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越天楽

2024.09.18 06:20

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B6%8A%E5%A4%A9%E6%A5%BD 【越天楽】より

『越天楽』(えてんらく)とは、雅楽の曲目の一つ。『越殿楽』とも。

解説

雅楽の曲の中では最も有名な曲である。舞はかつて存在したが廃絶し、曲のみ伝わる。曲は平調(ひょうじょう)という旋律で演奏されるのが普通だが、盤渉調(ばんしきちょう)、黄鐘調(おうしきちょう)の旋律でも演奏される。かつては壱越調・双調・上無調・下無調の渡物もあったが、これらは廃絶した。楽器は正式には龍笛、篳篥、笙、箏、琵琶、鞨鼓、鉦鼓、楽太鼓の8種類で合奏されている。

早四拍子の小曲で、曲の構成としては、AABB(アルファベット1つは8小拍子)という構成で、更に「重頭」としてCCがあるので、例えば2回繰り返す場合はAABBCCAABBとなる。雅楽の楽譜での表記は、「(A)二返、(B)二返、重頭(C)二返」のようになる。

唐楽の曲で古くは曲名を「林越天」また「林鐘州」とも称したという。『楽家録』は盤渉調の曲としており、また中国前漢の皇帝文帝の作曲、「一説」に高祖劉邦の軍師張良の作であると伝え、もとは平調の曲であったと記す(巻之二十八・楽曲訓法、巻之三十一・本邦楽説)[1]。しかし日本で作られた曲ともいわれ、実際のところその由来については定かではない。本来は盤渉調の曲だったといわれているが、『和名類聚抄』では平調の曲としている。『扶桑略記』康保3年(966年)10月7日の条には、宮中で公卿たちが退出するとき「越殿楽」が奏されたとある。また古くは法会の際に、盤渉調の曲として用いられていた。

平調の『越天楽』に、「春の弥生の曙に 四方(よも)の山辺を見渡せば 花盛りかも白雲の かからぬ峰こそ無かりけれ」などの歌詞をつけて唄うのが『越天楽今様』(えてんらくいまよう)である。変化した『越天楽今様』の旋律で唄う『黒田節』も、もとは『筑前今様』と呼ばれ「春の弥生の曙に」の歌詞で唄われていた。筑紫箏では『越天楽』の旋律を取って『富貴』(ふき)という組歌の曲とし、胡弓の藤植流でも曲のひとつとして伝えている。

アメリカやヨーロッパでも演奏されたことがある。

宮城道雄・近衛直麿・近衛秀麿による箏曲と管弦楽の編曲版、『越天楽変奏曲』(1928年)も有名であり、レオポルド・ストコフスキーによっても度々取り上げられた。松平頼則作曲の『盤渉調越天楽の主題によるピアノと管弦楽のための主題と変奏』(1951年)は、平調とは異なる盤渉調の越天楽のメロディを採用しつつ、十二音技法やブギウギとの融合も試みており、ヘルベルト・フォン・カラヤンの指揮とイヴォンヌ・ロリオの独奏で演奏されるなど世界的に評価されている。伊福部昭にも『交響舞楽「越天楽」』と題したオーケストラによるバレエ音楽があるが、これは創作的意図で書かれた独自の作品である。


https://www2.ntj.jac.go.jp/dglib/contents/learn/edc22/digest/index.html 【千年を越えて受け継がれる雅楽】より

もともと日本に伝えられていた、いくつかの歌や舞。そして、5世紀から9世紀にかけ、朝鮮半島や中国大陸などから渡ってきた舞や器楽。それらの諸芸を源流にして、平安時代の王朝貴族たちがまとめ直したのが、現在に伝わる雅楽の基となるかたちです。

時流の波にさらされながら、永く受け継がれてきた大切な遺産。『源氏物語』や『枕草子』にも描かれた歌や舞や器楽へ、千年以上の時を経て今も触れることができるのは、大きな驚きでもあります。

幅広い領域を持つ総合芸術

雅楽には、日本固有の古楽に基づく国風(くにぶり)の歌や舞、外来の音楽を基とする中国系の唐楽(とうがく)と朝鮮系の高麗楽(こまがく)という舞や器楽、そして、平安時代に作られた催馬楽(さいばら)や朗詠などの歌物とがあります。

