確実性を高める手段とされていました。結婚は個人の選択というよりも、家族の利益や社会的役割に沿った形で決定されていたため、婚活という概念はこの時点では存在していませんでした。


2.2 恋愛結婚の普及とその影響
 1970年代から1980年代にかけて、日本社会では恋愛結婚が徐々に普及していきました。高度経済成長によって個人の自由が拡大し、また西洋的な価値観の影響を受けて、結婚は「愛」の結実と見なされるようになりました。これに伴い、家族や仲人による見合い結婚の割合は減少し、自分自身でパートナーを選ぶというプロセスが主流となりました。


 恋愛結婚の普及は、特に都市部の若者に影響を与え、自己実現やキャリアを重視する傾向が強まりました。この時期には、結婚に対する考え方が個人主義的に変化し、結婚は必須のものではなく、選択肢の一つとして捉えられるようになってきました。このような変化は、後に未婚化や晩婚化の進行に繋がる要因ともなりました。


3. 1990年代以降の結婚市場の変化


3.1 バブル経済崩壊と婚姻率の低下
 1990年代初頭のバブル経済崩壊は、日本社会に大きな影響を与えました。経済的不安定さが増す中で、結婚を先送りにする若者が増え、結婚年齢の上昇が見られるようになりました。特に、経済的な安定が結婚にとって重要な要素とされていたため、不安定な雇用状況や低賃金に直面した若者にとって、結婚は現実的ではない選択肢となっていきました。


 この時期、正規雇用の減少や非正規雇用の増加も婚姻率の低下に拍車をかけました。男性は特に、経済的な安定を求められることが多く、非正規雇用の男性は婚活市場で不利な立場に置かれることが多かったのです。また、女性もキャリアを重視する傾向が強まり、結婚を急がない、あるいは結婚しないという選択をする人々が増加しました。


3.2 婚活の誕生
 2000年代に入り、少子化や晩婚化が深刻な社会問題となり、これを背景に「婚活」という言葉が誕生しました。山田昌弘と白河桃子が提唱した「婚活」という概念は、結婚を希望する人々が積極的に結婚相手を探す活動を指し、婚活市場を新たなビジネスとして位置づけました。


 婚活は、これまでの見合い結婚や恋愛結婚とは異なり、結婚を目指す個人が結婚相談所、婚活イベント、婚活パーティー、さらにはインターネットを活用して積極的にパートナーを探すという新しい形態を示しました。これにより、結婚が必然のライフステージとしてではなく、個人の意志と努力によって達成されるものとして位置づけられるようになりました。


4. 婚活市場の発展


4.1 結婚相談所の台頭
 2000年代初頭から、結婚相談所が婚活市場における主要なサービスとして急成長しました。結婚相談所は、従来の仲人や家族による仲介に代わり、プロフェッショナルが適切な相手を見つけるサービスを提供するものとして、特に忙しいビジネスパーソンや、出会いの機会が少ない人々に支持されました。


 結婚相談所では、個人のプロフィールや希望条件をもとに、科学的かつ効率的にパートナー候補を紹介するシステムが導入されており、利用者は自分自身で選択肢を絞りながら、婚活を進めることが可能となりました。このようなシステムの普及は、婚活が個人のライフスタイルや価値観に合わせた柔軟なプロセスであることを強調しています。


4.2 婚活イベントの増加
 同じく2000年代以降、婚活イベントが全国で盛んに開催されるようになりました。これらのイベントは、地域や企業、さらには自治体が主催することもあり、特に地方都市や農村部での人口減少対策として利用されることが多くなっています。
 婚活イベントは、形式や規模が多様化しており、街コン、合コン、趣味コンなど、さまざまな形態で行われています。たとえば、「街コン」は地域全体を巻き込んだ大規模な合コン形式のイベントであり、飲食店や地域商店街の活性化にもつながるイベントとして人気を集めました。

 また、「趣味コン」は、スポーツや料理、ハイキングなど、共通の趣味を持つ人々が集まり、自然な形で出会いの場を提供する婚活イベントの一形態です。これにより、ただ結婚相手を探すという目的だけでなく、趣味を通じてコミュニケーションを深めることができ、参加者にとってよりリラックスした環境での出会いが可能となっています。


 自治体や企業が主催する婚活イベントの背後には、少子化対策や人口減少問題への対応があります。特に地方自治体では、地元に若い世代を定住させ、地域の活性化を図るための婚活イベントが頻繁に開催されており、行政が婚活を支援するという新たな形態も生まれました。これにより、婚活は個人の問題にとどまらず、社会全体の課題として取り組まれるようになったのです。


5. オンライン婚活の拡大


5.1 インターネットと婚活の融合
 2000年代後半から、インターネットの普及により、オンライン婚活が急速に広がりました。インターネットを利用した婚活サイトやアプリの登場により、婚活は時間や場所の制約を超えた新たな段階に進みました。特にスマートフォンの普及が進んだ2010年代以降、婚活アプリの利用者が急増し、オンライン上での出会いが一般的なものとなっていきました。


