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Space_

スニーカー case 01  作・草場あい子

2019.01.09 13:28

薄暗い照明の古本屋。

静かで歩く度にスニーカーのキュって音が響く。

古本と雨の匂い。

休日。雨。

することがなく、なんとなく家を出て、

たまたま見つけた古本屋。

ドアを開けると、店内の古本の匂いと外の雨の匂いが交じる。

お客さんは僕1人。

ドアが閉まると、そこは静かで僕のスニーカーの音と誰かがめくる本のページの音だけが響く。

その音は、聞いていると心地がよかった。

大きな棚にぎっしりと詰まった本は、

初めて見るものばかりで、

そこにある全てが新鮮だった。

本を手に取って、文章を目で追う。

ページをめくる音と共に、

追ったもの全てが頭に刻まれる。

不思議な感じ。

僕はその本を買おうと持っていくと、

本を読んでいた店主のおじいさんは、僕に気づいて

「いい本を選んだね」

って言った。

僕はそれから、休日になるとそこヘ行くようになった。

スニーカーとページをめくる音だけが響くそこへ。

いい本を見つけに。


2019年1月9日

草場あい子