演奏の形式は、器楽合奏である管絃と、舞に器楽演奏を伴う舞楽、それに声楽を主とする歌謡とに分けられます。皇室の儀式のほか、寺社の祭祀などでも演じられ、ユネスコの世界遺産「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」にも記載されています。


https://www.nihongagakukai.gr.jp/about_gagaku/gagaku.html 【雅楽とは】より

雅楽の歴史

雅楽は1200年以上の歴史を持ち、日本の古典音楽として、また世界の古典音楽として外国でも非常に高く評価されてきています。

雅楽は、日本古来の儀式音楽や舞踊などと、仏教伝来の飛鳥時代から平安時代初めにかけての400年間あまりの間に、中国大陸や朝鮮半島から伝えられた音楽や舞、そして平安時代に日本独自の様式に整えられた音楽などです。

奈良時代・平安時代から、雅楽の演奏は宮廷は勿論、寺院や神社において盛んに演奏されました。そして1000年以上、京都・奈良・大阪の専門の演奏家によって伝承され続けました。明治時代に宮内庁式部職楽部が創設され雅楽を伝承しています。最近は、民間の雅楽の演奏団体も増えてきています。

雅楽の種類

現在日本で雅楽と称しているものは、奈良・平安時代に日本へ伝えられた音楽と舞、そしてわが国に古来からあった舞楽や、平安時代に作られた歌曲も含まれます。

その種類を大別すると、以下の三種類になります。

1.日本に古くから伝わるもの

国風歌舞(くにぶりのうたまい)

2.外来のもの

唐楽(とうがく)...中国、インド(天竺)、南ベトナム(林邑)等より伝来し たもの。器楽合奏の管絃(かんげん)と、舞のある舞楽(ぶがく)です。

高麗楽(こまがく)...朝鮮、中国北東方面などより伝来したもの。昔は管絃もありましたが、現在では演奏されず、舞楽のみが演奏されます。

3.平安時代にできた歌曲

催馬楽(さいばら)...民謡などの歌詞に拍節的な節をつけて歌うもの。

朗詠(ろうえい)...漢詩に非拍節的な節をつけて歌うもの。

なお、「歌披講(うたひこう)」(宮中の歌会始の儀で行われる)は、雅楽の楽器を用いないため、雅楽の中には入れていません。

日本古来の舞楽(国風歌舞)と催馬楽・朗詠は歌曲が主となっているのに対し、外 来曲は全て器楽曲です。

管絃

管絃は以下の編成で演奏される、器楽合奏を指します。

管楽器 笙 (和音) 三管

篳篥(主旋律)

龍笛(旋律)

絃楽器 琵琶(拍節) 両絃

筝 (拍節)

打楽器 鞨鼓(拍節) 三鼓(さんこ)

太鼓(拍節)

鉦鼓(拍節)

このような編成となったのは平安時代の中頃と言われており、管楽器、絃楽器、打 楽器の編成は西洋音楽のオーケストラと同じです。 明治の始めにオーケストラが輸入されたときに、雅楽の「管絃」に音楽の「楽」をつ けて「管弦楽」としたといわれています。

管絃で演奏されるものは唐楽で、壱越調(いちこつちょう)、平調(ひょうじょう)、 双調(そうじょう)、黄鐘調(おうしきちょう)、盤鐘調(ばんしきちょう)、太食調(たいしきちょう)の6つの調子があります。

舞楽

舞楽とは雅楽の楽曲を伴奏として舞う舞で、日本古来の舞と、外国から伝えられた舞とに大きく分けられています。

日本古来の舞は、国風歌舞と言われ、歌曲の伴奏で舞われるものです。

現在は左方(さほう)の舞と右方(うほう)の舞とに区別されていて、左方の舞は唐楽(とうがく)(中国系統)、右方の舞は一部の例外を除き高麗楽(こまがく)(朝鮮半島系統)の伴奏で舞われます。

使われる楽器も異なり、左方の舞では笙・篳篥・龍笛に打楽器 鞨鼓・太鼓・鉦鼓を用います。右方では笙は用いず、篳篥・高麗笛に打楽器 三の鼓・太鼓・鉦鼓を用います(但し、右方の還城楽・抜頭・陪臚の三曲は変則で、笙・篳篥・龍笛に打楽器 三の鼓・太鼓・鉦鼓を用います)。