『経営の5S』
「現場の5S」は、多くの企業で取り組まれています。
私は、「経営の5S」を提案しています。
CS(Customer Satisfaction:顧客満足)
1990年代、バブルが崩壊してから経済界は、顧客に満足してもらうという商売の基本に立ち返ることの大切さに気づきました。
ピラミッド型の組織から逆ピラミッド型をイメージし、プロダクトアウト型からマーケットイン、マーケットアウトへと、商品開発、提供の流れも変えてきました。
仕事がお客様のために存在すると言うことを考えると、このような姿勢は当然であると言えます。
ただ、そのような当たり前のことを再認識したということの意味は大きいと思います。
ES(Employee Satisfaction:従業員満足)
ところが顧客満足を追求するあまり、過大な負担が従業員にのしかかってくることもあり、体調を崩す社員も現れてきました。
社員が元気に、いきいきと働いていない状態では、顧客に良いサービスを提供することはできません。
そこで、「CSはESから」と考え、従業員が満足して働く職場づくりに取り組んだ企業が伸びてきたのです。
SS(Society Satisfaction:社会満足)
さらに市民の意識が高まり、経済発展だけを追いかけても人間として幸福になれるわけではないということを理解する人たちが増えてきました。
24時間営業の店舗は便利でしょう。携帯電話も便利だと思います。
しかし、便利になれば良い世の中になるということではありません。
行き過ぎた核家族化、収入を中心に考える暮らし方で子どもを犠牲にする社会とは、本当にあるべき姿なのでしょうか。
地域で助け合うという概念が、地域社会からなくなってしまったところもあるようです。
実現したい社会の在り方までを考えたうえで、商品、サービスを提供するという一段高い経営哲学が求められる時代になってきたのです。
EnS(Environment Satisfaction:環境満足)
「開発」とは、自然を「破壊すること」です。自然とは、命の集まりです。
人間という命も自然があるから生きていけるのです。自然を守ることは、私たちが生きている環境を守ることなのです。
自分たちが生きる環境を壊すような事業は、事業とは言えませんね。
以上の4つに「会社満足」を加えたものが「経営の5S」です。