Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

桜楓会 Ohfukai Society

セーヌ川を下る旅 (5)

2024.09.25 15:41

クルーズ後の一日我々はサン•スルピス教会(マスネーのオペラ「マノン」に登場する教会)の前を通ってドラクロワ美術館に行った。こぢんまりした庭と小さな美術館。今までに見たことのある絵画もあれば、見たことのない作品もある。中でも「聖母の教育」という絵に惹かれた。母親のアンがマリアに本を読ませている場面で聖…と呼ばれる二人が普通の母娘のように描かれているのが気持ち良い。アングルとドラクロワの仮想の戦いの漫画では、両人とも馬に乗って、アングルは線画派を代表してペンを、ドラクロワは色彩派を代表して絵筆をそれぞれ手に握って、いざ対決というところ。フランスでは昔こんな風刺画が雑誌に載っていたのだ。


アングルとドラクロワの仮想の対決

続いてサン•シャペル見学に。広い教会内部を覆い尽くすようにステンドグラスの窓が立ち並ぶ。教会の隅にすわって、我々四人はしばし瞑想していた。


サン•シャペル教会内部はステンドグラスの窓に囲まれている。

最後に行ったオーセー美術館はこのクルーズの始まる前にも行った。もとはターミナル駅だったとは思えない豪華で広大なこの美術館で、今回は向かって左側の絵画を観ることにした。スーラー、ゴッホ、ルノアール、セザンヌ、モネーなど印象派の絵が多い。テレビ、雑誌、本などで見慣れた絵の実物をこの目で見られるのは嬉しいが、人出が多くて画面をよく見る機会が少ないのが残念だ。それでも少女時代からの気に入りのルノワール作「ピアノを弾く少女たち」の実物に出会えた。「ここはこう弾くのかしら?」と問う白のドレスの少女に、赤のドレスの少女は真剣に楽譜を調べている。姉妹の関係の調和から音の調和さえも聞こえてくるようだ。
ロダン作のバルザックの石膏像はクルーズの前にロダン美術館の庭で既に見た。どちらかが複製に違いないが、ロダンの傑作の一つとしてここオーセー美術館でも尊重されているわけだ。もとは鉄道のターミナル駅だったとは思えない豪華な造りのこの美術館の壁は、三階とも精巧な浮き彫りで覆われていて、いかにも駅らしく大時計が二箇所にある。この日のランチは館内の、宮殿なみの優雅なレストランで。

少女時代からの気に入りのルノアールの実物に巡り会えて嬉しい。あ、あった!

ロダン作バルザックの石膏像。オーセー美術館内部はもとの鉄道ターミナル駅を彷彿とさせる。それにしても豪華な建物だ。

オーセー美術館内の宮殿のようなレストラン