 オンライン婚活の最大の特徴は、効率的かつ手軽に多くの異性と出会うことができる点です。利用者はプロフィールや希望条件を入力することで、自分に合った相手を自動的にマッチングされるシステムを利用し、効率的に婚活を進めることが可能です。また、オンラインでのやりとりができるため、忙しいビジネスパーソンでも手軽に婚活を進めることができる点が、オンライン婚活の人気を高めています。


5.2 婚活アプリの成長
 婚活アプリは、単なるマッチングサービスにとどまらず、個人の趣味や価値観、生活スタイルに基づいてパートナーを見つける機能が充実しており、利用者はより精度の高いマッチングを体験することができます。アプリのアルゴリズムは、利用者の行動データやプロフィール情報を分析し、相性の良い相手を効率的に見つけることを目的としています。


 代表的な婚活アプリには、PairsやOmiai、マリッシュなどがあり、これらのアプリは特に若い世代に支持されています。これにより、オンライン婚活は現代の婚活市場において欠かせない要素となり、特に都市部では婚活アプリを通じて結婚相手を見つけるケースが増加しています。


 ただし、オンライン婚活にはリスクも伴います。匿名性が高いため、プロフィールの信頼性に対する不安や、実際の出会いが期待通りでない場合もあります。これに対処するために、最近では婚活アプリ内での身分証明書の提示が義務付けられるなど、安全性を向上させる取り組みが進んでいます。


6. 婚活と社会的課題


6.1 晩婚化・未婚化と婚活の役割
 婚活の広がりは、日本社会における晩婚化・未婚化の進行と密接に関わっています。特に、経済的な不安やライフスタイルの変化により、結婚を後回しにする人々が増えたことが、婚活市場の成長を後押ししました。1980年代から進行してきた晩婚化・未婚化の傾向は、現在に至るまで日本の少子化問題を深刻化させており、婚活がその問題解決に寄与できるかどうかが議論されています。


 晩婚化の背景には、男女ともにキャリアを重視する傾向や、結婚生活への不安が影響しています。特に女性の場合、結婚後に仕事と家庭を両立できるかどうかという問題が結婚をためらわせる要因となっています。また、男性にとっても、安定した収入や将来の経済的な見通しが立たない中で、結婚を選ぶことが難しい状況があります。婚活市場は、こうした現状に対して結婚をサポートする役割を果たすものとして注目されているのです。


6.2 婚活と少子化問題
 日本の少子化問題は、婚姻率の低下と密接に関連しており、婚活の拡大は少子化対策の一環としても期待されています。しかし、婚活が拡大する一方で、結婚や出産を選ばない人々も増えており、婚活市場が少子化問題の抜本的な解決策とはなり得ないとの指摘もあります。結婚を望まない若者の増加や、結婚しても子供を持たない選択をする夫婦の増加が見られるため、婚活だけではなく、育児支援や働き方改革といった包括的な社会政策が求められています。


 さらに、婚活市場が特定の社会層に偏っているとの指摘もあります。高収入や高学歴の男女が有利な立場に立ち、経済的に不安定な層や非正規雇用者が婚活市場で不利な立場に置かれるケースが増えています。このような格差が婚活市場にも反映されている現状は、婚活が単なる個人の問題にとどまらず、社会全体の構造的な課題と密接に関わっていることを示しています。


7. 地方における婚活の現状と課題


7.1 地方婚活の必要性
 都市部に比べて、地方では婚活の機会が限られており、これが未婚化や晩婚化の要因となっています。特に若者が都市部に流出することで、地方では出会いの機会が減少し、婚活のニーズが高まっています。地方自治体は、この問題に対応するために婚活支援を積極的に行い、地域住民に出会いの場を提供するイベントや、地方に定住することを条件にした婚活支援策を展開しています。


7.2 地方婚活の取り組みと成果
 地方自治体による婚活支援の例として、農村部での婚活イベントや、地方への移住を希望する都市部の若者を対象とした婚活プログラムなどがあります。これにより、地方での結婚が促進されるケースもありますが、都市部と地方の文化や生活習慣の違いが障害となる場合も少なくありません。また、地方婚活イベントは都市部に比べて参加者が限られているため、成功率が低いという課題も存在します。


8. 結論
 日本における婚活の歴史は、戦後の社会的・経済的変化とともに大きく進化してきました。見合い結婚から恋愛結婚、そして婚活へと至るプロセスは、個人の価値観や社会の構造変化を反映しています。婚活は、個人の選択の自由を尊重する現代社会において、結婚を希望する人々に新たな出会いの機会を提供する重要な役割を果たしてきました。


 しかし、婚活が広がる一方で、未婚化・晩婚化や少子化の問題は依然として解決されていません。婚活市場は、結婚に至る一つの手段に過ぎず、その背景には経済的な不安定さやジェンダー問題、社会的格差といった複雑な要因が絡んでいます。したがって、婚活の成功は、社会全体の構造的な改革と密接に関連していることを忘れてはなりません。


 今後、日本社会が直面する課題を克服するためには、婚活市場の発展だけでなく、経済的安定や働き方改革、育児支援など、幅広い政策的アプローチが必要です。そして、婚活が個人だけでなく、社会全体の将来にどのように寄与するかを引き続き社会学的に検証していくことが重要です。