Cultural Trends に論文が掲載されました!
文化政策・アートマネジメント分野で最もよく読まれている国際ジャーナル Cultural Trends に私たちの論文が掲載されました!(オープンアクセスなので誰でも読めます。https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/09548963.2024.2402863)
私たち(医療法人、福祉政策コンサルティング会社、地域・アートNPO、大学)がここ数年取り組んでいる認知症の人と介護者とのアートワークショップと、私が以前から取り組んでいる芸術活動が変化をもたらすプロセスや評価の研究を組み合わせたものです。今回の論文で、ウェルビーイングに貢献する活動にはどのような条件が必要かを(芸術活動だからこそできることも含めて)ある程度示すことができたこと、それから日本での試みを世界に向けて紹介できたことは、ありがたかったと思っています。
タイトルと要旨を日本語にすると、こんな感じです。
--
因果関係に取り組む:認知症の人とその介護者のための即興演劇ワークショップに関する参加型評価
芸術と健康に関する研究の前進にもかかわらず、芸術活動がウェルビーイングやケアに貢献するプロセスはあいまいなままである。本研究は、参加型評価とゴールフリー評価を用いて、介護施設における認知症の人とその介護者への即興演劇ワークショップの効果に関する因果関係に新たな光をあてることを目的とする。
本論文では、まず芸術において因果関係を扱う際の課題と戦略について整理し、次に方法論と研究の背景について述べる。その上でワークショップを通して得られた知見を、芸術のインパクトに関する重要な検討事項、すなわち、負の影響(失敗)、芸術の独自性、芸術の質、長期的なアウトカムに整理して論じる。そして最後に、ミクロとマクロの二層構造の因果プロセスが、意味のあるインパクトに寄与すると結論づける。
本研究は、負の影響(失敗)から学び、試行錯誤を通じて芸術的要素を他の関連要素と統合し、実施中に共有目標を再定義することの重要性を指摘する。こうした努力を継続することで、芸術活動の影響は、個人の行動変容にとどまらず、コミュニティの成長へとつながる長期的な成果をもたらすようになる。
--
特に後半は、興味深いエピソードがたくさん出てくるので、読み物としても面白いと思います。日本語にもしようとは思っていますが、少し時間がかかりそうなので、後半だけでも英語のまま読んでいただくか、自動翻訳で読んでいただけるとうれしいです。