ペットの健康を食から支える ~日本ペットフードのペットヘルスケア~ Vol.1
ペット産業で活躍する経営者や専門家をゲストに招き、日本の動物医療やペット産業の現状と将来について深掘りするセミナー形式のインタビューシリーズ。
国内では犬の飼育頭数が減少し、市場が厳しさを増していくことが予想されます。このような状況下で、私たちが取るべき市場判断と今後の施策とは何でしょうか。現状分析と市場展望を中心に、お話を伺っていきたいと思います。
ゲスト
片山 俊次(かたやま としつぐ)
日本ペットフード株式会社 代表取締役社長執行役員
一般社団法人ペットフード協会 副会長
一般社団法人DIY・ホームセンター協会 理事
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生田目
今回は、日本ペットフード株式会社の代表取締役を務める片山俊次社長にお話を伺います。
片山社長は、東京ビッグサイトで開催されたインターペット2024のビジネスセミナーで、国内のペット市場全体の動向と展望についてご講演されました。
長年ペットフードの開発に携わってこられたご経験から見たペットフード業界の変化と、今後必要とされるビジネスの形態についてぜひお伺いしたいと思います。
本日はどうぞよろしくお願いいたします。
片山
どうぞよろしくお願いいたします。
生田目
まずは日本ペットフード株式会社について簡単にご紹介させていただきます。
日本ペットフードさんは1960年に日本で初めての国産犬用ペットフードを開発発売されました。
それがあの有名なビタワンです。
犬の顔が描かれた黄色い背景のロゴは、皆さん一度は見たことがあるのではないでしょうか。
そこから業界の火付け役として牽引し、現在では国内大手のフードメーカーとなっています。
犬だけでなく猫、小動物のフードも製造されています。
自社研究所での検証等を通してペットの栄養を第一に考えたフードづくりに注力されていますね。
その点にとても感銘を受けて、QIXと日本ペットフードさんとの共創ブランド「ベッツリコ」シリーズを開発しました。
また、自社の飼い主相談センターでペットに関する正しい知識を周知することにも取り組まれています。
日本ペットフードさんは健全なペット業界を守り、尊敬されるトップ企業の一つです。
片山
ご紹介いただきありがとうございます。
我々の努力をわかりやすくご説明いただけて嬉しいです。
生田目
簡単にご紹介させていただきましたが、御社の理念や片山社長の想いについて詳しく伺えますでしょうか。
片山
弊社は60年以上、ペットと家族の幸せを守るためにフードを開発し続けてきました。
その中で、ビタワン、コンボ、ビューティープロという代表的なブランドを生み出しています。
特にビタワンは国内のペットの食生活を大きく変えたと自負しております。
私が社長に就任した頃から、今まで以上にペットが家族として扱われるようになる、時代の変革期でした。
私自身も生粋の犬猫好きです。
私と同様に、飼い主様もペットがいつまでも元気でいて欲しいはずです。
当社の理念は、「私たちはこころのふれあいを大切にし、ペットフードを通して家族とペットの生活に憩いと潤いを提供します。」としています。
また、フードを通して繋がるすべての動物と人が幸せであってほしいと考えているので、
ペットと家族、そして一緒に働く社員の幸せの確保と社会貢献を会社の使命として掲げることにしました。
我々は、ペットの健康を守り、周囲を幸せにするために日々尽力しています。
生田目
ありがとうございます。
その使命は非常に大切なことだと私も思います。
ペット業界では、犬猫が好きすぎるあまり、働く人が二の次になることが多いと感じます。
片山社長のおっしゃる通り、ペットに幸せを与える側の社員が幸せでないと、発想もサービスも良いものにならないと思います。
ところで、ビタワンで食生活に触れられましたが、ペットフードの歴史についてお教えいただけますか。
片山
はい、昔の日本では、犬の食事として残飯が与えられていた時代がありました。
1960年にビタワンが発売されてから、犬の食事が徐々に残飯からペットフードに変わっていきました。
また、1990年代になると、フードは餌ではなく「愛犬の食事」という認識に変わっていきました。
1993年にはAAFCO(米国飼料検査官協会)から推奨栄養成分が公表され、ライフステージに応じた栄養基準が設定されました。
さらに、2000年代には機能性食品フードができ、2010年代になるとヘルスケア特化の商品が登場しました。
そして、コロナ拡大をきっかけにプレミアムかつD2Cフードの人気が上昇して現在に至ります。
Vol.2へつづく