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特定非営利活動法人トモニトウ

「西塩子の回り舞台シンポジウム」を開催しました

2024.09.28 22:24

 9月28日(土)常陸大宮市文化センターロゼホールにて、「西塩子の回り舞台シンポジウム」を開催しました。たくさんの方に関心をお寄せいただき、70名を超えるみなさまがご参加くださいました。

 「西塩子の回り舞台」は日本最古の農村歌舞伎舞台です。その歴史や組み立ての様子などは以下のページに少しずつ載せていきますので、ぜひご覧ください。

 今回のシンポジウムは、来年予定している組み立て公演のキックオフの会でもありました。関わってこられた様々な立場のみなさまの視点をかりて今までを振り返り、お集まりくださったみなさまとこれからについて考える、そのような場を目指して準備をしてきました。

 シンポジウムは四部構成で、第一部は常陸大宮市立大宮北小学校の「こども歌舞伎」の練習風景からスタート。児童の様子を映像で紹介した後、澤畠校長先生が学校での様子を詳しくお話してくださいました。実際の舞台で演じられた過去の「こども歌舞伎」の映像も上映し、常陸大宮市教育委員会の小野教育長からも励ましのお言葉をいただきました。

 第二部では、茨城大学人文社会科学部教授でトモニトウ理事の西野さんから、回り舞台のこれまでの報告と、これからについて共に考えましょうという呼びかけがありました。私たちは「何を引き継ぐのか」「なぜ引き継ぐのか」という問いを受け取り、続く第三部へ。

 第三部では、西塩子の回り舞台にゆかりのある10名のみなさまがご登壇くださいました。西塩子の回り舞台保存会の方、こども歌舞伎を演じたことのある方、ボランティア経験のある茨城大学卒業生、市民ボランティア、そして現在活動に携わっている茨城大学の学生。それぞれの視点から語られる「西塩子の回り舞台と私」の物語に、思わず笑顔になったり、胸が熱くなったり。市外から興味をもって参加してくださった方や、遠方からボランティアを希望して話を聞きにきてくださった方も、会場から感想を添えてくださいました。

 続いて、回り舞台復活の立役者で「西塩子の回り舞台保存会を支援する会SUKERU」の石井さんから、長年関わってきた思いをお話いただきました。竹の切り出し、舞台の組み立て、演技の稽古、裏方の役割、事前の広報と当日のおもてなし…回り舞台を取り巻く仕事は様々で、それぞれに胸が熱くなる場面がある、というお話が印象的でした。

 保存会の岡崎さんは、写真を使って組み立ての様子などをご紹介くださいました。これからの課題として、人手と資金が必要であるとのこと。知恵を出し合って超えていきたい課題です。

 シンポジウムを企画をしたトモニトウの立場からも、少しお話をさせていただきました。「なりゆきの未来」に任せずに「意志を持ってありたい未来を選ぶ」という、今回はまずその一歩です。ここをスタートにして、来年度に向けてできることをみなさんと形にしていけたらと思っています。


 最後の第四部は、茨城大学生のみなさんによるワークショップです。あらかじめ受付で配布した付箋に、改めて感じた回り舞台の魅力などについて書いていただき、感想も含めて近くの席の方とおしゃべりタイム。

 短い時間でしたが、和やかな雰囲気で言葉を交わしていただけたようです。みなさんが付箋に書いてくださったご意見は、会場後ろの模造紙に。

 たくさんのご意見をいただき、大変励みになりました。


 お話を聞かせてくださったみなさんの言葉や表情から、「なぜ引き継ぐのか」という理由が明確に「ある」ことを確信しました。今はまだうまく言葉にできませんが、先人たちが大事にしてきたことに心を寄せて、多くの人達が心を奪われてきたその美しさをなぞりながら、そこにある意味をみなさんと探してみたいと思っています。

効率が優先されがちな現代においてこそ、大量の竹を切り出しては組み立て、そして壊すというこの営みには、経験しなければわからない特別な意味があるような気がしています。

来年の組み立て公演に向けて、その意味を一緒に確かめにいきましょう。どうぞ引き続きご支援ご協力のほど、よろしくお願いいたします。